【詩】別れと洗い物
フライパンを洗いながら考えていたのは
別れ際土俵際去り際は美しくあるべきで
口角を無理に持ち上げて「さようなら」と
こちらから告げるべきかなということ
油汚れが浮き上がるのを見ながら
疲れたから別れたいじゃ不誠実かなと思う
最近の洗剤は少量で泡のもちがよい
ケイザイテキケイザイテキと微笑む
切ない時にまで金銭的なことを考えて
随分と大人になったものだなぁと思う
慌てて別れる必要もないのかな
他に好きな人がいるわけでもないんだし
布巾で拭きながら口笛をふこうとし
また不幸な別れのことを考えだした