黙祷を捧げるとき
こんにちは。
元BAのかなこです。
今日はこちらのテーマで、どうしてもお伝えしたいことがあったので書いていきます。
わたしは10年前、東京で美容部員として働いていました。
3月11日は出勤日で、14時46分は休憩時間でした。
あまりの揺れの大きさに立つことができず、バックヤードでその場に這っていることしかできませんでした。
ここが震源だ。
そう思いました。
しかししばらくして入ってきた情報は
震源地は東北で、東京ではない。
そして東北で大きな津波が発生して、何万人もの方が行方不明になっている。
というものでした。
あまりの衝撃に時間が止まったような感覚になったことを、今でも忘れることができません。
翌々日から仕事は再開したものの、テレビをつけると
顔を映してください!ここにいます!
と必死にご家族を探す被災者の方の姿が映り、何もできない自分をもどかしく思いました。
翌年の3月11日、その日もわたしは出勤でした。
少しずつ東京は日常を取り戻し、1年後にはすっかり震災前と同じような光景に戻っていた頃です。
出勤すると、一つの通達がありました。
本日は、東日本大震災で亡くなられたた被災者の方のご冥福をお祈りするために、14時46分から1分間、黙祷を行います。
時間が近づき、そのとき対応させていただいていたお客様にも、もうすぐ黙祷があることをお伝えしました。
もう1年経つんですね。
そんなお客様の言葉で、すっかり震災前の状態に戻ったことをありがたく思う反面、被災された方、ご遺族の方たちの気持ちを想像すると、胸を締め付けられるような思いになりました。
14時46分
店内のBGMも止まり、接客も全員中断し、店内は一斉に静かになりました。
2012年の3月11日、その日は日曜日で、14時台は通常混雑している時間帯です。
当時ももちろんとても店内が混雑していました。
しかし全員が手を止めて、被災され亡くなった方のご冥福をお祈りしました。
それからも10年近く美容部員をしていたわたしは、いくつかのデパートで勤務することになります。
3月11日は偶然にもほとんど出勤していて、店内にいる方全員と、一斉に黙祷を捧げています。
1度だけ、日本語が通じない海外の方を接客させていただいている最中に14時46分を迎えた3月11日がありました。
事前に通訳さんを通して黙祷を行っていただくことをお願いしたところ、東日本大震災のこともご存知だったのか快諾してくださり、いっしょに黙禱を行うことができました。
日本に住むわたしたちはもちろん、日本が好きでいらしてくださった方も、きっと亡くなった方のご冥福を心からお祈りしてくださったのだと思います。
あれから10年。
東京はすっかり、震災前のような日常を取り戻しました。
今はコロナウイルスと戦う、これまでと少し違った日常を送っています。
それでもわたしも、あのときいっしょに黙禱を捧げたたくさんの方も、みんなあの日のことを忘れていません。
だからみんな、手を止めて、思いを込めて黙祷を捧げるのです。
亡くなられた方があたたかいところで過ごせていますように。
大切な方を亡くされた方たちの心の傷が癒えますように。
毎年どこの店舗にいても、みんなで気持ちを一つにして黙祷を行う。
そのとき、わたしたちのご冥福をお祈りする気持ちが集まって、空に届いていくような、そんな気がしてならないのです。
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