下がらぬコーヒー相場、止まらぬ円安
昨年4月より少しずつ高騰し、7月末にはブラジルの霜害を発端とした大幅な価格高騰があったコーヒー相場は1年以上経過した今でも、相場下落の様子はなく、さらには円安といった問題も相まって、かなりの高価格になっています。どれほどのものになっているか、今後の行方を書いていきます。
コーヒー相場推移
上記グラフはアラビカコーヒーの相場価格推移になります。
コーヒー相場価格は安定しているときは110~130¢/lb台で推移するのですが、140¢/lb台になるとコーヒーを多く扱う商社やメーカーやロースターの仕入れ担当者は『ん?』となり、160¢/lb台になると『これはマズい』となり、180¢/lb台になると『値上げじゃあ!!』となります。
私の経験則ではおおよそ3,4年に一度のペースで相場は高騰し、1年半ぐらいかけてゆっくり下落して・・・また上がる!といったサイクルを繰り返します。コーヒーは先物取引される商品ですので、
『世界最大の生産量を誇るブラジルで天候不順が続いている!』
『コロンビアが大量植え替えを行うので、来年生産量が減る!』
『アフリカの内戦で流通が滞る!』
などの情報が出ると、コーヒーの供給不足が懸念されるため投資家たちは
『これは今のうちにコーヒーを買っておけば、先々価値があがりそうだ!』
という考えでコーヒーを購入していくため、コーヒーの取引価格は高騰していくわけです。
相場が上昇すると『実際にコーヒーを使用するわけでも無いハゲタカファンドが値段つり上げおってからに!!』と良く聞きますが、コーヒー相場が低価格で落ち着いているときもファンドのお陰なので・・・ とまあ
コーヒーは農産物ですので、安定した収穫というものはなく不安定な要素を
はらんだものなのです。
ドル/円 為替
こちらがドル円の推移になります。ご覧の通り恐ろしい勢いで円安傾向にあり、輸入品はこの影響を受けて軒並み価格が上昇しているため、昨今の値上げ祭りになっています。
コーヒー相場×ドル/円で算出される『理論価格』
アラビカコーヒー価格の計算方法をザックリ申し上げますと、
コーヒー価格(¢/lb)÷ドル換算(100)×為替(円/$)÷キロ換算(0.45359)
となります。これはあくまでも理論価格であって、実際には貨物の保険料等も加味されますし、取り扱うオリジンによってはプレミアム価格が追加されるので、あくまでも取引の最低価格値と認識頂ければと存じます。
上記の相場価格と為替を組み合わせると、日本に輸入されるコーヒー生豆の理論価格は上グラフのようになり、2021年6月時点では¥380/kgほどで輸入していたコーヒーは2022年8月末時点では¥730/kgほどになっており、大げさではなく2倍の取引価格になっています。ここ最近の円安もあって現在の取引価格はここ数年でも最高値となっています。
我々のようなコーヒー取引を生業とする業者にとっては本当に恐ろしい状況なんです・・・。
今後の見通し
8月を終えブラジルでの霜害懸念がなくなったと思いきや、今度は乾燥しすぎで来年度の生産量が減る懸念があるためここ数日で大きく価格が上昇しておりますが、数日中にまとまった降雨があるようですので、少しは落ち着くとは思いますが、いきなり相場価格が下落するような大きな要因が無いのが現状です。相場価格が高騰した際は1年半ほどの時間をかけて下落していく傾向にあるのですが、これまでにない世界的な在庫減少、円安、需要増といった問題から先行きが本当にわかりません!
『おいおいそれでもコーヒーを取り扱うプロなのかい!??』
と言われそうですが、本当にわからないんです・・・。
早く下がってほしいものです。