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白玉の入れ娘
人生に幸福も不幸もないと思う。いいも悪いもないように。気付きと学び。少しばかり私の人生は、哀れに思われたりすることがあるようですが、宇宙の選抜組として導かれているのだ。きっとそう。時の流れと空の色に何も望みはしないように、あるがままを受け止めましょう。日々、日々こういうものよ。そして、白衣に身を包みましょう。と言ってもナースじゃぁ、ないのよ。本場のナースコスプレしたいなぁ、勿論本場はこちら。
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─本能─
「和菓子部門1課ね」
全身白衣の私、既に白玉の。なぜなら、洋菓子部門シフォン女での1日作業が寒かったので、白衣の中は厚着をしてきたのである。まんまる白玉女。なんとなーく嫌な予感がする、冷や汗かな。あらゆる感情処理システムを停止させながら、長い長い廊下を歩いていた。「ジーッ」という機械の音が鳴り響く中、和菓子部門1課までの道のりを前の人に続く。じわじわと高まる温度感。感情処理システムが完全に停止していないのか揺さぶられる。ようはホットな気分。『なんで私以外、半袖白衣なん?』歩く度に、周りは半袖白衣率高めだということに気づく。長袖白衣の下は厚着で白玉スタイルの私は、『あつい』と呟いた。冷や汗ではなく単に暑かった。和菓子部門1課、一番奥の室内は、団子部屋だったのよ。
「そのテープを、親指と人差し指に巻いて」
なぜに?
「しっかり貼らないと低音やけどするよ」
一体何をやらせる気?
やさしく丁寧に教えてもらった。
バイト対応に慣れているようだ。
布手袋をしさらにその上からビニール手袋をする。
熱風噴き出る中から出来上がった串団子3本のパック詰め。《団子の入れ子》担当になる。串部分が熱いから指を保護するためのテープだったのよ。
蘇る、終わらないシフォン。
私にはシフォンの経験がある。経験が人を強くさせる。次々にパックへ詰めていく入れ娘の私。
機械だけではない、これだけ人の手が動いて店頭に並ぶんだ。自分がやってみてはじめて気づいたこと。小学3年生の町探検を思い起こす。『いつも食べているお団子が、美味しく食べれるのは、おねーさんや、おにーさんが毎日がんばってるからだと思いました。』いや、小学3年生は大人以上に賢い。こんな文章書きません。
白玉が仰向けでなく、横向きやうつ伏せになれば戻されるし、いちいち丁寧なのだ。
期待を裏切る世界の○パン。
止まらないライン作業に、熱風が加わり、ついに意識が朦朧としてきた。2時間が経過しようとしていた頃、串をつかむ親指と人差し指の感覚麻痺、「あれぇ?なんか柔らかいなぁ、この串」が続き、落ちそうになる。フラフラする私の元に、「大丈夫?水飲んできなよ」社員が来てくれた。
私は串ではなく、白玉をプニプニしていたのである。通りで柔らかいわけだった。
正直、白玉地獄だった。
プニプニした白玉の行方?
正直、パック詰めされちゃったでしょうね。
やけにこの団子プニってるなぁと思ったら、
それは私がプニプニしたやつです。ごめん、
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