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保育を仕事にする人へ 園のやめどき

秋は来年度の入園にむけて保護者の見学が多い時期ですが、
実は保育士さんの転職にむけての見学も多い季節です。

園で次の年度の進退を聞かれるところも多いためか、
だいたい10月頃から転職活動に動きだす人が多いイメージです。

転職のご相談をうけて、
いつも思うこと。

それは園が保育士さんに来てほしいタイミングと、
保育士さんが園に来たいというタイミングが
あわないことが多いなあということ。

2つのドア

保育業界の慣習なのか、
保育という仕事をえらぶ人に
いい意味でもわるい意味でも責任感が強くまじめな人が多いからなのか、
「 今つとめている園を辞めるのは何が何でも3月の年度末 」
という方が圧倒的に多いのです。

とくにフリーでなくて担任をもっている人はなおさら。

でも、保育園が保育士さんを募集するときというのは、
ほんとうに “そのとき” に、
人が必要だからということがほとんどです。

もちろん新年度からの募集は別にして、
保育園というところはやはり女性が多い職場なので、
結婚や妊娠・出産、家族の転勤や介護といった事情で
年度の途中でも職員の異動が発生することが少なくありません。

ただ保育園には保育士の配置基準というものが定められており、
おあずかりする子どもの人数に対して
かならずこれだけの人数の保育士が必要、
というのが明確に決められています。

それを守っていないと子どもをおあずかりできなかったり、
補助金を返還しなければいけなかったりするので、
保育園としてはどうしてもこの配置基準を満たしておきたい
という事情があるのです。
( もちろん保育の質を保ちたいというのは大前提です。)

今すぐに来てほしい保育園と、
年度末まではかならず今の園で勤めあげなければという転職希望者。
なんともやるせない現実です。

今すぐは無理ですか?と聞いてみると
「 すぐにでも行きたいんですけど…。」
「 めちゃくちゃ魅力的だけど…。」
「 でもやっぱり、年度末まではいないといけないと思うので…。」
ほぼ8割がた、こんな答えが返ってきます。

そうなると、園ではすぐに来てくれる他のだれかを採用することになり、
どんなにその人が
ここの保育方針や雰囲気が好き!
ここで保育したい!と思っても、
そのチャンスをみすみす逃がしてしまうことになるのです。

悩む保育士

たしかに責任感があることって素晴らしいなと思います。
自分がいなくなったらあの子たちはどうなるかな、
シフト回すの大変だろうな、
そう考える気持ちもとてもよくわかります。

でもある程度の年月、保育の現場を見てきて思うことは、
「 しんどいな。」「 この場はあわないな。」という思いは、
かならず保育に影響するということです。

思うようにいい保育ができない日々は、
きっとさらにストレスになり、
その人の生活を蝕んでいくことになるでしょう。

そうするとさらに保育や保育園がしんどくなるという負のスパイラルに…。
でも、いいなと思ったあの園の募集はもう埋まってしまっていた、
なんてことも。

わたしは、
保育をする人自身の心や生活が安定して、
充実して満たされていて、
そうしてはじめて最高の保育ができると感じています。

責任感はとっても大事だけど、
自分の心や人生を犠牲にしてまで、
しかもチャンスを逃してまで、
年度末に縛られなくてもいいんじゃないかな。

年度末じゃない選択肢があたりまえになってもいいんじゃないかな、
と思っています。

そうは言っても、
このせまい保育業界、
またどこで前の園の人と関わることになるかわからないので、
立つ鳥跡を濁さず、
円満な関係をたもって退職することも大切なんですけどね。

今回はなんだかまとまりきらない話になりましたが、
いろいろ縛られがちな保育園のやめどき、
自分を追い詰めてしまうよりは、
柔軟にいろんな選択をしてもいいんじゃない?
そんなお話でした。

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