読書の記録(41)『家事か地獄か 最期まですっくと生き抜く唯一の選択』稲垣えみこ マガジンハウス
手にしたきっかけ
ずいぶん前に妹に薦められたのをきっかけに稲垣えみこさんの本を読むようになった。『老後とピアノ』については、いわた書店の一万円選書のカルテにも書いた。
ミニマリストに憧れる私。転職して時間ができたこともあり、モノと向き合い、家を片付けようと意識し始めて、3年ぐらいになる。(そのことはこちらに書いています。)
心に残ったところ
季節の変わり目に服を見直し、子どもの進級・進学のタイミングで学用品を見直し、サイズアウトした子ども服を見直す。このサイクルを数年続けてきた。そこで実感しているのは、片づけは1回減らしきると楽にはなるけれど、それで終わりではないということだ。子どもの成長に応じて、必要なモノも変わってくるし、どうしてもモノが増える時期もある。うちは家族4人で3LDKのマンションに住んでいるが、「だれがどこで寝るか問題」は季節によっても変わるし、子どもの成長によっても変わってくる。
稲垣さんは退職にともない、半ば強制的に暮らしを小さくすることを余儀なくされた。一気にモノを最低限まで減らした。そこで得たものは圧倒的な自由と快適さと幸福度だ。一人暮らしということもあるかもしれないが、こうやって実際の暮らしの様子を読むと、私もやってみたい!と思う。
LINE片づけの1周目では手放せなかったものがあった。収納できるスペースがあったから保留にした。けれど、時がたつと「結局使わなかったな。もう、さよならしてもいいな。」と自然に思えてきた。この春に手放せたものがいくつかある。モノと向き合うタイミングや、モノと向き合うペースは人それぞれなんだろうと思う。ただ、私は日々のことに流されて、ついついモノをそのままにしがちになるので、見直すきっかけをこの本が作ってくれた。
『便利』『時短』といった言葉に誘惑されるけれど、余計に手がかかる、複雑になる、というものは確かにあると思う。特に、稲垣さんのお母さんのエピソードが実感を持って迫ってくる。長年、家族のために家事をこなし、料理を作ってきた。ところが年を重ね体が弱ってくると、今までの経験が自分を苦しめるもとになってしまうのは悲しいと思った。離れて住む子どもがよかれと思って用意した家電を使いこなせないというのも、どこの家庭でも起こりうることだと思った。
稲垣さんの本を読むと、生きる勇気というか、私もやってみようという前向きな気持ちになる。『モノがあれば豊かになる』という昭和の価値観が私の中にまだあるので、便利なものはないかとついつい探してしまう。「こんな新しい機能がありますよ」と言われれば、それを手にしたら快適な生活が必ず手に入ると勘違いしてしまう。けれど、LINE片づけを通して、モノと向き合い、処分するときの何とも言えない辛い気持ちを体験したから簡単にモノを増やすのはやめようと思えるようになった。
まとめ
モノと減らすと自分が望んでいた生活になるというのがすごく魅力的だ。私はまだまだ冷蔵庫も洗濯機も手放せないけど、つぎ買い替えるならシンプルで単機能な家電にしたいなあと思う。できることから始めてみよう、モノと向き合うことを続けていこう、と思わせてくれた本だ。
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