成年後見人(申請、運用編)
準備編で書いた書類等が揃ったら、申立書類を受け取った家庭裁判所に電話で申立日の予約をします。手元に書類を用意しておいてください。どのような症状の方の申立なのかを軽く質問されました。私はこの時点で医師による鑑定は不要ではないかと言われました。
申立
申立時に持参するものは以下です。
・申請書類
・銀行口座の通帳などの原本
・申請者のハンコ
・申立書類のコピー一式
家庭裁判所に着いたら事務官と書類の確認、面談があります。
この時に、書類の不備があれば修正をします。私は通帳のコピーが足りず追加でコピーしてもらいました。(表紙、表紙をめくったページ、直近1年分のコピーが必要でしたが、めくったページを忘れていました)
面談では、申立に至った経緯を聞かれました。
成年後見人制度の利用を決めた最大の理由は、実はこの時点で傷病手当金の申請ができていなかったことにあります。夫の会社がブラックすぎて、傷病手当金の申請書への記入に応じてくれていませんでした。また、既に半年が経とうとしていましたが、解雇を含め会社を辞めることにも応じてくれていませんでした。(前述の通り傷病手当金の申請には会社の証明が必要ですが、退職日以降の証明は必要なくなります。また働いてもいないのに雇用保険料が掛かっています。解雇でもいいから会社を辞めさせたかったのです。)会社と交渉するにも夫に代わる公式な代理人が必要でした。
その点を面談時に強く訴えました。
事務官も親身に聞いてくれ、急ぐ必要があることを理解していただきました。
面談が終わり、書類が受理されたら、申立は完了です。
審査結果
審査結果は裁判所から郵送で届きます。特別送達と言う特定の役所からしか送れない郵便形態です。
弁護士からは「審査に通常2,3ヶ月かかる。早くて1ヶ月の例を知っている。」と聞いていました。が、まさかのハイスピード審査でした。早すぎて、何か不備があって送り返されたのかと思う程で、申立の1週間後に届きました。もちろん不備があったわけではなく、後見人決定の通知が入っていました。
決定の日付が成年後見人としての業務開始日に関わってくるのでとても有り難かったです。
説明会
通知書には今後の流れが書いてあり、説明会の案内がありました。「初めて成年後見人になる方に」とあったので義務ではなさそうですが、まさに初めてなので平日の昼間ですが出席することにしました。
「父親が認知症になり、成年後見人になった娘」の業務の様子のVTRを観ました。
事前に調べていたり、渡されていた説明文書の通りで目新しいことは特になかったですが、事務官に個別の質問ができたのが良かったです。なお、今後は基本的郵送又は電話でのやり取りとなり、裁判所に行くことはありません。
成年後見人の業務
成年後見人の最初の業務は、もう一度財産目録、年間収支予定を出すことです。前回の記事の様に口座の存在は把握していても残高が分からない場合は残高の把握をしたり、名義を成年後見人に変えたり、口座の数を整理することが目的だと思います。
私もいくつかの銀行に行って口座名義を変えたり解約したりしました。銀行に行く前に口座を開設している支店に電話で必要書類の確認しておくと良いです。ウェブサイトのよくある質問には載ってません。その際に来店予約しておくと、銀行側も準備が出来るのでいいと思います。必要と言われたものは大体以下の通りです。
・本人の通帳、キャッシュカード、銀行印
・成年後見人の登記事項証明書(発行から3ヶ月以内、法務局に登記されるまでは家庭裁判所発行の審判書と審判確定証明書)
・成年後見人の印鑑登録証明書(発行から3ヶ月以内)と実印
・成年後見人の身分証
口座の名義は成年後見人が付くと「本人の氏名 成年後見人 成年後見人の氏名」となります。
開設している口座の支店が遠方の場合は近くの支店で手続きできるか相談してみてください。銀行によっては本支店関係なく手続きをしてくれるところもあります。
次に生命保険の請求手続き(指定請求人がいる場合はこれだけのためにわざわざ成年後見人制度を利用する必要はないです。)、継続して入り続ける保険は払込免除の手続きもしました。
夫が倒れてから数ヶ月後に、夫の二人の祖母が続けて亡くなったので(夫の両親は先に他界しており代襲相続となります)、相続手続きも成年後見人として私が行いました。
成年後見人制度を利用しようと思った一番理由が夫の会社との揉め事でしたが、労働審判は別に記事を起こします。
夫は前年まで普通に働いていたので、私の扶養に入れず健康保険や国民年金の手続きも成年後見人として私がしました。
その後は本人について日常の買い物や支払いをしたら現金出納帳を付けていき、一年毎に家庭裁判所に財産目録や年間収支予定を報告(郵送)します。
おまけ
成年後見人は本人(意思表示が難しい方)の代わりにお金周りや契約関係の事務作業を行います。私が成年後見人に選任されるためには、初対面の事務官に信用に足りる人物と思ってもらわなければいけません。面談でどれくらい効果があったかは分かりませんが、以下のことに気を付けて申立に臨みました。
まず服装です。
スーツは着ませんでしたが、なるべく信用されるような服装を選びました。カジュアルな服装や汚れた服装と整った服装だとイメージが違いますよね。
また、受け答えも迷うことなくできるよう申立書などに書いた内容、窮状、財産についてなど想定される質問の答えはあらかじめ考えていました。
この記事を下書きのまま眠らせている間に最高裁判所が方針を変え、成年後見人には親族が望ましいこと、交代・追加選任も柔軟に行うこと考えを示しました。以前は半数は弁護士、一度なったら交代はないという厳しい制約があり制度利用が進まなかったことが理由のようです。後見人には報酬が本人の財産から支払われるため、弁護士が後見人に選任された場合、本人の財産が目減りしていく心配がありました。(親族が後見人でも報酬は受け取れます。)
そうは言っても業務は変わらないので、正しい判断や継続した正確な帳簿付け(簿記の知識は必要ないです。子どものお小遣い帳レベルで十分です)ができる方を立てた方が良いと思います。