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英語って本当に教えられるもの?

しばらく空いてしまいました。40℃を超す高熱、激しいのどの痛み、眼精疲労、足のしびれ等々、まったく体が動きませんでした。救急搬送一歩手前。熱には強いと自負していましたが、さすがに40℃近くが連日連夜続くとフラフラでした。

今は、本調子ではないもののだいぶ落ち着きました。「インフル+コロナ」のダブル感染パンチだったかもしれません。

さて今回は「英語教育」のお話でも。

この本の最終章の「英語は教えられるのか」という箇所に、私が常に感じていることが書かれていました。教師が“教える”の対極にあるのは、学習者が“学ぶ”という行為。その両方がうまく作用して初めて、それなりの結果が得られます。

そのことに関し、著者は、

英語を「教える」という言葉が、ただ教師が説明するというのではなく、「学ぶ」という言葉に対応するのなら、学習者に英語を学び取らせたという自信はない。

と30年以上にも及ぶ教員生活を振り返って、こう述べています。

そして、学習者が英語を使えるようになったのは、彼、彼女らの努力であり、教師の努力ではない。

教師にできるのは、学習の道しるべを示してやること。あるいは学習の手伝いをしてあげることぐらい。

でも、彼、彼女らに英語を教え込むことはできない。

言語は誰かに教えてもらうものではなく、自分で学び取るもの。学ぶ側に学ぶ意志と継続的な努力がなければ、周りがいくら懸命になろうともだめである。

p216-p217

そう、教師が授業で教えたことだけで、英語をできるようにさせる、と意気込んでみたところでうまくはいきません。要は、如何に、学習者に授業外でやってもらうか、自ら行動に移して英語との接触を自発的とってもらうかの一言に尽きます。

言葉を変えれば、如何にやる気にさせるか、また、それを持続させられるか、が指導者の役目になってくると思います。

そこで大切なってくるのが第二言語学習で言われるところの学習者要因です。中でも重要なのが...........................

             動機づけ


これが一番成功と高い関係にあるからです。
これを如何に喚起するか、または持続させるか、が指導者の腕の見せ所になります。その際、気になるのがこの“動機づけ”が言語習得能力と関係があるのか、ということです。

この本では、動機づけ調査方法の不備や、問題点をあげつつも、

「好きだ」「勉強したい」と思う人は、おのずとそうでない 人に比べ、勉強する時間が増え、英語ができるようになりテストでもいい点をとれるようになる。するとそれがプラスに働いて、さらに勉強するようになり、学習時間が増える。 達成感から好循環が形成され、その結果、できるようになる。

と述べています。
ただし、動機づけが高いから英語力が伸びるのか、英語力の向上にともなって動機づけも高まるのか、不明な点もあるとし、

逆に英語能力テストは低かったものの、動機づけテストでは高得点だったという学習者もいるため現状は動機づけの観点だけで言語習得能力と関係があるかどうかは非常に困難である。

p67-p73

と言っています。
ただし“動機づけ”が大切なことだけは間違いなさそう。そして、動機づけを誘発する要因については、"Motivation in Language Learning"という論文によれば、

いろんな要因が重なりあっている中で、日本人の英語の学習動機の形成に最終的に直結してくる部分はやはり「言語学習動機」である。そして、友好、社会的承認、義務、自己実現の4つの要因が最終的に言語学習動機の強さに影響を及ぼす。

「Motivation in Language Learning」by 長沼君主

と述べています。

友好とは、人々と交わりたいという欲求、社会的承認とは、仕事に役に立つ、社会的に認められたいという欲求義務とは、テストや授業があるのでしかたがなくやるという理由、自己実現とは、自らの力を伸ばしたいという気持ち。

教える側は、いかにこれらの要因をうまく統合し、刺激を与えることができるか、またその手法を編み出すことができるか、が求められ、単に楽しい、TOEICで目標の730を取った、というだけでなくその一歩先まで踏み込んだ指導が必要になってきます。

この効果的な”動機づけ”の手法は、学際的な観点からコーチング理論やメンター理論を参考にするといいかもいしれません。

人間を扱う仕事とは、どの業種、職種でもそうですが、ほんとに難しいなーと思う今日この頃です。

でもだからこそやりがいがある(challenging)でしょうけどネ。

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