防災担当大臣

令和6年の元旦に能登半島で巨大地震が発生し、大津波警報も発令された。時間が経つにつれてその甚大な被害が明らかになりつつある。お見舞い申し上げます。

地震、火災、津波などの災害が発生するたびに不思議に思う事がある。それは記者会見に出てくるのがいつも総理大臣でマニュアルを読み上げているような決まりきった発言(〜を指示しました、〜を指示しました)が繰り返されるだけで防災大臣の顔が見えないことだ。

防災大臣は関連部門との実務協議に多忙であるから総理大臣ではなく官房長官が記者会見すれば良い。総理大臣は国政全般にわたる責任者であり、いつ国際問題や防衛問題が発生するかもしれない。常に表面に出るのが総理大臣というのは腑に落ちない。何か事件が起こると総理大臣がヘッドになったxx会議、xx会議などを立ち上げる。総理大臣がヘッドだからメンバーには大臣が顔を連ねる。

内閣改造のたびに変わる大臣では実務的なことはわからない。

担当大臣がヘッドになるー>各省庁の次長、局長がメンバーになり専門的な議論を重ねるー>総理へ答申するー>最終的に閣議決定する。

これの方が具体的な議論が重ねられ、総理も常に政治全般に目を光らせることができるのではないだろうか?

日本には消防法というのがある。“消防”とあるが火災だけでなく、地震、水害などあらゆる災害に対処するための法律である。この中に“防火管理者”という立場が規定されており、防災については企業であれ、集合住宅であれ、防火管理者の有資格者が全ての指揮を取ることになっている。最終責任は企業であれば代表取締役、マンションであれば管理組合理事長が取ることになるが、防災計画の立案、防災隊の体制整備、必要備品の整備などは防火管理者の指示のもとに行われる。

私がいた米国の巨大企業では、やはりCEOやCOOとは別に防災責任者がいた。彼の組織は警察、消防の他にF B Iとも連携し、日頃から訓練と情報交換を行なっており、彼の指示は絶対。経営のトップは彼が動きやすくなるようにサポートをするだけです。いざとなると、彼の指揮のもとに軍隊のように防災組織が立ち上がる。

ところが、日本政府の防災大臣というのは内閣府特命大臣(防災担当)で名簿を調べないと誰だか分からない存在。自然災害が多く、大きな地震がいつ起こってもおかしくない日本において、防災大臣の顔が見えないことに一抹の不安を覚えるのは私だけだろうか。

企業や国民には消防法を課しておきながら、国家レベルの防災については形式的な閣僚会議が行われていうだけのようで不安が残る。