ミドリの目覚め
桜の木は、皆さんのご近所にあるだろうか。
典型的な落葉樹で冬は丸裸になり、春になったら花を咲かせる彼らだが、
「あ、今年は咲かないかも」
「このまま死んでしまうかも」
と考えたり、頭を過ったことはあるだろうか。
植物を育て出し、冬時期に休眠を行う植物と向き合う度に、この時期はヒリヒリする。
「また葉っぱを展開してくれるだろうか」
「ちゃんと起きてくれるだろうか」
葉を落として幹だけになり、生きているのか死んでいるのかすらわからない彼らを見る度に、当たり前への気付きや有難さ、命の儚さを考えさせられる。
◆◆◆
冬は管理が難しい。
『水やり3年』なんて言葉があるように、冬の管理の難しさの一つは水やりだと思う。
寒さに弱い植物たちへの水やりは特に気を遣う。葉を落として休眠期に入っている人たちには基本的にあげないようにしているが、全くあげないと根がダメになりすぎて、休眠が永眠になることも。
ただ、冬場は屋内管理に切り替えている私は、例年すごく悩む。
暖房と加湿器をつければ20℃/60%に維持できていて、これは春の気温に近い。しかし、不在の時には諸々切っているので10度近くまで落ち込むこともある。そもそもこの気温はあくまで空気中の温度なので、根っこがある鉢内温度も考えると…さらに、植物によっては夏型、冬型、春秋型と色んな種類がいて生育温度や休眠温度が異なる。そして同じ植物でも種類によっては耐寒性の強いものとかなり弱いものもいて…と考え出すとキリがなくなって、どうしていいのか全くよくわからなくなる。
ちなみに水をやりすぎたくない理由は大きく2つ。
一つは「徒長」。水が多すぎる植物は伸びやすくなる。特に斑入り系などの葉緑素少ない組は形を崩しやすいようだ。
「形が悪い」というと人間のエゴ丸出しなのだが、植物自体も弱まってしまうので、病気になったり害虫に襲われるリスクが高まる。
我が家では基本的に虫が出ないように細心の注意を払っているが、毎年、というかほぼ毎シーズンでカイガラムシと戦闘を繰り広げている。体長1mmにも満たない彼らだが、一度出現すると倍々ゲームで増殖する。前世で彼らとは因縁があるのかもしれないというレベルで不毛な戦いを強いられているのだが、虫の話は人によって好まないのでこの辺にしておく。
ちなみに、彼らが出た時の最終手段は農薬散布(オル〇ランは神)だが、基本的には『テデトール』を用いる。皆さんはご存じだろうか、テデトール。植物界隈ではみんな用いている方法なので、今日はこれを覚えて帰ってほしい。
テデトール=手で取る
はい。
はい。じゃないが。
でも本当に効果的だし、有名な園芸家さんや、一般の方もそういう風に言うので、植物界隈ではおそらく共通言語である。
ですので、皆さん『カイガラムシにはテデトール』、今日はこれを覚えて帰ってくださいね。解散。
閑話休題。
水をやらないもう一つの理由は「根腐れ」。これが一番怖い。冬じゃなくても起きるのだが、水のやりすぎは植物を殺す。過ぎたるは猶及ばざるが如し、である。塊根植物をブヨブヨに腐らせた時のショックは今でも忘れないし、水も愛情も、行き過ぎると相手を殺す行為だと身をもって知った。いや、ほんとに。
ということで水やり慎重派閥の私でしたが、反対側には「枯死」つまり水不足で死ぬ可能性もあり、今年も若干やらかしました。本当にごめんよ…。
そういうわけで、とても難しい冬の管理を超えた先にある春は、本当に待ち遠しく、喜びもひとしお、なのでありました。
おまけ
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