バースデーパーティー
君の二十三歳の誕生日の
前日の三月三十日
駅前に車を停めて仕事帰りの君を待ち伏せた
君は少し驚いたけれど
助手席のドアを開けるとするりと乗り込んだ
それで僕らは郊外のフランス料理店に行った
店のそばを川が流れていて
食事の後
僕らは桜並木の土手を歩いた
僕は君に好きだと告白し
君は
自分は結婚しているのだと謝った
それから僕は君を家の近くまで送っていった
君は車から降りようとせず
しまいに目を閉じた
僕が唇を静かに重ね
ほんの少しだけ舌を出すと
君はぴくりと体を震わせた
これきりよ
と君は言ったけれど
僕らはそれから二年半つきあった
僕は女についてまた一つ学習した