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映画「エターナルメモリー」鑑賞
ドキュメンタリー映画「エターナルメモリー」を観た。チリの著名ジャーナリストであるアウグスト・ゴンドラと女優で文化大臣としても活躍したパウリナ・ウルティアの20年以上に及ぶ愛情に満ち溢れた生活とチリの政情や徐々に老いていくことを綴った話。
レビューでは認知症や介護のことを述べているものがあったので、渡辺謙主演で若年性アルツハイマーを扱った「明日の記憶」のような映画かと思ったが、そうではなかった。
認知症が進んでいく様子や介護に疲れていくパウリナのことはもちろん描いているのだが、それよりも命をかけてチリの独裁政権下でジャーナリストとして活動したアウグストの生きた証をパウリナが残したかったのではないか、そう思える映画であった。
日本では南米のことはあまり報道で取り上げられることはないが、チリのピノチェト政権は軍事独裁政権であり、ジャーナリストはかなり厳しい状況におかれていたのだろう。断片的にでてくるアウグストの淡々とした言葉が余計に当時の恐怖を想像させる。
認知症になり、おそらく単語もよく認識できなくなっていたのではないだろうか、それでも彼は自分の著作や本をとても大切にしていた。記録するという行為は大切なことであり、記憶を残し伝えていくことの意味を再認識させられる映画であった。
認知症や介護の問題として受け取る人もいるだろうし、愛情に満ち溢れた老夫婦のラブストーリーとしてみる人もいると思う。私は記憶を記録し、維持保存し伝えていくことの意味をこの映画から受け取った。本や書店や図書館が好きな人に観てほしいと思う。