【#81】長野県・木島平村長選挙レポート(2023 2.5)
どうですか! この一面の銀世界!
長野県の北部、木島平村の2月。 寒さが厳しくて雪が積もるのは誰がどう考えても明らかであり、投票に行くには結構なハードルになりますが、それでも任期が来たからには選挙は行われるものです。
そして、どんなに寒くても選挙があれば取材に行くのが選挙系フリーライターの仕事。 ライター業って文系、頭脳系の仕事だと思われるでしょうが、いつ何時でも取材に行かなければならないという、肉体的にも過酷な稼業なのですよ・・・
とまぁ、私の愚痴から始まってしまいましたが、お伝えしたいのはそんなコトではなく選挙! 3期目を目指す現職に “追い風” を受けて立候補した新人が挑んだ村長選を、レポートします。
◆概要
面積:99.32㎢(長野県 第42/77位)
人口:4,225人(第51位)※2022年11月1日現在
人口密度:42.5人/㎢(第51位)※2022年11月1日現在
平均年齢:52.0歳(第49位)※2018年9月1日現在(若い順)
衆議院は長野1区に属し、
◆立候補者
3期目を目指す現職に、二度目の村長選に挑む元村議と4期務めた村議を辞した新人が挑む選挙戦です。
◆前回(2019年)の選挙結果
前回は日台村長が丸山候補ら2名を圧倒し勝利。 2選を果たしました。
村長選から2か月後に行われた村議選は、村長選に落選した2名が立候補し、丸山候補は当選、寺島候補は再び落選しました。 寺島氏は現在、本業の不動産コンサルタント業に従事しているようです。
◆POINT
①「木島平スキー場」民営化問題
日台村長は自らが社長を務める第三セクター会社が運営する木島平スキー場を民営化する方針を固め、昨年10月に手を挙げた会社と基本合意を締結し、現在は3月の本契約に向けて協議を進めている段階です。
冒頭の写真のように雪深い木島平村のスキー場なら観光客も見込めるように思えますが、当然ながら周辺にもスキー場が多く、外国人観光客を取り込んで(コロナ禍前までは)盛況だった野沢温泉村のスキー場や志賀高原下で本格的スキー場を持つ山ノ内町、新幹線が停車する飯山市が周りにある中で埋没してしまっていて、2021/2022シーズンの利用者数は約52,000人と、山ノ内町にある「志賀高原マウンテンリゾート」の約754,000人に大きく差をつけられています。
木島平スキー場へは村が81.1%を出資しながら2020年度末で約2,260万円の債務超過で3期連続赤字に陥っているため、民営化しなければ倒産&閉鎖は避けられない状況。 かつて “平成の大合併” に合わせて近隣の飯山市・野沢温泉村と合併する構想が持ち上がった際、他の二自治体からスキー場の民営化を求められたものの「スキー場は地域振興の柱」として、その時は合併を蹴ってでも守った村営スキー場ですが、もはや手放さなければいけないほど追い込まれたというコトになります。
「自治体運営のスキー場」が財政を圧迫するというのは長野県内では多々見られまして、木曽郡の王滝村は2005年時点で村営スキー場が約26億円もの借金を抱えていたせいで木曽郡の合併協議から外されるというコトが有りました。 一度は守った「村の財産」たるスキー場を手放すのは惜しいかもしれませんが、更に債務が膨らむ前に民営化が出来れば村の負担は軽くなるでしょうし、協議が進んでいるのは良いコトなのかもしれません。
候補者の中では、丸山候補のみ民営化に反対、「絶対に黒字化する!」と宣言しています。
② “新しい風” が木島平にも吹くか?
長野県では最近、優位と見られていた現職が敗れるという選挙が何件か起きています。
昨年10月の飯山市長選では勇退する現職と自民党・若林健太衆院議員の応援を受けていた後継候補が、実に4度目の市長選挑戦となる候補に敗れるという大波乱が有り、
今年1月の軽井沢町長選では4選を目指す現職に対し新人が3名立候補したため現職批判票がバラけると見られていたところ、昨年夏から着々と準備を進めていた新人候補に約1,400票もの差をつけられて現職が敗れるという結果になり、今回も新人候補にこのような “新しい風” が吹くかどうかが注目され、実際に飯山市長に就任した江沢氏が江田候補を支援しています。 隣接していて村民の働き先として行き来も多いであろう飯山市の市長が支援しているという状況は選挙戦に大きな影響を及ぼしそうです。
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