エクスカショーン Sommarøy 2
第二弾
6月2日ー4日。 遅咲きながらの研究者人生で初めて、"Writing Retreat"なるものを経験した。 平たく言えば、大学の研修合宿のようなものだ。しかし、日本の大学院での慎ましい学生生活しか経験のない私にとっては、想像を絶するような”ステキな代物”だった。3日間、このホテルのそれぞれ個室が与えられ、そこで集中して研究に打ち込みなさいねー!っていう「缶詰」状態にさせてもらえる合宿だ。といっても課題も発表も締め切りもない!朝、ゆるーくミーティグがあり、「今日はこんなことを書くつもりです!」てな感じで各自が意見交換して、そのまま自由に各自部屋に篭り好きなだけ時間を使って集中して書くことができる。逆にサボろうと思えばいくらでもサボれる!そう!さすが!自己責任の国だなあ。おまけに、3食ともホテルで食事ができ、おやつまで付いている!極め付けは、トレッキングの計画が夕方のスクジュールに組み込まれている!(これは希望者だけだが)
なんて素敵!
しかし、そう感動したのは、初日だけ!実は、今回の合宿は、ある研究プロジェクトの一環のため、ここでの滞在費から食事代が交通費まで全て研究費で賄われた。だから、本当はみんな真剣だ!!責任重大だ!プロジェクトに関係ないただのゲストリサーチャーの私だけがこんなにノホホンとしていただけだ。おまけに、大幅に遅れをとっている言語の壁でみんなの足を引っ張ってばかり‥みんなごめんね!「ノルウェーの大学はゆるいなー」なんて少しでも思ってしまって。でもやっぱり!どう考えてもやっぱこの環境はステキだなあー。多忙極まりない日本の大学の先生方のためにもこの"writing reteatシステム"日本に導入してほしい。
前置きはさておき、今回のトレッキングルートの紹介をする。
第一日目 6月2日(水曜日)Hillsøytoppen周回コース
ホテルの玄関前に集合して、前回紹介したHillsøytoppenに登る。何度もここに来ているベテラン人たちの扇動に、我々新米組はおしゃべりしながら付いていく。どうやら、あの例の直登ルートを取るようだ。また息が切れるなーと思いながら鎖に手をかける。サーメ人の若い女性Eは抜群に速い!岩場をものともせず駆け上がっていく。歳も考えず、山登りに関してはつい張り合ってしまう愚かな私は、カモシカのような彼女に必死についていく。そのおかげか、先回より10分以上も早く登場についた!しかし、後の人たちのことを全然考えず突っ走り、大人気ないのも極まりない!
さて、今回トレッキングしたメンバーは7名。ノルウェー人と海外からの研究者たちほぼ半数ずつ(といっても殆どがノルウェーに移住して何十年経っているらしい。だからほぼノルウェー人といっても良いだろう)。誰もこのNoteの存在は知らないから、メンバーの顔写真アップしても大丈夫かな!
美しく逞しいヴァイキングの女性たち!!カッコイイ会心のワンショット!
それにしても、彼ら「皆んなでまとまって集合写真!」というのを極端に嫌がる!恥ずかしいのか、それともそんなことは美意識に反すると思っているのか。それとも、コロナ禍だから?(そんなはずは絶対無い‥ だって飲み出したら結構くっついている)それぞれが勝手にテキトーに写真をとっている感じで、後から一応それぞれの写真をシェアするのだが、なんともまとまりが無いものばかりだ。
この2枚だけが、何とか集合写真らしきもの。あー!でも‥。ここまできてはたと気がついた!もしかしたら、これが彼らのディスタンスなのか!日本のように、ほっぺたがくっつきそうに近づいてピースする集合写真に慣れてしまっていたから、なんかまとまりが無いななんて思ってしまったのか。確かに彼らにほっぺたつけてピースなんて似合わないな‥。
コースに戻ろう。さて今回は直登コースを戻らず、頂上から西側の尾根を伝って海岸に降りていくコース。3キロメートルほどの行程で、距離的には直登コースの倍以上はあるが、目の前の穏やかなフィヨルドの海岸線と外洋(北大西洋)の果てには、氷河によって削られた鋭角のシルエットの島々が輝いて、絶対にオススメコースだ。爽やかな風に吹かれ、写真を撮りながら硬い岩盤と湿地の緩やかな道を40分ほど歩くと岬の小さな海岸に到着する。
ブルガリヤから移住した研究者V。気立が良い美人さん!この海岸からホテルまではさらに約1キロメートル歩く。このコースのトータル歩数は約13,000歩!ビールを楽しみにそそくさとホテルに戻る。
第2日目 5月3日(木曜日)Ørnfløya
2日目の夕方は、ホテルから5キロメートルほど離れた(車で10分くらいTromsø方面へ戻る)ところにある小さな駐車スペースに車を停めスタートする。垂直軸型の風力発電設備が立ち並ぶ丘の向かい側だ。先住民族と発電所の闘争を専門とする研究者Eは、やたらとこの巨大な白い風車(ブレード)群たちに噛みついていた!(もちろん実際に噛みついたわけではないよ)そんな彼女を話のネタにしながら、我々一行7人は緩やかな丘陵地帯を歩く。環境には優しいエネルギー発電だとは思うのだけれど、確かにこの大自然にはそぐわない。確かに目障りだ。でも、その恩恵にあずかってこんな厳しい自然環境の中でも快適に過ごせているわけだし‥。難しい問題だ‥。日本の原子力発電所の問題にまで話が発展すると面倒なので、ここは黙っておくことにした。
30分程緩やかな丘を登るとあっという間に頂上に到着!行程1キロメートルほど。頂上での記念写真、そして、背後にそびえる問題の風車群たち‥。
ただし、反対側を向くと素晴らしい眺望が広がっている!この際、こっち側だけ見るとして、コインの裏側は伏せて置いても良いのではないかなあー!なんてこと口が裂けてもここでは言えない!そんなこと言ったら、今度は本当にEに噛みつかれてしまうだろう。
これが風車群反対側の景色
こうやって見ると、橋も人工物!自然の景観を損なう?でも、この橋がなければあの素敵なSommarøy に行けないし‥。なんて思い巡らして、結局のところこの件に関しては口を塞ぎ、また来た道を降りていくことに。
最後に頂上に設置されたポスト。中に年季の入ったノートが入っていて、登頂記念にサインできるようになっている。中を見ると様々な国から来た観光客の名前がぎっしりと書かれていた。人気スポットらしいからね。(往復2キロメートル:行程時間休憩入れて約1時間ほど)
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