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映画「リトル・ダンサー」鑑賞

映画は2000年に公開された映画のデジタルリマスター版公開である。私にとっては初めて見る映画だが、最近昔の映画のリバイバル上映が流行っているような気がする。良質な映画作品を作ることが難しくなっているのだろうか。

舞台はイギリスの炭鉱町。当時は炭鉱労働者がストライキを起こし、ストを抑えたい政府、経営側と一触即発状態であった。そんな町で母を病気でなくし、祖母、炭鉱労働者の父、兄と暮らす少年ビリー・エリオット。
父も兄も炭鉱労働者で貧しい家庭に育つビリーが、バレエと出会い、踊ることで自分の中で魂の何かが変わっていくのを感じ、バレエの先生からはロンドンの有名バレエ団のオーディションを受けるよう勧められるまでになった。

マッチョな雰囲気の炭鉱町で男がバレエなんて、当然父や兄からは大反対を受け、それでも踊りの情熱を捨てなかったビリーの踊りをみて父親は希望を見出す。

バレエの先生がロンドンまでは費用を出してやるといったのを断り、自分はビリーの親だからなんとかする、と言い切った父親。それまでビリーは病死した母親の深い愛情を感じることはあっても、怒ってばかりの父親からそんな愛情と才能を信じてくれた信頼を見せられるとは思っていなかっただろう。ビリーをなんとかロンドンに送ってやろうと、一本気な生き方さえ変えようとした父親が葛藤する姿に涙する。町の人たちもビリーをなんとかロンドンに送る費用を捻出しようとクジなど企画して応援するのだ。
日本も昔貧しい頃はこんな感じだったのだろう。地方の優秀な子どもを大学に行かせるために村全体で支援するなどよくあったのだろう。

貧しい少年がバレエダンサーになる夢を追いかけるといった単純な物語ではなく、当時の貧しい社会構造、緊張が漂う町にいる市民たちの生活など背景がよく描かれており、かなり深い映画で観てよかったと思う。


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