セブンイレブンSVとの最後の戦い(半沢直樹ばりの闘争)
私が店長だったとき、「S」というOFCが担当でした。
この男の口癖は、恐怖政治です。
最初は、かなり優しいのです。
まだ店長になりたてのときなどは、
「おう、早く帰れよ」
「〇〇結構売れてるから
売り場展開したら売上伸びるぞ」
すごく優しい口調&笑顔で接してくれていました。
ところが半月も経つと、得意の恐怖政治状態になります。
「おい!なんだこの売り場は!」
「おまえいつ辞めるの?」
「使えねー」
「他の店に飛ばすぞ!」
「パート1人ちゃんと
教育できないのかよ!」
「死ね!(といって蹴ってくる)」
なかなかの体育会系的言動ですよね。
最初の印象とのギャップがありすぎて、当初は空いた口が塞がりませんでした。ただパート・アルバイトさんにはめっちゃ優しい。でも店長室は怒号・怒号・怒号!
★SVとの戦いは以下でもやっています★
おそらくこの「S」さんは、そういう教育をされて、スーパーバイザーになったのでしょう。マネジメントという言葉は知っているが、恐怖政治!という恐怖で店長をコントロールするやり方が彼のスタイルでした。
そんな「S]との最後の戦いが始まりました。
あれはクリスマスが1週間後に迫った19時ぐらいのことです。
いつものごとく、その「S」が店舗にやってきて、店内やバックルーム、店長室を観察し始めました。普段はこんな行動はあんまりないので、嫌な予感がしましたが、レジ接客中だったので、いったん目の前の仕事に集中。
ジュースやお酒を常時冷やしておく「ウォークイン」という大型の冷蔵庫の中で、「S」は叫びました。
「おい、
こんなところに隠してんじゃねーよ!
ちょっとこっち来い!!!」
私は目の前のお客様をさばき終わり、かなり不安に思いながらウォークインに行くと、
「これ!この酒。これなんだよ!」
それは以前、前の店長があまりに売れないお酒だったので、ウォークインの陰に隠してあったお酒でした。私は、
「はい。
それは以前の店長が発注した酒です。」
「ああ?
今はおまえが店長だろうがよ。」
「はい。そのとおりです。
すみませんでした。」
私は、言い訳は怒らせるだけだと思ったので、素直に謝罪しました。それが気に食わなかったらしく、
「なんだよ!
だったら最初からそう言えよ!
前の店長のせいにしやがって、
大体お前は、
いつもそうやって人のせいにすんだよ。
前の店長の〇〇も結局使えねーから、
■■店へ飛ばしてやったけどよ。
お前も時間の問題だぞ。これ以上、
もたもたしてたらお前も飛ばすぞ!」
そういって、持っていた酒をこちらに投げるそぶりをしましたが、
「へへ!」とニヤつきながら、酒を元あった場所に戻しました。
「で、辞めんの?飛ばされるのを待つの?」
「S」は、そう言って私に向き直りました。
私はおそらく、とんでもなく睨んでいたと思います。
というのも、実は私は「前の店長」とは仲良しでした。
「前の店長」は関西人で、いつもニヤニヤしている店長だったのですが、
温かみのある人です。私よりも年下ですが、当時は結婚ホヤホヤでした。
いつも「S」に難癖をつけられ、言い返すこともできず、言い返してもすぐに逆切れされるという場に、私は副店長だったので、密かに前の店長を支えていました。
ある日めちゃくちゃすごい怒号が飛び、腹パンチされた「前の店長」が、目に涙を浮かべていたときもありました。
そんな店長は、私にとって、いわば戦友です。
川崎の天下一品で一緒にラーメンを食べたりしましたが、彼はそのとき、
「この時間が一番落ち着くよ。
美味しいな~天下一品のラーメン。」
なんて言って食べてました。
この天下一品の帰り道、前の店長と
「Sに文句を言われないぐらいの
いい店にしようぜ!」
と約束もしました。
その「前の店長」が急に異動になり、他店へ行ってしまったんです。
(その後、この店で私は店長になりました)
その彼のことを
「使えねえから飛ばしてやったよ!
お前も飛ばすぞ!」
と言ってきて、
「で、辞めんの?
飛ばされるのを待つの?」
なんて言ってきたもんだからその場で決心しました。
「今日、この場で辞めますよ!
辞表は別の日に、
本部に持っていきますから
この店は、
おまえが責任をもって回せよ!」
と気づいたときに言っていました。
ただ冷静な自分もいて、
(ここでこいつを殴ったら次の転職先に響く。
こいつのせいで、転職できないなんてシャレにならない。
ただこいつだけは追いつめる!)
そんな風に思いました。そして、
「まだ発注終わってないんですよ。
あと深夜の池田君が、
今週で辞めます。
深夜の補填もできてませんが、
今日からこの店があなたの店です。
さっさと、
ユニフォームに着替えてください。
早くしろ!!!」
「S」は慌てていました。
「おい、無責任だぞ。
今の退職の話は、
聞かなかったことにしてやるから」
こちらも、そうはさせるか!と思い、
「撤回はしない。
今日を限りでやめさせてもらう。
さっさと仕事しろ!」
それでも、ああだこうだ言ってきたので、
「じゃあ今日は最後まで働きます。
ただ明日の朝、
店長室の机の上に
辞表置いておきますから。
それを拾って、
本部へいって申請してください。
おつかれさまでした!」
そう吐き捨てるように言った私は業務に戻りました。
結局、その日の夜は、お互いに矛を納める感じで終了。
次の日、地区マネージャーから連絡があり、代わりの店長が来るまで店長を続けてほしい。次の店長が決まるのは今日から3ヶ月後だからと伝えてきました。私は、
「3月まで待つつもりはありません。
AFC(※)でもよこしてださい」
※AFCとは、店長経験者でOFCになる研修中のポジションの人
と言いました。ところがこの地区マネージャーは、
「頼むから3か月は耐えてくれ。
Sには店に行かせないようにするから」
と言ってきました。
そのあとも地区マネージャーはああだこうだ言ってくるので、仕方がないので、3月まで待つつもりはないが、次の店長が来るまでしばらく待つことにしました。
このようなやり取りを地区マネージャーとしてから、1週間後にSがまたお店に来るようになりました。
ちょうど年末の忙しいときでしたが、いつものように店長室に来て、他の話題を話しかけてましたが、私はほぼシカト状態です。
「おい、まだ退職は取り消せるぞ。
あのときは、俺も言いすぎた。
おまえが辞めると、
マネジメントできない
という烙印がされるから
正直困ってるんだよ。」
「困ればいいじゃないですか。
馬鹿らしい。本当なら今すぐにでも
やめていいんですよ。
早くAFCをよこしてくださいよ。」
「おまえ無責任だぞ。
副店長の××が1人で店を
回せるわけないだろ。
そんなんで恥ずかしくないのか?
そんなんで結婚できるのか?」
もう話すこと自体に意味がないと思ったので、
「こうなったのは、
あなたの管理能力に
問題があったことも原因ですよ
マネジメントが、
下手くそなんだよ」
と言って切り返しました。
結局さらに悪態をついてきたので、
「帰っていいっすか?」
というと、「S」の方が帰って行きました。
ただこんなことができたのも、私が20代だったからでしょう。
セブンイレブン勤務歴も結構長かったので、しっかり大手企業に転職することができました。サッサと退職してよかったです。