猫である僕を日本全国の旅に連れていってくれてありがとう(仮)プロローグ

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最初に、この物語は事実をもとにしたフィクションです。作者である私は実際にフアちゃんと会ったことはなく、飼い主である@teambrain「ジュンタさん」のTwitterを見たり、実際にジュンタさん&奥様から少しお話しを聞いた上で、あくまでも自分が想像で書いてるノンフィクションです(一応、ご本人様より許可は頂いています)

作者としては、まだ未熟故に文章自体に色々と問題があります。また、本来この作品は私がメジャーデビューをした際に執筆するつもりでした。それは、今も変わりありません(その際には、飼い主であるお二人様から本格的な取材をしてから、より物語を昇華させるつもりです)

その為、今回はその為の下書き的な作品となりますので予めご了承下さい。また、いずれその時が来る際には削除する予定でもあります。

最後に、この作品が完結になる文字数は1冊の短編小説(3万~6万文字)の予定です。不定期更新となる為、長い目で見てくれると有難いです。


僕の名前はフア。野良だった僕だけど、今は飼い猫として、ある夫婦と一緒に暮らしているんだ。それはそれは、毎日がとても充実していて、僕が本当に求めていた事を叶えてくれた僕の初めての家族なんだ。

 でもね、実はそれ以上に僕の求めていたのは……

 それは、また今度話すね。

 そうそう、少し昔話を話すね。僕はね、物心がついた時には僕を産んでくれた母親は既にいなかったんだ。顔も声も覚えていないから、当然だけど愛情なんて僕には無縁だった。

 だからなのかな……?

 僕はね、僕と同様の他の野良猫達と仲良くすることはなかったんだよね。なんだろう? 少なからず愛情は求めていたのだと思う。でもね、僕はそれを表に出せずに、気が付けば一匹狼になっていたんだ。でもね、それが間違いだったとは思わないよ。周りの野良猫達と同調したり、協力し合う事がどうしても出来なかったんだ。

 もしも、母親や兄弟の愛情を受けていたら、今とは正反対だったかもしれないと思うこともあるけどね。でも、僕自身は一匹狼として自由に生きる生活を自ら選んだ。大変だけど、それはそれで僕は僕なりに満足しているんだよ。

 日々、それなりに食べ物に困らなかったし、自由が故に僕は色々な場所を探索する。新しい未知なる発見を見つける度に僕の中で何かが少しずつ満たされていたんだ。

 その満たされた中の1つを言うとね、それは僕よりも遥かに大きな人族と呼ばれる人間達が憩いの場としている公園と呼ばれる場所さ。

 青く茂った芝は特にお気に入りさ。横に寝転がると、とっても気持ちいいんだよ。それにね、太陽の日差しが強い時には、日差しを遮断してくれる沢山の木々、日陰で涼しい茂みの中で過ごすことが出来るんだ。逆に、ちょっと寒い日には日差しで暖められた芝の上で寝転がる。それはそれはね、とても暖かくて優しい日差しを体に受ける事が出来るから、僕にとっては最高の場所なんだ。

 そんなある日、僕はいつも通りに公園でまったりしているとね、衝撃的な光景が僕の目に映ったんだ。

 それはね、僕と同じ野良猫2匹が二人の人間に何か食べ物を貰っている場面だったんだ。僕にとってみれば、それは頭に雷鳴が走るぐらいに衝撃的な出来事だったんだ。

 僕は以前から彼らの事を見てきて思っていたんだ。あの猫達は食べ物を調達する事が下手で、いつもその日の食べ物にすら困っていた猫達だったんだ。でもね、そんな猫達は僕とは異なる方法で、食べ物を調達していたんだから。

 それも、まさか人間が彼ら野良猫達に食べ物をあげていたんだから。僕にとっては衝撃的だったよ。それも、僕が見たこともないような美味しそうな匂いがする食べ物を満足そうな顔で食べていたんだもの。それは、僕にとっては羨ましい光景だった。

 え? 人間って、僕ら猫に食べ物を与えてくれる種族なの?

 今まではね、人間は僕ら猫を攻撃しない。でも、逆に干渉もしない、ただ巨大なだけの無害な種族だと思い込んでいたんだ。でも、実はそうじゃなくて、人間は僕ら猫に対して食べ物を与えてくれるのかもと。

 そして、人間は僕ら猫達に対して友好的なのかもしれないと、僕はこの時に知ったんだ。

 でもね、それを知っても僕には人間から食べ物を与えられることに抵抗があったんだよね。だってさ、僕は自由に一匹で生きていけるし、人間だろうと他の同族からも施しを受けるなんて事、僕のプライドが許せなかったから……。

 野良猫達に食べ物を与え、それを食べる猫の頭を撫でている優しさに満ちた二人の人間の顔と嬉しそうに、何よりも楽しそうにしている二人の姿を見て……僕はね、心の中で……

 なんだろう? とても不思議な何かが芽生えたのを今でも覚えているんだ。それが、なんだったのかを知るのはまだ遠い先なんだけどね。

 この時から、僕はね、人間という種族に興味を抱くようになったんだ。

 ハハハ、おかしいよね? だって、僕は同族である他の猫達にさえも興味がなかったのに、異なる種族に興味を抱くなんてさ。

 でも、今なら思う。この時に、もしも僕が人間という種族に興味を抱くことが出来なかったら……きっと、一生涯に渡って僕は何も知らないまま人間に関心も興味も抱かなかった。

 ……それに僕が本当に望んでいた事すら叶わなかったと思う。だから、この時の出来事がなかったら、僕は、ずっと一匹狼としてその生涯を終えていたかもしれない……。

 この日の出来事……それはね、ただ、自由と孤独の狭間の中で生きてきた僕の人生を最初に変えたターニングポイントだったのかもしれない。

 だから、僕はこの日を境に人間の生活、行動に興味を抱いて、時には人間と触れ合うこともしたんだ。試しに何人かの人間達の飼い猫になったこともあったんだよね。

 でも、何かが違ったんだよね。だから、僕の中で芽生えた「何か」を手に入れることは出来なかったんだ。

 だからなのかなぁ?

 僕を飼い猫にしてくれた人間が住む家から家出しては、次の人間の飼い猫になって、また家出してと何度も出ていったんだ。

 この時、僕はてっきり、僕の中に芽生え、そして求めていたのは「愛情」だと思ってたけど、本当は違ったんだよね。

 だから、僕は飼い主から心の底から愛される前に飼い猫から野良に戻る選択肢を選んだんだ。

 だってさ、僕を飼い猫にしてくれた優しい人間達は僕の事をずっと愛してくれるかもしれない。僕自身も、すぐには無理でも、いずれはそれに応えることが出来るかもしれない……けど、僕が求めていたのは愛情じゃなかったんだもの。

 それなら、せっかく野良猫の僕を飼い猫にしてくれた優しい人間達の心が大きく痛む前に自ら出て行こうってね。その方が、お互いに良いと思ったんだ。

 じゃ、僕は一体何を求めているんだろう? ずっと、考えていたけど、それが何なのかはずっと分からずにいたんだ。

 でも、そんなある日に僕は1人の人と出会ったんだ。

 その人は今まで出会った人間とは、どこか違った独特の雰囲気だった。

 何かに酷く飢えているかのような漆黒の瞳。でも、その漆黒の瞳の奥底から感じるのは、溢れる程の希望と太陽のような強く優しい輝き。僕と同じで、自由を追求しながらも強く楽しく生きようとする雰囲気……

 同調するように僕の目と、その人の目が重なった瞬間に僕は人生で2度目の雷鳴が身体中に走り渡って思ったんだ。

 この人と、僕はきっと似た者同士なんだと。そんな匂いがしたんだ。

 その瞬間、僕は心の中でようやく答えが出たんだ。それは、僕が求めていたのが何だったのかってこと。

 それは……

 それは……

 それは……ね?

 僕が求めていたのは「友達」だったということを。

 そう、あの日……公園で見た2人の人間が野良猫達に食べ物をあげていた時だ。あの時、僕は野良猫達が見たこともない美味しそうな食べ物を人間から貰って食べている事が羨ましいと思ってた。

 でも、本当は違ったんだ。僕は2人の人間が互いに心からとても仲良く楽しそうに過ごしているのを見て僕は羨ましかったんだと……。

 何で、今まで気が付かなかったのだろう?

 ああ、そうか……簡単なことだったんだ。僕が求めていた事は友達が欲しい感情だったんだ。でも、それは薄っぺらな関係の友達じゃなくて、一生に渡って僕といつまでも一緒にいてくれる、そして何よりも「僕と君が求めあえる種族なんて関係のない本当の友達」だったんだ。

僕を今も見つめ続けるこの人からは、そんな僕の願いを叶えてくれる、同時に僕もそれに応えられる気がしたんだ。

 「ねぇ? 僕と友達になってよ」

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 


 


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