椎名林檎のベスト盤「ニュートンの林檎」がCD時代の終りを告げる。
今月半ばに椎名林檎の初のベスト盤「ニュートンの林檎」が発売された。
それに伴って、私が20年以上前に撮影した「幸福論」「歌舞伎町の女王」「ここでキスして。」の3曲のMVが再び見られる機会が増えたのは嬉しい。
あと、2曲については文末にリンクを付けさせてもらった。
ただ、ベスト盤を出さないと明言していた椎名林檎が、今このタイミングで出す事に引退説やオリンピックとの関係が噂されているが、全くそんな事では無いだろう。
この間、AmazonMUSICでおすすめの項目に「あいみょんベスト」というサムネイルが出ていて、え?あいみょんがベスト盤出すなんて早すぎるだろ。と思った直後に気づいたのだが、もちろんレーベルから出たベスト盤ではない。サブスクリプションの音楽サイトが独自で選び出したプレイリストなのだ。
軒並みヒットアーティストには聞いた事のある曲を並べた「はじめての〇〇」のようなベストプレイリストが存在する。そう、もうサブスクリプションに於いてはベスト盤の意味はなさなくなってきているのである。
椎名林檎も去年5月に全曲サブスクリプション解禁している。そうなるとどのサイトでも軒並み「椎名林檎ベスト」や「はじめての椎名林檎」みたいなアルバムでは存在しないプレイリストが登場してくるわけである。それなら本家でチョイスしたものを出そうじゃないか!ということなのか、ベスト盤の価値が下がらないうちに出させてほしいとEMIレコードが泣きついたのか? それが今回のベスト盤リリースの真意だろう。
CD時代の終わり、なんて大仰に言わなくても、もうずっと前からそうだろ?と指摘されそうだが、日本は世界の中で一番CDというモノにしがみついてきた国である。
しがみつき過ぎて、あの手この手と売れ難くなったCDを売るために努力して、もはや音楽とは全く違う方法に進化してしまった。小さなガム一個付いた食玩(玩具菓子)ような状態である。
今年の9月のイベントで椎名林檎のプロデューサでもあり東京事変のメンバーで、私も東京事変のMVで何度か撮影させてもらったベーシストの亀田誠治さんが興味深いことを講演してる。さすが亀田さん!語り口が絶妙で長い記事だが一気に読める。
サブスクリプションには何かのきっかけで良いと思った音楽から、同じアーティスト、同じジャンル、過去の起源に至るまで掘り下げて行く楽しみがある。レコード屋でレア盤を見つけ出す悦びは味わえないが、少ない労力で音楽との距離を縮めることが出来る。
映画のサブスクリプションでも同じような事が言える。DVDを借りるか劇場でのリバイバルを待つしか無かった旧作がすぐに見つけられて鑑賞する事が可能だ。
それにしても椎名林檎には最後までベスト盤を出して欲しくなかった。でも、「〜しない」という主張は周りの人に伝わりにくい。そのアーティストのこだわりで最後のビジネスチャンスを逃すのも周りのスタッフのためにはならないだろう。
ま、そんなこんなでこれを契機に20年前に撮影したMVもみてもらえると嬉しいなぁ〜
しかし、当時はSD(720×480pixel)完パケなんで、せっかく16mmフィルムで撮影してるんでHD(1920×1080)でフィルムスキャンしなおしたいと思うんだけど、それに予算出してもらうとしたらベスト盤出す前だったね。残念。。。