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23区 事業系一般廃棄物、産業廃棄物 収集運搬の業界とトレンド

皆さまこんにちは!
私は産業廃棄物業界にいた経歴から、廃棄物関連のコンサルを細々と続けています。
よく、戦略コンサルタントや外資系コンサルタントから業界についての構造が複雑で...問題と課題の把握が困難なんです...と相談いただくこともしばしば。このマガジンでは業界構造の情報を提供して、業界の透明化をはかっていただければと思っております。
今回は東京23区における、事業系一般廃棄物、産業廃棄物 収集運搬業界のトレンドについて書いていきます。

23区の運搬業界ってどんな感じになってるの?

23区の事業系一般廃棄物を収集できる業者数は現在260社を超えています。
※参考資料 一般廃棄物収集運搬業の許可業者名簿 

この業者数をみて、多いのか少ないのかなかなか見分けがつかないと思いますが、首都東京とはいえ、この業者数は異常に多いです。(横浜市の事業系一般廃棄物の業者数は約100社程度で、これも多い...)

これほど業社が多いのには、色々な背景がありますが、参入障壁の容易さ、小さい運送業が許可を取り今に至っているケースも多のが実情です。
しかしながら、ここえ来て如実に体力差が出てきており、業者数はこれから大幅に減少傾向に入ってくると見ています。

端を発したのは、ドライバー不足。
ヤマトや佐川など運送業でも多く叫ばれている問題でありますが、これは事業系一般廃棄物、産業廃棄物の業界でも例外ではないのです。
ドライバーがいない、高齢化もあり、回収業務が立ちいかなくなるケースもたくさん見てきています。
倒産する収集運搬業社の事業を引き入れたことがありますが、その会社のドライバーと会社との一蓮托生具合はすごかったですね。(いい意味ではない)
ようは休み要員などほぼ存在しない状況で、就業状況がひどいのです。
ドライバーから聞いた話だとインフルエンザになっても車に乗り回収に出ていたとのこと。
それも少し自慢げに話しておりました...
回収にでれなければ、売上も立たず会社としては損出。出ない場合はドライバーから罰則金を取っている例なども聞きました。
当然労働時間も安全管理もいき届いておらず、業界の闇の部分を見た感じでした...

そしてここへ来て大きな影響を与えているのは、中国から端を発した廃プラ輸入禁止問題です。
世界のリサイクル工場の異名を持つ、中国が廃プラを受け入れなくなり、日本の廃棄物市場は混乱。
中国でリサイクルに回していた低級の廃プラは行き場を失い、焼却に回すハメに。
しかしそんな大幅な量を受け入れることもできず、廃プラの中間処理場(破砕)などは廃プラが山積みとなっています。

当然コストに関しても爆上がりした。
2016年ごろの廃プラの相場は約33〜40円/kgだったものが、2018年に50円前後となり、2020年には55円/kgと160%以上値上がりしたのです。

この大元のコスト増に対して、「営業力のない」弱小の収集運搬企業は排出事業者に対して交渉ができなかったです。
小さい会社ほど、1つの回収場所の依存度が高い。
値上げ交渉をすると当然排出事業者は別の廃棄物会社を検討する。
冒頭でも話したが、23区には260社もライバルがいる状況。
すでにシェアを取っている企業の方が価格力、交渉力もあるので、切り替えになる。
価格を上げることもできず、自転車操業の末突然の倒産。

この手の話で、排出事業者から回収の問い合わせが相次いでいます。

しかしこれで他者は仕事が入ってラッキー!という簡単な話ではない。
どこも収集運搬に関しては余力あって走っている会社はほぼいない。

大幅に顧客が流れてきても、回収ルートに乗せられなかったり、空き車両がなく仕事が受け入れられないケースもしばしば。

一般廃棄物、産業廃棄物の業界は圧倒的に中小零細企業で締められており、売上高も下記のように低い。

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余力がある企業の方が圧倒的に少ないのです。

23区の収集運搬の王者と競合


23区の収集運搬業者の王者は要興行
収集運搬を主体とする業態で唯一上場(東証2部)を果たしている会社です。
都内に5ヶ所リサイクルセンターを保有しており、運搬から中間処理まで手がけています。
要興行の売上高は18年に100億を超え、経常利益も安定しています。昔から利益の良さが同業他社よりも優れており、注目されていました。
現状他の業者より頭一つ抜けた存在となっています。

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参照データ

他、23区の事業系一般廃棄物、産業廃棄物のトップクラスの企業を紹介しておきます。
株式会社木下フレンド 売上49億円
埼玉県所沢に本社を持つ会社。23区だけでなく、所沢などの埼玉エリアや多摩エリアの事業系一般廃棄物の許可を持つ。家電リサイクルの指定引き取り場所を長くやっていたが2019年に終了した。食品リサイクル工場も保有している。

株式会社春江 売上42億円
4つのリサイクルセンターを保有し、堅実な会社。HPがダサい(すみません)がしっかりしている。

東京クリアセンター 売上36億円
最初はビルを専門として廃棄物業者としてスタート。現在も大手ビルに強く、多くのビル管理会社の下について回収を手がけている。食品リサイクル工場のアルフォも持っており、食品リサイクルのルートも強いのが特徴。

株式会社都市環境エンジニアリング 売上24億円
スカイツリーなどの大手商業施設などの回収を得意とする会社。23区に3つのリサイクルセンターを保有し、食品リサイクル工場バイオエナジーの株主でもある。
雑紙リサイクルに特徴を持つ会社で、温和な社風。

白井グループ株式会社(白井エコセンター) 売上23億円(連結)
収集運搬に特化する会社。23区の家庭ごみ(純粋な一般廃棄物)の収集運搬も行なっている。社長がユニークでグローバル展開を目指している。

広陽サービス株式会社 売上21億円
都内に3つのリサイクルセンターを保有。2019年に最新式のリサイクルセンターを新木場に開設した。


覇権争いは加速しそうだが、すでに要興行が実は独走状態に入っています。
これから後継者問題も絡んで、M&Aの加速が進むことは間違いない。

上記に書いた会社の連立もあるかもしれないが、他ジャンルの廃棄物業界との合併などもありえる状況です。

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