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【レポート #54】第26回参議院議員選挙レポート(2022 7.10)

 参議院選挙が、終わりました。

(サムネイルはNHKより、上記画像はnippon.comより引用)

 常に与党優勢が伝えられる中で7日に銃撃事件が発生し、これは与野党で圧倒的な差になるなと思っていました。

 投開票前日に出した私の予測は銃撃事件の影響が最大限に出ると読んで出したもので、自民68議席(選挙区47+比例21)、立憲15(選9+比6)、維新14(選6+比8)と出しましたが、結果を見ると自民・維新はそこまでは伸びず、立憲はそこまで崩れず、れいわは3議席を獲得し社民も議席を維持、そしてN党と参政党も1議席というコトで、そこまで銃撃事件が投票結果に影響を及ばさなかったように見えます。
 強いて影響が有ったとするならば北海道の2議席目岩手山梨の1人区で議席を逃した(自民に取られた)コトかもしれませんが、それもハッキリとした関係性は分かりませんし、比例も事件の影響で自民が伸ばしたとするならばそのあおりを喰らったのは維新と参政党でしょうから、「改憲議席3分の2」という軸で見れば大勢に影響はないでしょう。

 ここからはいくつかの党を見ながら参院選の結果を考えてみます。


 と、その前に、

 このレポートは有料となっていますが大部分が無料で読めます。 なので安心して読んでいただいて大丈夫です。 また、

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◆自民党の苦しみはこれから

 このポスターを見た時、先の国会で何の決断も実行もせず聞いて検討するコトしか出来なかった人が、ようそんなコト言えるなぁと呆れたものですが、結果として63議席獲得、非改選と合わせて119議席まで勢力を伸ばしたのですから万々歳といったところでしょうか。
 しかし、先述の通り銃撃事件で安倍さんを失い、それによるブーストもそんなにかからなかったのを見ると、やはり事件は党にとって痛手であり、そのダメージは時を経て拡大していくものと思われます。
 それは最大派閥の安倍派の後継争いが起こり最悪分裂してしまう恐れ、安倍さんの後ろで大手を振って歩いていた「保守」(早い話が、ネット右翼系)議員が今後主張を強めるのか勢力が縮小するのかという問題もありますが、最も問題なのは支持者が受ける影響です。

 ネット右翼系思想を持つ大人は勿論ですが最も怖いのが若者世代への影響で、彼らは約8年と長期に渡った第二次安倍政権の中で10代を過ごしており、「総理大臣=安倍さん」となっている人が相当数います。 そのため安倍路線と違う政策を取れば支持が離れていく恐れがあり、かといって安倍路線を継承しても安倍さんはもういないのだからこれまでのように推し進めるコトが出来るか難しくなるかもしれません。 そういう中で岸田総理がどうバランスをとって歩いて行くのか。 検討するだけじゃ逃れられない場面が、いよいよ訪れるコトになりそうです。

◆実は最大の事件、公明党のマイナス1議席

 どの報道も大きく取り上げていませんが、私にとって最も衝撃だったのが公明党が改選前から1議席失ったコト。 地方選挙の取材を重ねて気づいたのは公明党が「負ける選挙はしない!」という点で、安定且つ強固な支持基盤で的確な票読みをし、それに基づいた候補者数を擁立。 結果、絶対に落選者を出さないという選挙戦を続けている党です。 それが今回比例で1議席減らしたというのは驚きました。
 今回公明党は比例区に17名の候補者を擁立しており、当然これだけの人数が全員当選するわけも無いため一見するとただの1議席減に見えますが、公明党は一次公認として7名の候補を先行で発表し、6月15日に追加で10名発表しています。 つまりコレは党から支持者への「7名当選は必須だからな!」という強いメッセージに他なりません。 にもかかわらず6名当選に留まったというのは、与党としては圧勝なので平静を装っているように見えますが政党幹部や支持母体幹部は、はらわた煮えくりかえる想いだろうと私は推察します。

 6月に発覚したこの騒動で “婦人部のみなさま” がドン引きして離れた可能性も考えられなくもないですが国政選挙という大一番で支持をやめるにしては小さな話。 やはり高齢化に伴う支持者の減少は始まっていて、その影響がいよいよ国政選挙において出始めた選挙だと言えるのかもしれません。

 あと個人的には、どうしてもココロが殺伐としてしまう選挙期間中において、

(いずれも公明党HPより引用)

 公明党候補の(必要以上に)懸命な姿は私の心を癒してくれました。 有難う御座います。

◆立憲民主党の致命的なダサさ

 17議席獲得で6議席減となってしまった立憲ですが、「よくそれで治まったな」というのが私の正直な感想です。 比例は5議席獲得に留まる可能性も充分考えられる状況だったので、この結果は及第点と言えるのではないでしょうか。
 もちろん褒めているつもりは一切なく、仮にも「野党第一党」ならばこの惨状は目を覆いたくなるものです。 この原因はなんといっても一人区で野党共闘を組む選挙区が12に留まったコトが大きいのですが、昨年の衆院選で野党共闘で戦っても政権交代を果たせないばかりか立憲・共産ともに議席を減らした点を鑑みれば今回は違う戦い方をするというのは不自然な結論では無く、昨年の野党共闘の際に見られた、一本化のために候補者を(主に共産が)降ろすと直前に降ろす光景は見ていてつらかったので今回の選挙は心穏やかに見ていられたというのが私の印象でした。

 ならば何がマズかったといえば間違いなく「提案型野党」というふざけた方針を取った現体制に尽きます。 「野党は反対ばっかり」という短絡的な世論に惑わされて野党としての本来の役割を見失った結果が、コレです。
 大体、本来の野党質疑は政策批判をしても最後には「我々は、、、」と提案を加えているもので、そこから政策批判を引いたら添え物の「提案」が残るだけでスッカスカになってしまいます。

 選挙中に山際大志郎経済再生相が、このようなトンデモ発言をしましたが、山際氏の発言、与党の姿勢は論外だとしても政策批判をしない野党なんて何の脅威でもなく、このような考えになってしまうのも理解できてしまうのが現状の立憲の弱さであり悲しさ。 野党は政権のチェックをするという大前提の定義を今一度思い出して戦う姿勢を示さないことには、衰退は止まらないでしょう。
 泉体制になって初の国政選挙なので責任問題にはならないでしょうが(というか、誰がやっても一緒・・・)、とりあえず直ぐにやるべきは「広報本部長」を復活させるコト。 だって、

 新体制一発目のポスターが、コレですよ。 小劇団の新公演告知みたいなレイアウトですが、それよりも数段劣るデザインです。 この致命的なダサさで何の共感や支持が得られるというのでしょうか。 泉代表ってまだ47歳なんですよね。 本来ならば若さとフレッシュさを前面に推し出すべきなのにどの党よりも年寄り臭いビジュアルイメージというのは、早急に改善すべき。

 (勝手連が作ったものですが)共産党でもこんなセンスの良いポスターを作れる時代ですよ。 よくよくよくよく、考えてもらわないと・・・

◆これが、れいわ新選組のピークなのか?

れいわ新選組HPより引用)

 3議席獲得というのは、れいわにとっては及第点でしょう。 だがしかし、党の理想は “山本太郎氏が落選しての3議席” だったのではないでしょうか?


 私は太郎氏が衆院議員を辞職→参院選出馬を表明した4月に、

「太郎氏は議員職を捨てて野に下り、街頭演説で全国行脚を繰り返して市民に直接訴える(ついでに寄付を集める)コトをしたいのではないか?」

 と見立てました。 それは今でも変わらなくて、今回の選挙結果(会見勢力が3分の2を超える)は選挙期間前の時点で既に可能性が高かったので、2020年の大阪都構想住民投票の際に成功したように、来たるべき「国民投票」に向けて市民に近い立場になりたかったのではないか? と見ています。 だから当選確実な比例ではなく選挙区、しかも「既に候補者を立てているところからは出ない」と発言し、選挙区落選をして体よく野に下りたかったのだろう、と。

 ところが事前調査をするうちにどうも比例だけで3議席は難しいというのが分かってきて、焦った太郎氏は前言を翻して当選確率が最も高い定数6の東京選挙区で立候補。  選挙戦が進むにつれ太郎氏は明らかにやつれていき、

れいわ新選組YouTubeチャンネルより引用)

 約30年ぶり「メロリンキュー」を復活させざるを得ないほどに追い込まれたように見えました。 結果として太郎氏は東京選挙区で6番目に滑り込み、水道橋博士が加わるというプラス要因もあって比例で2議席獲り合わせて3議席となり、結党3年ちょっとで8名の国会議員を擁する中堅政党にまで成長するコトが出来ました。
 
 ただ、ここから更に勢力を伸ばすコトが出来るかというと疑問があり、太郎氏は参院議員として6年間国会に “拘束” され、衆院辞職後→選挙期間のような頻繁に街頭演説をして露出するコトは難しくなり、アピールは国会の場になるのですが残念ながら市民は国会を見ないしテレビも放送してくれない。 アピールチャンスは限られてくるでしょう。
 御存知のように今後3年間は国政選挙が無い可能性が高く、選挙で打ち上げ花火を上げるスタイルのれいわにとっては苦しい闘いが続き、3年後の選挙の際も太郎氏は参院議員の任期中なので立候補はできないでしょう。 もし選挙区で出た太郎氏が辞職して選挙に出て、そのあとに補選が行われた際、他のれいわの候補が勝てる可能性は限りなく、ゼロです。 指し手が “詰んでいる” 状態が、今なのではないでしょうか。

 それを打破する、起死回生の一手とは、、、 東京都知事選に出るというカードは既に使ったし。  と、なると、

日本維新の会HPより引用)

  来年の大阪府知事選 or 大阪市長選? ま、まさかね・・・

◆参政党のこれからを(少し)考える

参政党HPより引用)

 参政党が1議席獲得。 これは情勢調査で既に言われていたコトで驚きは有りません。 一部では「3議席獲得も?」と言われていましたが私は終始1議席と予測し、当たりました。 それはいわゆる “参政党現象” は2019年の “れいわ現象” を超えていないという(当時れいわ信者だった私の意地を含めた)見立てからです。
 恐らく支持者や信者は1議席という結果に満足できるワケがなく、陰謀論大好きな皆様のコト、この結果も「陰謀ダー!」と騒いでいるだろうとTwitterをチェックしたのですが、意外に議席獲得自体を喜び今後の更なる発展を誓う人が多数で、この選挙結果から内部崩壊が始まると見ていた私の見立てとは違う展開で、これは想像以上に手強いな、と感じています。

 今回、長野、石川、福井、岐阜、山梨、静岡選挙区で参政党の候補と直接会い、話を聞くコトが出来ました。 参政党の候補を複数選挙区で取材するなんてメディアはそういないと思われるので、その点では特色ある取材活動が出来たと自負しております。 各選挙区レポートで紹介し、全ての選挙レポートを載せたアトに改めて参政党について考察する予定です。

 とりあえず直近の見どころとしては、

(長野駅にて)

 個人票を最も獲得した神谷宗幣候補が当選しましたが、彼は事務局長全国比例区第5支部長。 5人の候補者の中で最も地位が低いのが、彼です。
 勿論、神谷氏が党の理念の根幹を支える人物であるコトは承知していますが、(表向きの)役職が下で、且つ比例候補者(俗に言う “ゴレンジャー” )の中で最年少の彼が国会議員になるコトで党内のパワーバランスが崩れるかどうかを注視していこうかと。
 「そんな小さなコトでイザコザなんて起こるハズが・・・」と支持者や信者の方は思うでしょうが、人間関係なんて、案外そんな小さなコトから綻びが出るものですよ。

◆最後に

(松山三四郎候補&松山千春さん)

 まとめに入る前にお断りしなければならないのは、今回の参院選最大のトピックは某国営放送の名をつけた党が暴露系YouTuberを比例に擁立して1議席獲得したコトであり、その件の問題を取り上げるべきなのは承知しているのですが、私はあの党について一文字たりとも労力を割きたくない口にもしたくないので御了承いただきたく存じます。 大切なこの場を汚したくないのです。

 ただ、あの党や参政党の台頭、そして銃撃事件が起きても投票行動に大きな影響が出なかったコトを見て感じるのは、「言葉」が段々と不要なものになってきている時代の変化と、元首相が銃撃されるという歴史教科書に載るレベルの出来事すらも投票行動に影響しないという情報(ニュース)の消費の早さです。
 とにかく(銃撃事件をこう言うのは不謹慎かもしれませんが)コンテンツの賞味期限がドンドン短くなってきているコトに驚きますし、選挙という市民による最大の権利行使の場面においても「思考」を拒否し「対話」「議論」を嫌い、強くて極端な主張に魅かれていくという短絡さプロセスの短さを求めている風潮には嫌悪感にも似た感情を抱いています。

 noteやツイキャスを用いて、言葉を使い、操り、対話や議論をしようとしている私はもはや少数派なのかもしれません。 ならば多数派に私の意見を届けるために、もっと短く、もっと分かりやすい方法を用いた方が得策なのかもしれませんが、それをやるくらいならこの活動をやめます。 冗談じゃない、、、

 先崎彰容氏が言っていましたが、民主主義の究極の形は「遅さ」なのです。 意見の違う人同士が議論し、言葉を重ねて同意できる部分を探り、最終的には多数決で決するが少数の意見も尊重しなければならないという、問題の提起から対応の決定までのプロセスが圧倒的に長いのが、民主主義の正しい形です。 もし権威主義、独裁主義を求めているのなら別ですが、民主主義を尊重する人が短絡的で極端な、プロセスの短い主張を求めている姿を取材現場やネットで良く見ましたが、それは私から見れば矛盾であり、筋違いです。

 私は民主主義を尊重し、大切にしたい。 だからこそ、「言葉」を大切にしたいのです。 民主主義とは議論するコトであり、遅さである。 そのプロセスこそが民主主義の醍醐味であり面白さであり大切であるコトをひとりでも多くの方と共有していきたいので、今後も可能な限りこの活動を続けて行きます。

 とにかく、言葉。
 言葉言葉言葉言葉言葉!!!!!


 さて、長々と書いて参りまして、ここからが有料部分。 ここまで語っといて何を載せるかというと、私の比例投票先を公開します。
 「そんなもんどーでもエエわ!!」と思われた貴方、ごもっともなご意見です。 ただ選挙について語るならば自分の投票先は公開して然るべきだと考えていてそれを実行するのですが、とはいえ個人情報になるので一応「鍵」としてnoteで最小の料金である¥100を設定しました。 興味の有る方なんて殆どいないのは承知していますが、ここまで書き上げた、そして参院選取材で、長野石川富山福井岐阜山梨静岡の7県を取材した私に「チオビタドリンク」1本おごるつもりで御購読いただければ嬉しいです。 宜しくお願い申し上げます。


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