20日間で20都市を巡る、フランス一周4000kmのグルメ旅 【12日目 Besançon】
こんにちは!モトです。
9月16日、水曜日。晴れ。
今日の目的地はFranche-Comté(フランシュ・コンテ地方)、Besançon(ブザンソン)です!
フランス一周の旅も後半に入り、だいぶ南下してきました。
ここはスイスのお隣です。
Franche-Comtéは、別名Jura(ジュラ)とも呼ばれます。なんとなく、Juraのほうが言いやすいからか?フランスではJuraの呼び名のほうが浸透している印象です。
Franche-Comtéといえば、その名の通り、コンテチーズも有名ですね。
話が逸れるのですが、そういえば私の大好きなフランスのポテトチップスBret'sにも、Fromage du Jura(ジュラのチーズ)というフレーバーがありました。
私のお気に入りはAïoli(アイオリ、にんにくのソース)です。基本Bret'sはどのフレーバーも美味しいので、ポテチ好きの方は、よかったら試してみてください。
Besançonの街は、建物にパステルカラーの石が使われていて(おそらくこの辺りで採れる石なのだと思います。クリーム色と青みグレー)、明るく清潔感があり、落ち着いている印象を受けました。
ここBesançonは、フランスの偉大な作家Victor Hugo(ヴィクトル・ユゴー)や 映画発明家のLes frères Lumière(リュミエール兄弟)が生まれた街なのだそうです。
また、指揮者コンクールが行われることでも知られています。
最近では、日本人の女性指揮者が優勝したことでも話題になりました!
こちらの建物には、だまし絵(Trompe l’oeil)が描いてあります。
上の写真をよく見ると、右上の人は映画撮影をしています!
そして左上には指揮者らしき人が見えます。
フランスではこんな風に、その土地の著名人をだまし絵に描くことがよくあります。(中でも、Lyonの著名人を描いただまし絵はとても有名です。)
フランスの街中にはだまし絵がたくさんあるので、私は街歩きをする時、だまし絵探しをして、その写真をコレクションするのが大好きです。
いつかだまし絵の記事も書こうと思いますので、ご興味のある方は、ぜひ楽しみにしていてください。
これはだまし絵……じゃないか。
似たような建物ですが、こちらはVictor Hugoの生家で、現在は博物館になっているそうです。
ところで、Besançonといえばもう一人、フランス史を語る上で外せない偉人がいます。
その名も、Vauban(ヴォバン)。Vaubanはかつて、フランス王ルイ14世に仕えたエンジニア・建築家です。
ルイ14世といえば太陽王と呼ばれ、ヴェルサイユ宮殿を作ったことで有名ですが、大の戦争好きとしても知られています。
ルイ14世のもとで、Vaubanは軍事策士として類稀なる才能を発揮し、領土拡大戦争に大きく貢献しました。
Vaubanがいなければ、ルイ14世が数々の戦争に勝ち続けることはできなかったでしょう。
(一方で、数々の戦争の結果、多大な軍事費がかかったため、フランスは貧しくなりました。晩年、Vaubanはフランスの下層民の貧しさにショックを受け、フランス政治を批判し、貧民への税負担の軽減を説いています。)
こちらはVaubanの銅像。
そしてここBesançonには、このVaubanの作った要塞、Citadelle de Besançonがあります。
Citadelle de Besançon
この要塞は、今日では世界遺産に登録されています。
要塞内には博物館、水族館、昆虫館や動物園などがあり、丸一日楽しむことができます!
景色もとても良いので、Besançonにいらした際にはぜひ訪れることをオススメします。
山が丸ごと要塞になったような所なので、ここへ行くには、旧市街からひたすら山道を登ります。
結構な運動量なので、体力に自信のない方にはバスがオススメです(4〜10月の間はバスが運行しているそうです)が、徒歩で山を登りながら、遠ざかっていく街並みを眺めるのも楽しいですよ。
私達は徒歩で登りました。
結構ハードな坂道と階段が続きますが、連日レストランで美味しいものばかり食べていたので、運動するいい機会になりました。
15〜20分ほど山を登ったところで、着いたー!と思ったら、ここはただのチケット売り場で、要塞に入るにはまだまだ山を登らなければいけませんでした。
入場料は10.90€。これで敷地内全ての施設を見学できます。
チケット売り場を通ってさらに山登りを続けていると、横でピクニックしている親子がいました。確かに、いい眺めで、雰囲気もいい感じです。
ランチを持参して、この辺りで食べるのもいいですね。
やっと要塞に辿り着きました。
チケットコントロールがあるのでチケットを見せて中に入れるのですが、ここに、水の自動販売機がありました。
ここまで登ると結構な運動量で、喉も渇くので、ぜひここで水分補給をしてください。値段も良心的です(笑)。
要塞では、外壁に登って、壁沿いを歩くことができます。せっかくなので、パトロール気分を楽しんでみました。
なんとなく、その高さがおわかりいただけるでしょうか?
ここは街が一望できるので、絶好のフォトスポットです!
こちらの写真、すごく傾いていてすみません!(スマホを落とさないように、緊張しながら撮った一枚です。)
写真では見にくいと思うのですが、外壁が星型のようにギザギザになっているのがおわかりいただけるでしょうか?
この外壁の形には理由があります。
まっすぐな壁だと、敵の侵入時に壁の内側から弓矢を放つ時、弓矢の届かない位置が出てきます(例えば、壁の真下に敵がいる時など)。
一方で、壁がギザギザの星型ならば、敵がどの位置にいても、壁の内側から斜めに弓矢を当てることができます。
17世紀当時、要塞といえば四角い形が一般的だったのですが、このギザギザの壁を考案したのがVaubanでした。さすがですね。
要塞なので、周囲は川に囲まれています。
かつてのBesançonは戦争のために作られた要塞都市だったのでしょうが、今となっては、この川と山のコントラストがとても美しいです。
反対側には旧市街が見えます。
雨の降る日は、屋根のある場所から外を見張ったりしていたのでしょうか。
細かい作り一つひとつに、要塞を守るための工夫が感じられます。
水族館・昆虫館・動物園
要塞内にはところどころ、怪しげな通路があって楽しかったです。
こちらは要塞内のマップです。
私達はまずはじめに、水族館を見ることにしました。
正直ここの水族館、期待はしていなかったのですが、日本の水族館とは魚の種類が違うので、思った以上に楽しめました。
初めて見る魚でも、
「なんか鯉っぽいな……」
と思ったら本当に鯉の仲間だったりして、たくさんの発見がありました。
ただやっぱり、日本の水族館には熱帯魚がいるのでカラフルで美しいのに対し、こちらの水族館にいるヨーロッパの魚たちは一見地味というか(失礼)、背景に馴染む感じの魚が多かったです。
お次は昆虫館。
ここ、虫が苦手な方にはオススメしませんが、虫が大丈夫、むしろ好きって方には是非!是非!行ってみてほしいです!!
すごくおもしろかった……!!
具体的に言うと……、苦手な人は読まないでください。↓↓
例:ハエの幼虫の展示ケースとカエルの展示ケースが透明なパイプで繋がっていて、成長したハエが飛んで行くとカエルに捕食される仕組みになっている展示物や、ケース一面にゴキ○○が敷き詰められた展示(幼虫から成虫までうじゃうじゃ、そこら中で交尾していてその繁殖力がよくわかる)など。毛が生えてる系の蜘蛛の展示も多数。
全体的に、それぞれの昆虫の習性がよくわかるように展示されていて、展示を考えた人の昆虫愛がビシバシ伝わってきます!
擬態する虫の展示ケースなどはもう、間違い探しみたいな感覚で、みんな一生懸命に虫を探していました。すごくおもしろかったです。
日本の昆虫館ではなかなか見られないような、西洋〜アフリカ大陸の昆虫が見られるのも魅力です。(写真はここでは自重します……。悪しからず。)
お次は動物園。
動物園の猛獣って昼間はみんな、こんな感じですよね。
時期的に観光客が少なかったせいもあるのか、ちょっと寂れた動物園感が否めなかったです。トラとか、室内にいて見られなかったし……。
ただ、ここのPetite ferme(日本でいう、ふれあいコーナー)の動物達は可愛かったです。
アヒルとか、鴨とかニワトリとかがいました。(このあたりの動物は、オーベルニュの義姉の家にもいます。笑)
あとはウサギ、ヤギなどの小動物。
ここで一番可愛かったのはヤギ達です。
ちょうど飼育員さんが私達の隣を通り過ぎたので、わらわら集まってきました。ヤギって人に懐くんですね!
鈴が付いているので、ヤギが歩くたびにカラコロ、カラコロと音が鳴るのですが、その様子もまた可愛い。
ハイジが子ヤギのユキちゃんを可愛がっていた理由がわかる気がします。
水族館から動物園まで、全体的に、よく手入れが行き届いている印象でした。飼育員さんの、生き物への愛が伝わってきます。
この旅行中は、観光としてカテドラルや博物館ばかり見ていたので、たまにはこういう日もいいなぁ、と思いました。
要塞を見たあとは、街中をプラプラ散歩しました。
Besançonの街は、とても硬派で古い感じがします。
その街並みは、中世からほとんど変わっていないのではないかと思うほど。
街全体がとても静かで、普段の賑やかなフランスとは一味も二味も違います。
Porte Noire
この門は、Porte Noire(黒い門)という、ローマ時代に作られた門なのだそうです。
年代物の門なので、かつてはその名の通り汚れて黒かったのだそうですが、お掃除をしたらピカピカになって、もはや黒い門ではなくなってしまったのだとか(笑)。
Spécialité その1 : Vin jaune (Vin du Jura)
さて、ここJuraは、Vin jaune(黄色いワイン)の産地としても知られています。
アペロにこのVin jauneを飲みたいと思い、3件ほどカフェバーに入って聞いてみたのですが、Vin jauneを出しているお店が見つかりません。
確かに、生産数の少ないワインなのですが……
正直に言うと、本当に無いのか、観光客だから嫌がられたのかわかりません。夫はさておき、私は見た目からして思いっきり外国人なので。
そんなことを思ってしまうくらい、お店の方の対応が素っ気なくて、私と夫の心が折れました。
「こんにちは。ジュラのワインを飲みたいのですが、ありますか?」
「無いよ。そこのテーブル、まだ除菌してないからどいてくれる?」
みたいな、本当にこんな感じの対応でした。
「無いよ」と一言、お店の他の従業員と全然関係ない会話をし始めたり(会話の強制終了)!!
普通は、無いなら無いなりに、「ワインなら〇〇と〇〇はあるけど」とか、「〇〇はどう?」とか、何かあると思うのですが。
ただ単にお店の方がサービスを知らなかっただけなのかもしれませんが、とにかく良い気持ちはしなかったので、アペロは諦めて、直接レストランへ行きました。
※誤解をしないで頂きたいのですが、「フランスはサービスの質が悪い」とよく言われますが、最近はその評判を恥じてか、お店のサービスの質はだいぶ向上してきています。
普段からフランスに住んでいても、行政(公務員)関連を除いて、接客で不快になるようなことはそんなに頻繁にはありません。
この日はフランスで久しぶりに不快なサービスを受けてしまったので、結構ショックが大きかったです。
そのため、レストランは大丈夫だろうかと不安になっていましたが、レストランの方はとてもフレンドリーで親切だったので安心しました。
あぁ良かった!!
そして、ご覧ください。
こちら、Vin jauneでございます〜!!やったぁ〜!!
気になるお味は、濃厚な樽の香りがするワインでした。ウイスキーほど華やかな香りではないのですが、系統は似ている気がします。
甘みのついたVin jauneも頂きましたが、こちらは私が好んで普段から飲んでいるHydromel(蜂蜜のお酒)によく似て、蜜のような甘い香りと若干のとろみがあり、とても美味しかったです。
濃厚な風味なので、食前酒や食後酒にぴったりだと思います。
Spécialité その2:Comté
こちらは、前菜の盛り合わせです。
生ハム、サラミ、ソーセージ、コンテ。燻製ソーセージと燻製ハムが特に美味しかったです!
コンテも程よい熟成加減で、Vin jauneにとてもよく合いました。
チーズ、Vin jaune、ソーセージ、Vin jaune、チーズ……とエンドレスで食べ続けられそうでした。至福。
Spécialité その3:Gratin Arboisien
この地方では、鶏肉のVin Jaune煮込みという郷土料理があるそうです。
こちらはその郷土料理をグラタンにしたもので、鶏肉の他にジャガイモ、マッシュルーム、玉ねぎが入っていました!もちろんチーズたっぷりです。
グラタンからは、控えめにVin Jauneの香りがしましたが、味はほんのり感じるくらいで、あまり強い主張はありません。
でも、グラタンのチーズの香りと、Vin Jauneの華やかな香りがいい感じに混ざって、この香りだけでパンが食べられるんじゃないかと思いました。
お味はとても美味しかったです。おそらくチーズの塩気があるので、味付けは控えめにしているのかな?と思いました。
私はこれくらいのほうが素材の風味が感じられて好きですが、塩っぱいのが好みの方は、追加で塩を頼んじゃってもOKだと思います。
2杯目は地元の赤ワインをボトルで頂きました。濃厚なグラタンの風味に、赤ワインもとてもよく合いました!
さらりと飲みやすいけれど、香りは華やかすぎず、味は淡白すぎず、食事の邪魔をしない美味しいワインでした。
デザートには、Meringué au Marronsui'sという、栗のムースのようなものを頂きました。手作りバニラアイス添え。
栗はその名の通り、お隣、スイスの栗を使っているのだと思います。
Meringuéと言ってもよくあるメレンゲではなく、クリームをバーナーで焼き付けたものでした。初めて食べる食感でした!
ムースは、クリームの層と、クランブルの層と、栗ムースの層に分かれていて、混ぜながら食べるととても美味しかったです。
サクサクのクランブルと、栗の食感が楽しいです。
デザートのレベル高い!!(興奮)
ちなみに、このお店のスペシャリテはクランブル。
私が頼んだグラタンやデザート以外にも、美味しそうなクランブルの料理がたくさんあり、メニューを決めるのに苦労しました。
また行きたいレストランです!
ウエイトレスさんも、奥のキッチンの方もとても親切で、しかも料理も美味しくて、荒んでいた心が洗われました。
Les tables d'antan Besançon
https://lestablesdantan.fr/
泊まったホテル : Hôtel Mercure
わーい!!
Mercureは、私がフランスで一番好きなホテルです!!
自信を持ってオススメします!
まず、アメニティはNUXEです(違うブランドの時もある)。
私はNUXEのMiel(蜂蜜)シリーズが大好きなので、とても嬉しかったです!
この日泊まったお部屋はバスタブ付き。
だいたいのMercureにはバスタブのお部屋があるはずなので、バスタブに飢えている方はぜひ予約時に「バスタブのお部屋で!」と言ってみてください。
そして、Mercureにはいつもフランスで有名なお茶屋さん、Palais des Thésのお茶が置いてあります!
ここのお茶、美味しいけど普通に買うと結構高いんですよね。嬉しい。
この日はお部屋に丸テーブルも置いてあり、窓際で優雅にお茶ができました。
Mercureは綺麗で清潔、サービスも良いのにそこまで高くないので、本当にオススメです。(Mercure Besançonは駐車場も無料でした。)
さてさて【12日目 Besançon】、長くなってしまいましたが最後までお読み頂きありがとうございました!
次回はブルゴーニュワインの里、【13日目 Beaune】をお送りします。
それではまた!