読書の記録(8)『ついでにジェントルメン』
『ついでにジェントルメン』 柚木麻子 文藝春秋
手にしたきっかけ
『BUTTER』がおもしろくて印象に残っている。なんとも濃厚で読み手も絡めとられていくような感じが面白かった。
『ついでにジェントルメン』は木原未沙紀さんの表紙のイラストにもひかれた。
心に残ったところ
『著者初の独立短編集』とあるように、7編の短編からなる。私が印象に残ったのは、『Come Come Kan!!』『エルゴと不倫鮨』『あしみじおじさん』
『Come Come Kan!!』はKanって菊池寛?!えっ現代に来ちゃったの!?という設定が突飛な気もしたけれど、菊池寛のキャラクターが際立ってて、楽しかった。
『エルゴと不倫鮨』は自分にも、好きなときに好きなものを食べられないという経験があるから余計におもろく感じたのかも。
『あしみじおじさん』に『世界名作全集あおぞら』が出てくる。この『あおぞら』が美容外科の待合室に置かれてなかったら、このお話は始まらない、主人公の人生は動かない。
抄訳、完訳、とこだわる理由ってなんなんだろうとか、抄訳を読んで知った気になるのってそんなにいけないことなんだろうかとか、昔はハウス名作劇場とかでアニメで名作に触れる機会があったよなあとか、アニメで知っていたから完訳に手を伸ばせたんじゃないかとか、時代や価値観が変わっているのだから変化していくのも当たり前なのかなとか、最近グルグルと考えていたことのヒントになった感じがする。
まとめ
仕事でグルグル考えていたことのヒントがもらえるなんて思わなかった。一人で考えていたモヤモヤが、ある日突然まるで霧が晴れるかのようにス~っと消えていくことがあるから、読書はやめられない。