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英語学習をもっと楽しく!洋楽で口語スキルを磨きませんか?(11)

ボサノバの名曲「マシュ・ケ・ナダ」などで知られ、日本でもファンが多いブラジル音楽界の巨匠、セルジオ・メンデスさんが9月5日、米ロサンゼルスで死去した。83歳だった。

日本経済新聞2024/9/7より

上記のニュースが入ってきました。追悼の意を込めて、今日は

         セルジオ・メンデスさん

をピックアップします。セルジオさんと言えば、1960年代に起こった世界的なボサノヴァ・ブームの推進役として知られているブラジル出身の方です。今日は1983年に「愛をもう一度」というタイトルで全米4位になったあの名曲、そう、

         Never Gonna Let You Go

をお届けします。アメリカン・ポップスとブラジル音楽をAORティストでブレンドした素敵な曲です。日本でも大ヒットしたので、耳にしたことがあるという人も大勢いらっしゃるかと。では、早速、聞いてみましょう。

今日は、何度も繰り返される以下のサビの部分を取り上げ、使役のletにフォーカスしてみます。

I'm never gonna let you go
I'm gonna hold you in my arms forever
Gonna try and make it up for the times I hurt you so
Gonna hold your body close to mineFrom this day on, we gonna be together
Oh, I swear this time
I'm never gonna let you go

「Never gonna let you go」 by Sergio Mendes

学校で習う使役「~させる」には、make, get, haveそしてletがあります。
例えば、「私は妹に郵便物を取りに行かせた」なら、

a. I made my sister pick up the mail.

b. I got my sister to pick up the mail.

c. I had my sister pick up the mail.

a.は無理に妹に郵便物を取ってきてもらったということです。直接働きかけて強制的にそういう事態を発生させたというニュアンス。

b.は動詞getには働きかける意味合いがあるので、主語が働きかけて「お願いしてやってもらう」というニュアンスがあります。そして通常、お願いされる側の何らかの抵抗や困難を暗示することも多いのが特徴です。ここも妹の抵抗など何らかの困難を伴っていることを暗示。それが前置詞toを伴う形になり「~に仕向ける」という感覚へ。その分、ワンクッション置く感じが出て、直接性がmakeよい薄いと言えます。

c.は、強制的や働きかけというニュアンスはなく、単に妹に郵便物を取ってきてもらったという出来事をhadしたと言っているだけ。またそうしてもらうのが当然だったというニュアンスも。つまり妹に郵便物を取ってきてもらうということに関する働きかけなどの関与が感じられないのです。なので、直接的にせよ間接的にせよ、何かをさせるという使役的な意味合いは、他の2つに比べほとんどありません。その意味では使役というカテゴリーとは別だと思っていいかも。

そして、今日の曲のタイトルにあるlet you goのletですが、これは「相手の好きなように~させてあげる」という意味があります。

let you goならあなたが行きたいなら望みどおりに行かせてあげるよ」ということ。また文脈によっては「~することを許す」という許可の意味にもなります。

letのもともとの核となる意味は、「拘束状態から解放してあげて、自由に好きなようにさせる」です。ここから意味が派生して「(人に)~することを許可する、許す」になったということです。
 
         My uncle secretly let me smoke cigarettes.
     (おじさんはこっそり私にタバコを吸うことを許してくれた)


そこで、この曲の歌詞、Never gonna let you go.ですが、これは、I'm never going to let you go.ということで、「私はあなたに望みどおりに私の元から去らせるつもりは決してない」→「私の元を去らないで欲しい、お願いだから」っていう感じでしょうか。

洋楽はどうしても惚れた腫れたタイプが多いですね。まあ、人間らしくていいんですけど。

というわけで、Mr. Mendes, R.I.P.


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