英語学習をもっと楽しく!洋楽で口語スキルを磨きませんか?(52)
今日は休日の午前中に聞くのにぴったりのノラ・ジョーンズさんをピックアップ。日本でも彼女のファンは多いかと。
で、彼女のヒット曲の中でも私のお気に入りの
Come away with me
を取り上げてみます。
肩の力が抜けててジャジー(Jazzy)な感じがいいですね。
で、この曲のタイトルでもあり、歌詞でもしょっちゅう出てくるcomeに注目します。日本人が苦手なcomeとgoの違いについて解説しましょう。
Come away with me.の訳を見てみると、ネットでは「私と一緒に出かけましょ」あるいは「私と一緒に来て」、「私について来て」といろいろですね。awayは「今いるところから離れたところへ」ということです。
そして、なぜgo with meではなくcome with meなのか。comeとgoは、基本的には日本語の「来る」と「行く」に対応していますが、どちらも日本語の「行く」という意味になることもあるので悩む人も多いようです。
これは話し手の視点の違いがからんでいます。
comeは「視界に入ってくる」というイメージです。そして、いったん自分からもう一人の自分が幽体離脱をして、相手の体にすっと入っていき、相手の立場から見てあげるんです。
例えば、家の中でお母さんが Breakfast is ready.(朝食の準備ができたわよ)と言えば、自分の部屋にいるあなたはI’m coming.(今、行くよ)と言います。つまり自分をお母さんの立場に置いているんです。そうすると自分の視界に入ってくるのでcomeを使うというわけです。
一方、goは「視界から消えていなくなる」というイメージです。そして今いるところから離れて、どこか別の場所へ移動するときに使います。
Breakfast is ready.と言われ、I’m going.と答えると「外出する」ということで、この場合「朝食はいらいない」というメッセージになります。
このようにcomeは相手の身になってあげるというのがポイントで「見えてくる」イメージ。一方、goは「消えていく」というイメージでつかんでおくといいでしょう。英語はこんな風に視点を自分の内側、外側両方から見ることができる言語なんです。常に自分を中心として、外の世界を見る内側の視点を持つ日本語とは少し違うので、慣れないと違和感があるかもしれません。
そこでノラさんのCome away with me.は、すでに自分が目的地にいると想定して、そこに私と一緒に行きましょう、と言ってるわけです。しかも遠方という距離感を出すawayをつけているので、「ここから離れたところにある」というニュアンスも伝わってきます。
では、問題です。
洋服ダンスの整理をしているあなた。着古してボロボロになったトレーナーを見て一言。
This sweatshirt has to go.
と言えば?
have toは「客観的に見てしなければならない」という意味。そして消えてなくなるのgoですから、
正解は、そう「このトレーナーはもう捨てようっと」ということです。
comeとgoの違いつかめました?
ところで歌詞の3行目の I will write you a song.ですが、a songと数えられる名詞としてsongを使っていますので、この意味は「あなたに1曲書いてあげるわ」です。
ネットなどを見ると「歌を書いてあげる」としていますが、その場合は数えられない名詞になるのでI will write you song.になるはず。
たかが冠詞、されど冠詞。英語を母語とする人の認知方法がそこに現れてくるんです。
侮れないです。
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