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五美大展を見てきた話

正月に駅伝をテレビで見ると、
出場している大学に通っていた人は
さぞ応援に熱が入ることだろうと
いつも羨ましく思う。
しかしながら私には、
かろうじて五美大展がある。
これはとてもありがたい。

会場に着いてすぐに
藝大が参加していないことに気づき
おやと思い調べてみると、
かつて五美大展が上野で開催されていた頃、
同時期に同じ場所で藝大が
自分たちの卒業制作展を開催していただけであり、
藝大が五美大展に参加していたわけではなく、
しかしこれを私のように
間違えて記憶している人が多いらしい。
なんだかまるで
ラピュタの幻のエンディングのようである。

前置きが長くなったが、
ここでは莫大な展示作品の中から
私が気になった作品を
あえて文章のみでご紹介する。

多摩美術大学 版画専攻、
加藤昌美さんの「Town」は
タイトルの通り都会的な印象と
白いキャンバスに貼り付けられた
艶やかな黒いアクリル板の線が
浮き出して見え、
視覚的な面白さがあった。

多摩美術大学 油画専攻の
薄井優華さんの「窓・展望」は
横長の画面に展開する山脈の絵画作品だ。
時折差し込まれるミントグリーン、
くすんだライトブルーの色味が
とても素敵であった。
これを私の絵ですと
言えるのが本当に羨ましい。

多摩美術大学 油画専攻の
大江華子さんの作品「素_ 3」は
色数が少ないにも関わらず
ダイナミックで目を引く絵画だ。
キャンバスにビニールとあったが、
どのように描いているのか気になる。

女子美術大学 洋画専攻の
陸艶陽さんの作品「ネギさん」。
可愛らしいフィギュアは
私以外にもパシャパシャと
写真を撮っている人が多かった。
50センチのそれ以外にも
ずらりと並んで展示された
小さなフィギュアたちに
思わずデザイン科の子かな?と
学科を確認してしまった。

ずらりといえば、
女子美術大学 立体アート専攻の
濵平茉莉さんの「いただきます」は
今回MVPなのでは?と思うほどであった。
早速ネットで調べてみたところ、
すでにご本人らしきツイッターが
バズっていたので
ほっと胸を撫で下ろした。
マットな質感で色調が抑えられたお寿司は
石で作られ、
さらに石で着彩されているとのこと。
ずらりと並んだそれらの中に
人体の一部の載った不気味な物もあり、
遠目で見ても
近くで見ても楽しさがある。
台座のくすんだ黒も
お寿司が映えてとても良い。
展示において連続性は大事であるので、
これだけの数を作る必要は大いにあったと思うし、
同時にとても大変だったろうと容易に想像できる。
それだけにどこに展示しても
負けないだろうなと感じさせられる
強さがあった。

最後に、
武蔵野美術大学 油絵専攻の
安齋まりなさんの「残光」は
異素材の組み合わせと
抑えられた色調が好みであった。
絵画ではなく毛糸や羊毛フェルトなどで作られ、
タペストリーのごとく吊るされた作品だ。

大学に多少偏りが出てしまったが
偶然である。
しかしながら今年は
母校の評判が良いようで
とても嬉しく思う。

卒業してからもこんな風に
楽しませてもらうことができ、
学生の皆さんと
展示に関わった全ての方々に対し、
感謝の念とともに
お疲れ様でしたの一言を
陰ながら送らせていただきたく
つらつらと書いた次第。


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