ノーベル文学賞の【的中偽装】について
本記事では、ノーベル文学賞の【的中偽装】について書いていきます。
【的中偽装】とは何かというと、実際には的中していないのに、「予想が的中した!」と偽装する行為のことを指します。
この【的中偽装】は、ノーベル文学賞の受賞者予想においても行われています。ノーベル文学賞は、毎年10月にその年の受賞者が発表されるのですが、受賞者が発表されたあと、「事前に予想して当てた!」「的中させた!」と主張をする人がたまに出てくるのです。
彼らの動きを追っていくと、それが【的中偽装】であることが必ず判明します。SNSなど、彼らがインターネットを通じて公に公開している情報だけで、その事実が浮かぶ上がってくるので、なかなか杜撰なものです。
しかし、なぜかその偽装行為が見過ごされ、酷いときには大手メディア・マスコミに「的中」として取り上げられ、報道されてしまうことさえあるのです。
[1] きちんとした「的中」と【的中偽装】
ひとつ前の記事にも書きましたが、私は昨年2023年のノーベル文学賞の受賞者を的中させました。
これは【的中偽装】ではありません。
正真正銘の「的中」であり、偽装でないことが明らかに分かる証拠を動画にも残しています。何を隠そう、私は2023年の受賞者を、前年2022年の時点で既に割り出していたのです。
そして、きちんとした証拠が残るよう、受賞者発表が行われる1ヶ月前の2023年9月初旬、YouTubeに「今年のノーベル文学賞はヨン・フォッセが受賞します」と断言した動画を配信し、その動画の中で私は「なぜ今年ヨン・フォッセが受賞すると断言できるのか?」、そう判断した根拠5つを約20分にわたって解説しています。
結果は皆様ご存知の通り、ヨン・フォッセ氏が受賞をして、私の分析は的中しました。これは的中の偽装ではなく、正真正銘の「完全な的中」と言えるでしょう。
しかし、この的中はいっさい話題になることはなく、大手メディア・マスコミは私の的中に対して沈黙を貫きました。
問題はここからです。
大手メディア・マスコミは、きちんと的中をさせた私ではなく、【的中偽装】していた人物を「的中」として取り上げ、報道してしまったのです。
その報道記事で、この人物は都内会社員の浦野喬氏と紹介されていていました。浦野氏は「東京小説読書会」というアカウント名でX(Twitter)にノーベル文学賞関連の投稿をよくしており、10/5のノーベル文学賞の受賞者発表の前後の彼の動きも追っていくことができます。
https://x.com/honnokai
報道記事内での彼の発言と、Xでの投稿を追っていくと、浦野氏の予想は「的中」と呼ぶには程遠く、本記事でこれから述べていく典型的な【的中偽装】に該当するもの、それもかなり悪質なケースであることが判明します。
この記事では【的中偽装】にはどのような手口があるのか、それを丁寧に解説していき、その説明の中で、浦野氏をはじめとする「具体例」の照会もしていければと思います。
[2] 本記事の意図するところ
なぜ私はこのような記事を書こうと思ったのか?
簡潔に述べるならば、今年の私のノーベル文学賞の受賞者予想の分析や切り口をパクられたくないからです。後述しますが、【的中偽装】のよくある手口として、他人の分析データを拝借するケースが横行しているのです。
私は今年も引き続きノーベル文学賞の受賞者予想をします。8月に入り、10月の受賞者発表が近づいてきましたので、これから自分の分析予想をnoteやYouTubeに発表していきたいのですが、浦野喬氏はじめ【的中偽装】の人たちに、昨年のようなハイエナ行為をされると面白くありません。
そこで、今年はいったんnoteの記事に、彼らが「どのような手口を使って偽装を行うのか」をまとめ、明らかにしておくことによって、事前に釘を刺す形で牽制をかけ、私の分析や切り口をパクられないように、また、パクられた際には指摘ができるように、防御策を打っておいてから、自分の分析・予想を発表していこう、と決めました。
私は、昨年の的中を台無しにされ、ショックでしばらく何もできない状態が続いておりました。それでも諦めずに、少しずつ少しずつ、対策を練りながら、崩れかかった精神を持ち直していきました。
この記事を書きあげたことによって、
今、ようやく新たな一歩が踏み出せそうです。
[3] 【的中偽装】の手口とは?
前置きが長くなりました。
どのように【的中偽装】が行われているのか、よくある偽装の手口を、大まかに3つご紹介します。
[手口1] 大量の予想リストを作る
この形の【的中偽装】は非常に多いです。
10名以上の作家名を書き連ねた「予想リスト」なるものを発表しておいて、そのリストの中に受賞者がいたら「予想が的中した!」と主張するわけです。
当然わかるかと思いますが、これは全く「的中」ではありません。
「いやいや、予想を10名に絞っただけでも凄いですよ」などと謎の擁護をする人が出てきそうですが、凄い、凄くない、の話はしていません。
これは「的中」ではない、と指摘しています。
(ちなみに、10名の予想リストで当てても凄くはないですよ笑)
この方法が了承されるのであれば、いくらでもリストを膨大にしていけます。
別の言い方をしましょうか。
10名の予想リストの中から受賞者が出たことが「的中」になるのであれば、では、何名までのリストが「的中」になり、何名以上だと「的中ではない」のでしょうか?
15名の予想リストでも「的中」?
20名の予想リストでも「的中」?
30名の予想リストでも「的中」?
50名の予想リストでも「的中」?
100名の予想リストでも「的中」?
そもそも、「的中」という言葉の、統一された認識がブレてきているのです。
語義を確認しておきましょう。
いかがでしょう? 「ぴたりと当たること」です。
よろしいでしょうか。
よって、語義に従うのであれば、受賞者予想における「的中」とは、【たった一名】の名前を予想として挙げて、それが「ぴたりと当たること」ではないでしょうか?
10名以上の予想リストの中から受賞者が出ることは「ぴたりと当たる」とは言いません。
この手法の代表例は、翻訳家の鴻巣由紀子氏でしょう。
鴻巣氏は「1990年代からもう25年ぐらい、ノーベル文学賞の受賞者解説待機要員(?)としてウォッチャーをしている」とのことで、ここ数年は、毎年10月の発表日直前に、Yahoo!ニュースでその年のノーベル文学賞についてまとめた記事を出すのが恒例でした。この記事の中で、毎年10名以上からなる大量の予想リストを挙げていたのです。
滑稽だったのは2020年。
この年から鴻巣氏はYahoo!ニュースでノーベル文学賞の記事の投稿をはじめます。
と事前にハードルを下げておいてから、記事の最後に大量の予想リストを掲載しています。
そこまでしておきながらも、結果は残念ながらハズレでした。
鴻巣氏は3日後に新たな記事を投稿して、
と、かなり恥ずかしい言い訳を書いてしまいました。
そもそも「スウェーデンアカデミーというのは、狙いすましたように "人がいないところにボールを投げこむ" のが得意」という、ノーベル文学賞の選考が一枚岩ではないことを把握できていない発言もツッコミどころ満載ですが、この点については今は話がブレるので、この記事の後半まで控えておくことにします。
ご本人の名誉のためにも書いておきますが、鴻巣氏は「的中した!」などと騒ぎ立てるような品のないことは決してしない方です。
【的中偽装】の例として彼女を取り上げるのは些か可哀想な気もしますが、しかし、翌2021年の記事の中で「過去にわたしの予想が当たったのは2回しかない」などと証拠もあげずに述べたりもしていますので、ここで指摘しておくのも一考の余地はあります。
[手口2] 大手ブックメーカーの予想リストからデータを拝借
この手口を使う人は、上記の[手口1]を組み合わせて【的中偽装】することがほとんどです。よって、この形の【的中偽装】も、[手口1]と同様に非常に多いです。
ブックメーカーとは何でしょうか。
念の為、こちらの語も、語義を調べておきましょう。
この記事で取り上げる「ブックメーカー」は上記の②。主に競馬やサッカーの試合など、順位の決まるスポーツにおいて、最終的にどのような順位になるのか事前予想を行い、当たりやすさごとにオッズ(掛け率)を書き並べたリストを作って人々に賭けをさせ、収益を得て儲けている人たちです。
ブックメーカーが賭け事として扱うのは、基本的にはスポーツの勝敗の結果ですが、欧米には、スポーツだけでなく、何でもかんでも賭け事にしてしまう「賭け屋集団」がいます。文学賞においても、「どの作家が受賞するのか?」ということを賭け事にしてしまうのです。
ノーベル文学賞の受賞者予想を賭けの対象にしている最も有名なブックメーカーは、イギリスのラドブロークスという集団です。
なぜ彼らが有名なのかというと、2003年頃から約10数年に渡って、ラドブロークスの予想リストの上位に上がった作家たちの中から、次々に受賞者が出たからです。
「ラドブロークスのノーベル文学賞の予想はよく当たる」という定説が出来上がり、毎年8月頃に発表されるラドブロークスのノーベル文学賞の予想リストは、ここ日本でも、大手マスコミのニュース記事やニュース番組で、まるで公式の情報であるかのように取り上げられます。
冷静になって考えてほしいのですが、ラドブロークスの予想リストは、ノーベル文学賞の公式情報ではありません。当たり前です。
ノーベル賞の主催はスウェーデンのノーベル財団であり、毎年ノーベル文学賞の受賞者を決定しているのは、スウェーデン・アカデミーという、スウェーデンの国営団体のメンバーたちです。
ラドブロークスは、ノーベル財団ともスウェーデン・アカデミーとも何の関係もない、単なるイギリスのいち掛け屋集団に過ぎません。
それでも、ラドブロークスの予想はよく当たる、過去によく的中していた、という理由で、毎年彼らの予想リストが発表されると、それを大手マスコミが取り上げ、公式情報であるかのように報道してしまうのです。
では、なぜ当時のラドブロークスの予想はよく当たっていたのでしょうか?
実は、情報がリークされていたのです。
2017年11月、スウェーデン・アカデミーに起きた一連のスキャンダルに絡めて、ノーベル文学賞の受賞者の情報がリークされていたことが報道されました。選考委員の一人、カタリーナ・フロステンソン氏から、夫のジャン・クロード・アルノー氏に最終選考の詳細が漏洩、アルノー氏は通算7名の受賞者の名を知人たちに暴露してきていて、彼らがその情報で賭けの利益を得ることを放任していたことが発覚したのです。
アルノー氏から知人たちへ暴露された情報がラドブロークスへ流れた可能性は非常に高いです。
このような予想リストの情報を、さも公式の情報であるかのように有り難がって大々的に報道しているのが、大手メディア・マスコミのニュース記事、ニュース番組なのです。
そして、このラドブロークスの予想リスト上位に載っている作家たちの名前の中から、恣意的に何名かの名前を挙げ、さも自分のオリジナルの分析予想であるかのように装うのが【的中偽装】の[手口2]になります。
つまり、
という手口です。
ラドブロークスの予想リストは、受賞する確率の高い作家を絞り込んでくれているので、世界中にいる膨大な作家たち一人一人を分析する手間を大幅に省いてくれている訳です。
この手口を使った【的中偽装】の代表例は、なんと書籍です。
『ノーベル文学賞にもっとも近い作家たち』という本が、一時期「よく当たる」「予言書だ」などと持て囃されていました。
これからノーベル文学賞を受賞する可能性の高いと思われる38名の作家を独自に選び出し、各作家の代表作のあらすじ、日本語訳がある作品リストなどを紹介した読書案内、という体裁の本で、2014年の9月に発売されると、翌年以降、この本に載っていた作家たちの中から次々に受賞者が出て話題になりました。
2015年:アレクシェヴィチ
2016年:ボブ・ディラン
2017年:カズオ・イシグロ
2019年:ペーター・ハントケ
2023年:ヨン・フォッセ
2015年から3年連続、2024年現在までに計5名。
あまりによく当たる、ということで、著者の都甲幸治氏がNHKからのインタビューを受けています。
都甲氏は「メディアが報道する受賞者予想は参考にしました」とはっきり述べています。もちろんここで言及されている「メディアが報道する受賞者予想」とはラドブロークスの予想リストのことです。
このインタビューでは、「ラドブロークスの予想リストはあくまで参考程度で、独自に作家を選んでいったらたまたま当ててしまいました」という態度を通していますが、もし本当にそういう選定方法だったのであれば、書籍のタイトルに「ノーベル文学賞にもっとも近い作家たち」と冠するのは矛盾しています。
「ノーベル文学賞にもっとも近い」と言い切る根拠の出所は、いったいどこにあるのでしょうか?
ラドブロークスの予想リストに載っていた、という裏付けがなければ、このようなタイトルはつけないはずです。
そして、何を隠そう、この書籍の中で著者本人が、ラドブロークスの予想リストを参考にした上で作家を選んでいったことを白状しているのです。
都甲氏は、上記のインタビューで「たまたま当たってしまった」という態度を通していますが、ラドブロークスの予想リストを参考にしていたことを強調し過ぎないように気をつけているのがよくわかります。
予想リストありきで掲載作家を選ぶことと、独自に掲載作家を選んだあとに予想リストを照らし合わせるのでは、「予想を当てた凄さ」の印象が大きく異なります。
騙されないでください。『ノーベル文学賞にもっとも近い作家たち』と題した書籍の中から次々に受賞者が出れば、いっけん凄いことのように思われますが、実際にはラドブロークスの予想リストを参考にした単なる【的中偽装】手口2の一種に過ぎなかった訳です。
さらに、見過ごしてはいけない事実があります。
ここまでお読みの皆さんは、もうお気づきでしょう。
これが、この記事でここまでに紹介してきた、
【的中偽装】の手口1と2との合わせ技になっていることを...
38名の作家を掲載。
手口1の「大量の予想リスト」にも該当している訳です。
[手口3] 発表日直前に自分の「予想」を投稿
これが一番卑怯な手口です。
既述のとおり、ノーベル文学賞の受賞者発表は毎年10月の木曜日。その直前のタイミング、つまり発表日の前日、あるいは2、3日前になってから、Twitterやブログ、ウェブ記事などに「今年は●●が受賞すると思います」と自分の予想(と称するもの)を発表するのです。
当然、その時点では上記のブックメーカーの予想リストも、私がYouTubeに出す分析予想の動画も既に配信済みのタイミングです。
他人の分析・予想を存分にチェックできた状態で、満を持して、さも自分のオリジナルの分析の結果から導き出したかのように、最も受賞する可能性の高そうな作家の名前を挙げるのです。
この手口を使う【偽装的中】の手合いは、「なぜその作家を予想したのか」という根拠を曖昧にしか述べません。
なぜなら、他人の分析を拝借しているだけで、自分では分析していないので、論理的な根拠の述べようがないからです。
この手口を使った的中偽装の具体例は...
ここで、いよいよ冒頭に紹介した浦野喬氏の登場です。
本記事の冒頭で、私は浦野氏の予想を、「典型的な【的中偽装】に該当するもの、それもかなり悪質なケースである」と指摘しました。
驚くことなかれ、浦野氏の【的中偽装】は
手口1、2、3の合わせ技なのです。
まず、浦野氏の予想を発表したタイミング。
10/3、つまり受賞者発表の2日前に下記のツイートをしています。
これ以前に浦野氏が特定の作家に絞って予想を公に発表した痕跡はありません。よって、このツイートをもって、浦野氏が自分の予想を確定させた瞬間と見做すのが妥当でしょう。受賞者発表より2日前のタイミングでの予想となるので、これは本項の【的中偽装】手口3に該当します。
当然、この10/3の時点ではもうラドブロークスの予想リストも出ていますし、私はYouTubeに「今年はヨン・フォッセが受賞します」と断言した動画を配信済みです。
こういった、他人の分析や予想をいくらでもチェックできた後のタイミングで、満を持して「自分の予想」と称するものを発表している訳です。
また、同ツイートには下記の文章が続きます。
おそらく、なぜヨン・フォッセを「本命」と予想したのか、その理由を書いているのかと思いますが、この根拠は論理が通っていません。
近々の代表作が欧米の文学賞ショートリストにノミネートされながらも受賞を逃している作家は他にもいるので、この事実のみをもって、ヨン・フォッセ氏ひとりに予想を絞り込める、という結論には繋がりません。これが根拠にはならないことくらい馬鹿でもわかるでしょう。
しかし、浦野氏は同様の根拠をマスコミの取材でも述べています。
ノーベル文学賞の選考過程は公式サイトにも詳述されており、候補者は世界各国の専門家からの推薦が前提、受賞条件は「人類への貢献」であって、「他の文学賞と被らないように選ぶこと」ではありません。
手口2の項目のところで紹介した鴻巣氏の発言とも被りますが、【的中偽装】をする人たちは、選考団体スウェーデン・アカデミーがノーベル文学賞の選考をどのように進めているのかをきちんと把握できていないようです。
浦野喬氏も、鴻巣由紀子氏も、スウェーデン・アカデミーを舐め過ぎなのです。
「米国や西欧の文壇とは違う作家をすくい上げる」などと、さも一つに統一された人格による個人意思で受賞者を選んでいるかのように決めつけていますが、ノーベル文学賞の選考はスウェーデン・アカデミー18名のメンバーによって候補者の作品を読み込み、「人類への貢献」という条件に見合うかどうかを何度も何度も話し合いながら進めていくきめ細かな選考で、そこに「いち個人の願望」や「恣意性」が入り込む余地はありません。
浦野氏も鴻巣氏も、最終的に投票で過半数を集めた候補者が受賞者になる、という最も基本的な事項さえも把握できていない可能性があります。
浦野氏は、ヨン・フォッセ氏の受賞が発表されたことを受けて、マスコミの取材にこう応えています。
この発言が決定打です。
浦野氏の予想に信憑性がないことが判明してしまいました。
なぜ浦野氏は予想が当たって「驚」いたのでしょうか?
答えは明白で、自分の予想に確信が持てず、自信がなかったからです。自信があれば、自分の予想が当たって興奮することはあれ、「驚」くことは絶対にありません。
なぜ自分の予想に確信が持てなかったのでしょうか?
他人の分析・予想データを拝借しただけだからです。
自分で分析をした結果、導き出した予想ではないので、ヨン・フォッセ氏を本命に選んだ理由を語る段になっても「ノーベル賞が好みそうな状況です」などと曖昧な根拠しか述べられないのです。
なお、浦野氏は上記10/3の本命予想ツイートの翌日、下記のツイートをしています。
本命予想したヨン・フォッセの作品を事前にきちんと読んでいるとアピールしたかったのでしょう。「不思議なドッペルゲンガー小説。あったかもしれない人生の交錯が面白かったです。」と感想を書いていますが、これはこの本の裏表紙に書いてある作品冒頭の概要を、部分的に書き写しているだけです。
つまり、この本を読了していなくても書ける内容です。
そもそも、この作品をきちんと読んだのであれば、その紹介をするとき「ドッペルゲンガー」という用語を使うことに対しては慎重になろう、という意識が働くはずです。
私は作者のヨン・フォッセ氏自身がどういう見解なのかを確認した方が良いだろうと、2023年の年明けからずっと、インタビュー記事や対談の動画がないか探し続けていました。運良く見つかったもののうちの一つが、本作が発表された直後にYouTubeでされた2020年の対談動画でした。
この動画の中で、ヨン・フォッセ氏ご本人が「ドッペルゲンガーという認識で問題ない」という趣旨の発言をされているのを確認した上で、私は10/5の発表日当日のYouTube生配信でそのことを紹介しています。
また、本作はそのタイトル「セプトロジー(七部作)」からも察しがつくように、七つのパートから成る3巻本の作品です。つまり七部まで読むことで意味を成す作品なのです。
浦野氏がツイートに載せているのはそのうちの一部と二部が収録された第1巻のみ。私は第2巻収録の四部の途中まで読んだ段階で初めて「そういうことだったのか!」と、そこまでの話の繋がりをつかんだような気がします。3巻全て揃えろ、とまでは言わないまでも、第1巻だけしか読まずに、この有機的な各パートどうしの繋がりをつかむのは難しいでしょう。
ヨン・フォッセ氏の作品をきちんと読んだように見せ、自分の予想の信憑性を上げたかったのでしょうが、浦野氏のツイートや取材時の発言を見る限り、むしろ、この第1巻でさえきちんと読んでいない可能性が露呈してしまっています。
ちなみに、私は同じ作品を2023年の年始の段階で購入して「今年のノーベル文学賞の最有力候補と見做す」と書いて1/14にツイートで紹介しています。
これは浦野氏による、発表日直前にされたツイートの9ヶ月以上前になります。
(※ここでチクっと指摘した "9部作と誤訳していた著名人" とは、上記の鴻巣由紀子氏のことです笑。鴻巣氏は、しばらくしてからYahoo!ニュースの記事を何事もなかったかのようにしれっと修正しています)
浦野氏には、さらに都合の悪い点があります。
この作品はKindle版がAmazonで購入できるので、わざわざ書籍で手に入れなくとも、オンライン上で購入した瞬間に読むことが可能なのです。
なぜ浦野氏はわざわざ書籍を手に入れたのでしょうか?
それは、ツイートに本の写真を載せたり、取材で写真を取られた際にその本を手に持った画が欲しかったからです。
書籍版を購入したのは、作品を読むためではなかった。それを裏付けるかのように、浦野氏が本作『The Other Name』を読んだ痕跡がいっさい出てきません。
きちんと書籍を取り寄せて読んでいるように見せることで、予想の信憑性を上げたかったのでしょう。そのためには、3巻全てを買い揃える必要はない。そこまでの思い入れはないので、証拠として見せられる最低限、3巻本のうちの第1巻のみを購入した、という訳です。
ちなみに、私はヨンフォッセ氏の受賞に確信を持っていたので、発表日当日のYouTube生配信や、動画で作品を紹介する際に画的に映りが良いだろう、という下心もあって、上記3巻本をすべて取り寄せていますが、実際にはKindle版で作品を読んでいます。
(つまり、書籍版3冊とKindle版の全パートの両方を購入しています)
残念ながら、まだまだ続きます。
このあと、浦野氏は驚くべき動きをするのです。
今度はなんと発表日の当日である10/5。
時間帯にして、発表のある日本時間20時からわずか3時間半ほど前の16時41分頃、つまり、まさに発表直前のタイミングで、浦野氏は、10名以上からなる予想リストをツイートしているのです。
この2日前に「2023年のノーベル文学賞予想の本命はノルウェーのヨン・フォッセ。」と本命予想ツイートをしていたはずなのに、なぜ...
答えは簡単で、
ということです。
この予想リストのツイートで保険を打ってしまった時点で、浦野氏の予想は「的中=ぴたりと当たる」に該当しないことが確定してしまいました。
もはや言うまでもありませんが、これは【的中偽装】手口1に該当しています。
最後に、手口2に関して。
浦野氏が手口2を駆使している証拠はたくさん出てきますが、ここではひとつだけ。
2021年7月31日のツイート。
いかがでしたでしょうか。
このような【的中偽装】、まったくもっていい加減な予想が、「的中」として大手メディア・マスコミに取り上げられ、私の証拠付きのきちんとした「的中」は完全に無視されてしまったのです。
[最後に] 的中偽装の報告・拡散にご協力ください
はたしてこの記事がどのくらい効果があるのか分かりません。
それでも、新たな一歩を踏み出すため、私は心のつかえを吐き出す必要がありました。
少しでも、ノーベル文学賞の【的中偽装】が世間に広まり、きちんとした「的中」に光が当たってくれることを願ってやみません。
これから私は今年のノーベル文学賞に関する自分の分析予想を、ここnoteに綴ったり、YouTubeへ動画投稿して発表していきます。
もし、また彼らが的中偽装を行っていたり、私の予想分析や切り口をパクっているのをみつけたら、ぜひSNSでの拡散、私への報告をお願いしたいです。
2024.08.11 文学YouTuber ムー
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