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会社の発展段階とそこで働く社員の適正

かなり以前からプロダクトライフサイクルや企業の成長サイクルで導入期、成長期、成熟期、衰退期という4つの段階があるという話がある。

そしてどの企業も、少なくとも私が在籍する外資ITにおいても、ある事業が衰退する前に次のお金のなる木を育てないといけないということで一生懸命努力している。
未来永劫成長し続ける製品や事業はないので、もしお金のなる木を作り続けることができない場合、それらの衰退と共に会社も衰退してしまうことになるだろう。

Steve Jobs復帰後のAppleがカラーバリエーション豊富なiMacからiPod, iPhone, iPadへとどんどん次のお金のなる木を世の中に出してきたのは本当に凄かった。
個人的にはそれらの製品群にiCloudを加えてApp IDで繋ぎシームレスに製品が動作するようにして、全てを自社デザイン、Foxconnに大量生産させ、例えば新しいバージョンのiPhoneを大量に世界同時発売できるまでにサプライチェーンを磨き上げたところがビジネスモデルとして特に秀逸だ。
そこらへんは現CEOのティム・クックが作り上げていたようなのですごいExecutive Teamだ。
結果、Appleはプラットフォームカンパニー、つまり複数の製品や事業が相互に繋がりシナジーを生み出すような会社になったといえる。

話が少し脱線したので元に戻そうと思う。
会社の発展段階にはフェーズがあるが、現在どのフェーズにいるかによって会社のカルチャーも求められる人材も会社に実際に入社してくる人材もだいぶ違うように思う。
導入期から成長期に差し掛かるところは会社の規模も小さいのでやはりベンチャー気質、つまり、ルールは少ない、組織もフラット、ハードワークだが人が足りないような状況である。
米国ITなどもそういうタイミングで日本市場に入ってきて日本の社長(カントリーマネージャ)を採用するところから始まるが、社長職や部門の責任者レベルはともかくとして、全く日本で名前の知られてない会社が人材を募集したところで簡単に人は集まらない。
せいぜい先に入った社長や部門責任者の昔の部下や知り合いが入ってくるか、だいぶ見当違いな人が入ってくるかである。

そしてこの見当違いな人は会社がうまく軌道に乗って成長期から成熟期へ向かうと少しずつ排除されるか自ら会社を去るような気がする。
理由は、会社のカルチャーがベンチャーから段々洗練された賢い集団に変わっていくからだ。
事業が成長するということは、市場での認知度が上がり、売上、利益、株価、給料も上がり、経費もまだ締め付けキツくない状況で入社希望者が増えてくる頃である。
そうすると段々入社も狭き門になって見当違いな人は浮き始めて居づらくなる。

そしてその人達にトドメが刺されるのが、さらに会社が完全に成熟期に入ってしまった頃だ。
この頃になると大企業っぽくなってくる。
社員も増えるし人事、法務、ファイナンス、総務のようなバックオフィスも整備されその分ルールも増えていくしコンプライアンスなどもより厳密に求められるようになり、コンプラ違反の見本みたいな人は会社を去らざるを得なくなる。

一方でダメな人ばかりが会社を去るということではなく、優秀であるがベンチャーのような自由度がなくなった会社に魅力を感じなくなった人も会社を去る。
これが実は次のお金のなる木を作る際ネガティブに作用するように思う。
なぜなら彼らの中にはイノベーターのような人がいるからで、実際彼らは他のベンチャーに移ってカントリーマネージャや事業責任者になって事業を成功させるか、自ら事業を起こすかしているからだ。

優秀な人、ダメな人もひっくるめて会社のカルチャーやルールにフィットしなくなった人が去った成熟期の会社はどうしようとするかというと、M&Aで次のイノベーションを手にいれるか、それができそうな人をお金でヘッドハントしてくるか、莫大な予算をR&Dに注ぎ込むか、それらの合わせ技で次のお金のなる木をつくるしかない。
これをAppleのようにある事業が成熟し切る前に仕掛けないといけないし、結局は本社のCEOやCFOなどのCレベルの人が会社の命運を握ってるということなのかもしれない。

外資系ITに勤める者、財テクのリアリティについてでも書いたが、給与を上げて資産を増やそうと思ったらどこの産業のどこの会社に身を置くのかが重要だ。
そして、日本のマーケットで伸びるかどうか不明で会社の知名度も大してない会社の中から金の卵を見つけるのは意外と良い方法だと思う。
どうやって見つけるか、非上場会社の時に見つけるのは中々難しいと思うが、上場して1-2年経ってる、毎四半期の売上、EPS、ガイダンスが事前のアナリストの予想を上回り続けている、かつ、日本にまもなく進出するかもしれない会社を見つければいい。

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