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#5 THEの法則 - ライオンズマンションがTHE LIONとなった理由

昨日、新宿駅のコンコースでこんなポスターを目にしました。

「THE LIONS」のステートメント


1968年より大京が供給してきた「ライオンズマンション」のブランドリニューアル。実に55年ぶりとなるブランド刷新となるようです。80年代のバブルとその崩壊、近年の不動産価格高騰と不動産業界は目まぐるしい変化を遂げてきましたが、リニューアルにあたって名称に「THE」を付けるあたりに、何か引っかかるものがありました。気になって調べてみると、昨年発表のプレスリリースにはこのように書かれていました。

(プレスリリースより一部抜粋)
事業ブランドの競争力をより強化するために、ブランド名を「ライオンズマンション」から「THE LIONS」に変更します。新たなロゴは「一歩先の暮らし、洗練、上質」を表現し、先進的でモダンな印象を与えながら10年、20年、30年と続く、普遍性の高い、シンプルさを持ち合わせたデザインとしました。

ライオンズマンションのロゴ変化

なるほど。「THE」を付けると「事業ブランドの競争力がより強化される」訳ですね。けっこう潔く言い切ってしまっていますが、日々街中で目にするタワーマンションのキラキラした言葉遣いを眺めていると、少し納得できるものがあるかもしれません。実際タワーマンションのネーミングでは「THE」というワードが頻発しますよね。ここ、テストに出ますよ!「THE」がもたらす唯一無二性が、不動産価値には求められるのだと思います。

ふと思い出したのは、プリンスホテルが2007年にオープンした「The Prince」でした。まずはその時の報道資料を一部抜粋にてご紹介します。

プリンスホテル「ブランド戦略について」
報道資料より抜粋 (2006/12/13)

https://www.princehotels.co.jp/press/2006/pdf/061213brand1.pdf

プリンスホテル全体のステータスを高める役割を担い、プリンスブランドを代表するフラッグシップホテルを「ザ・プリンス」とネーミングして… ん?時空を超えて、とてつもない既視感が襲ってきます。「The Prince」と「THE LIONS」、やり口が完全に同じじゃないですか!

「THE」でもう一つ頭をよぎったのは、中川政七商店のその名も「THE」シリーズ。WEBサイトのメッセージから「新しい定番を生み出すこと」そしてそんな「定番と呼ばれるモノの基準値を引き上げていくこと」を目指しているようです。つまるところは、それぞれのカテゴリーのフラッグシップを生み出そうとする活動に見えますね。

中川政七商店 - THE シリーズ

はい、ここにも発見。「THE」という言葉をテコにして、高級路線を歩もうと画策する思惑が!

世の中、個別具体の3個以上のサンプルがあれば、それはもはや法則であり、メソッドと呼ぶことができる。そんな考え方に則り「THE」には高級感を担保する力があるのだという法則として、ここに認定させていただきます。

ダメだ、あらゆる「THE」をパトロールしたくなってきた…

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