経営合宿 虎の巻 〜場所やアジェンダだけじゃない!最高の経営合宿の創り方〜
この記事を読むとわかること
この記事は、経営チームで大事な経営テーマをじっくり話し合いたいと思っている人、合宿に行ってみたいという人、既にやっている人向けに、
場所やアジェンダだけでなく、より効果的で楽しい経営合宿をやるためのポイントがわかるよう書いてあります。読んでいただくことで、実際に誰でも合宿を企画して行くことができるようになり、何かしら一歩踏み出すことにお役に立てたら幸いです。
背景と自己紹介
みなさんは、経営合宿をどれくらいやっていますでしょうか?
2022年11月にとった合宿動向調査では、回答者の半数以上が、合宿やオフサイトでのミーティングをやっているとの回答結果が出ています。
初めましての方もそうでない方も、改めまして、茂木健太(もてぎけんた)を略して「もてけん」と申します。 僕は2012年に野村総合研究所で、組織開発コンサルティングを提供する社内ベンチャーに参画し、大企業から立ち上げ時のスタートアップ企業まで、経営者へのコーチングから、ビジョン・ミッション・バリューづくりからマネージャ育成などを、10年以上に渡り提供する中で、クライアント企業や自分のチームの合宿を、2人の経営合宿から300人超の全社合宿まで100回以上やってきました。
2022年に僕がもっとも好きでインパクトを出せるのが合宿であると改めて気づき、チームや組織の変革の起点となる合宿を増やす「合宿人(がっしゅくじん)」という活動を立ち上げています。合宿好きな合宿人仲間達と合宿に行く中で、最高の合宿体験を創るためのナレッジを実際の合宿体験から集めてきました。
2019年からのコロナ禍により、リアルで集まる場が激減し、最も大事な場(緊急性は低いが)である合宿が世の中から無くなってしまうことを危惧しています。
本記事では合宿の中でも特にインパクトの大きい経営合宿を取り上げ、これから経営合宿をやりたいと思っている人に役に立てたらと思っています。
同じ船に乗っている経営陣、普段の忙しさの合間の経営会議だけでなく、本当はもっと時間をつくり腰を据えてじっくり話したい&話すべきことがたくさんあるのではないでしょうか?
経営合宿といっても企業やテーマ、人、場所など様々な要素があって奥が深く、僕自身まだまだ探求と実践の途上であり、随時ブラッシュアップしていきます。
経営合宿とは?:非日常な環境で未来のことを扱う
経営合宿とは、文字通りだと組織の経営陣で行く合宿のことです。 マネージャー層も含めた幹部合宿や、メンバー層も含めた全社合宿など、ビジョン・パーパスや戦略など、経営上の大事なことを扱う合宿も広義で経営合宿と呼ぶこともあります。
例)30人全員で会社の未来を語る全社経営合宿
また、合宿というと宿泊で寝食を共に過ごすイメージを持つ方もいらっしゃると思いますが、いきなり泊まりと言われてもハードルが高いと感じるようでしたら、宿泊しなくとも半日〜1日のオフサイトでのミーティングなどで十分です。
まとまった時間を確保し、普段の仕事から離れて大事なテーマについて扱うことも経営合宿と呼びたいと思います。
せっかく時間とお金をかけて行う経営合宿のインパクトを最大化するために、普段の経営会議や旅行の延長ではなく、行く前と後で不可逆な変容が起こる合宿にしていきましょう。
また近年リモートワークが増えたことで、好きな場所に行って働くワーケーションという働き方も増えてきていますが、ワーケーションは普段の仕事を別の場所でやることであり、合宿とは別のものと考えます。
昔からよくある社員旅行というものも、福利厚生やレクリエーションの一環として、合宿とは違うものと考えています。合宿には新人芸などは強要されません。
経営合宿を実施するタイミング
さて、経営合宿は実際のところどんなタイミングでやるといいのでしょうか?
思い立ったら合宿に行けばいいのですが、ここは経営合宿単発ではなく、「重要であるが緊急ではない経営テーマを話す場」
として広く捉えてデザインしてきます。
普段、経営会議など集まって話す場があると思います。その何回かに1回の経営会議を、普段の時空間から離れ、ロングバージョン経営会議の経営合宿へと進化させるのがおすすめです。
週次〜隔週で1-2時間の経営会議をやっているのであれば、
月に1回は、半日〜1日のオフサイトでの経営合宿をやる
そして宿泊の経営合宿を3-6ヶ月に1回実施する
など、あくまで経営で大事なことを扱う場全体として、会議→会議→合宿といった具合にリズムを作っていくのがおすすめです。
このように時間、場所、テーマによってサイクルを決めて継続的にに実施するのが理想ですが、
経営合宿を特別に実施した方が良いというタイミングがあります。
それは、新たな経営陣が加わったり、役割を変更する時など、経営チームの布陣が変わるタイミングや、組織の人数が10人→30人→50人→100人と成長していく際のいわゆる「組織の成長の壁」を超えていくためには、これまでの延長線ではない経営陣や組織の進化が必要となります。 そのため、これから新たなステージへとチャレンジをしていくための決起集会や儀式としても、実施することを強くおすすめします。
※おまけ:三国志は合宿から始まった?
中学時代から大好きな三国志ですが、物語の始まりである、劉備・関羽・張飛による「桃園の誓い」は、実はスタートアップ経営合宿だったのではないかと勝手に妄想しています。調べてみるとどうやら張飛の家の庭という説があるようです。事実の真偽は分かりませんが、人類はキックオフのような集まりをストーリーとして大事にしていると言えるかもしれませんね。
経営合宿のテーマ・アジェンダ
さあ、経営合宿をやろう!と言った時、何をテーマにすれば良いのでしょうか?
キャンプや温泉に行くだけというのも仲良くなって悪くはないですが、それだと単なる旅行と変わりません。
経営合宿を起点に変革を起こしていくみなさんなら、なぜ経営合宿をやるのか?そのためにどんなテーマを扱うのか?から考えることが大事です。
テーマとしては、普段の経営会議の延長ではない、未来に向けて重要だが緊急ではないことを話すのが特におすすめです。
例えば、
相互理解を深め関係性を進化させる
ビジョンやパーパスを描き、体感する
事業の戦略、プロダクトのロードマップを描く
新規事業を企画する
などがありますが、普段の経営会議と同じモードで会話をしても、同じ会話の質にしかならないので、 お互いの人生ストーリーや価値観を語り、相互理解を深めてから、未来について話すなど、普段あまり話さないが大事なことを深く扱っていきます。
合宿人が提供する合宿プログラム「未来合宿」でも、この流れをベースにしています。
導入:合宿への意気込みの共有
相互理解を深める
理想の未来を描く
理想の未来の実現に向けた戦略テーマを出す
各戦略テーマについて議論
各自の決断とコミットの表明
合宿場所の選び方
いつものオフィスや自宅から、非日常の気持ちの良い環境に変えるだけでも、普段の仕事モードから切り替えられるので、経営合宿は行きたい所に行きましょう。これに尽きます。
海や山や島の大自然を味わう
温泉やサウナでととのう
現地名物の美味しいご飯やお酒
焚き火をエンドレスにできる
温かい適度なホスピタリティ
地域の人たちとの交流と創発
アートや建築に触れて感性を研ぎ澄ます
祭・イベントで盛り上がる
他にも、ヨガやトレッキング、川を下るラフティングから、バンジージャンプなど、やりたいことを合宿に盛り込んじゃいましょう。
チェックイン〜アウト以外の時間を有効に使えるか?
また、経営合宿の時間を有効に活用したいので、施設のチェックイン、アウト時間に融通が利くこともポイント。
宿泊施設では15時チェックイン、10時チェックアウトであることが多いですが、10時に追い出されてどこか寄って帰るのも。。もっと時間を使いたいですね。
なので、スペースを使える時間に融通が利くことがとても重要です。 1泊の場合、初日は午前10時位からセッションが始められて、チェックアウト後も翌日の夕方くらいまで使えるのが理想です。帰りに現地の名店で一緒に夕食食べて帰るなんてのもいいですね。
プライベート空間を確保して合宿に没入する
また、貸切空間であることも重要です。一棟完全貸切ができるとなると選択肢も限られるのですが、プライベート空間は保たれるようにしたいです。 これは、経営合宿という自分たちの神聖な空間としてキープするのに大事です。大型温泉旅館なんかで他のお客さんが横で浴衣で宴会なんかしていたら冷めますよね。
意外に大事なのが「安心して騒げる」こと。これは施設や他のお客さんに迷惑をかけてしまったり、そうなるのを懸念して余計な気を遣ったり抑えてしまったりすることがあるので結構大事です。といっても羽目を外し過ぎて迷惑はかけないようにしましょう。
どこかの会社の社員旅行では、大騒ぎして出禁になった自慢をする部門なんかありましたが、そんなものは武勇伝にならないのでやめましょう。
合宿日数と移動時間からどこまで行けるか?
それから、家を出てから帰るまでが合宿ですので、移動時間も大事です。
経営合宿に正味どれ位の時間を使いたいか?から、移動距離、施設で過ごす時間を決めます。
大体、1泊2日だと2-3時間以内、日帰りだと1時間台の移動距離が程よいです。
例えば東京駅を出発とすると、
1泊では熱海や箱根、軽井沢、山梨では富士五湖辺りや、群馬のみなかみなどもおすすめです。
日帰りでは、湘南や高尾山、千葉の内房辺りとなります。
2泊以上確保できる場合はあまり気にせず、海外も含め行きたい所に行きましょう。
車を出せる場合は、行きの車から一緒に話しながら行くなんていうのも、移動時間も経営陣で話す時間に使えるのでいいですね。
車を出さない場合は、電車など公共の交通機関で行きやすい場所にします。
※都内から行きやすい、日帰りもできる合宿場所のまとめ記事も是非ご参照ください。
おもてなし?セルフ? 食事の時間の使い方
せっかくの合宿、ご飯も充実させたいですね。もちろん行った先ならではの美味しい食べたいものを食べたらいいのですが、BBQなど自分達で準備するかどうかもポイントです。
経営合宿のセッション時間を多く取りたいのであれば、ご飯は施設で用意してもらうのがいいでしょう。あえて自分たちで用意して一緒に作る感を重視するのであれば、BBQなどもいいと思います。ただし、フルキャンプなどでは要注意なのが、テントとタープを立てて、ご飯も用意して、片付けもしてとなると、結構それだけで時間一杯使ってしまい、せっかくゆったり話しにきたのに、いつもより忙しいなんてことも多々あります。
キャンプの場合は2泊にする、1泊の場合は朝には現地についておくなどの工夫が必要です。キャンパーの方々にはこの辺の過ごし方が上手な人が多いので、キャンプを1つの経営合宿のスタイルとして追求するのも楽しいですね。
おまけ:意外に大事な部屋割り
意外に重要なのが部屋割りです。10人以下が多い経営合宿では大部屋から個室までの選択肢があり、より一体感を強めたいならできるだけみんなで同じスペースで過ごしたい所ですが、性別で部屋を分けるのはもちろん、いびきをかく/かかないで部屋を分けるなんかも、快適な睡眠をとるだけでなく、お互いのストレスを減らすためには意外に大事です。
大部屋で一緒の部屋にしたら、誰かのいびきでほとんど寝られなかったけど言い出せない、なんてこともありました。
日程の決め方:金曜を起点に組み立てる
いつ経営合宿に行くか?と考えた時、結論から言うと、土日が休みなのであれば、 1泊では金-土、日帰りであれば金曜日と、華の金曜日を中心に考えましょう。
平日だと業務を2日間空けるのにかなりの調整が発生し、土日だと家族やプライベートの時間が潰れてしまい、金-土にすれば双方1日の調整で済むのと、何より土日に比べて金土にするだけで交通渋滞にもハマらず、現地も空いています。中には貸切状態なんてことも多いです。
また、経営合宿で密な話をすると心身共に疲れはたまるので、土曜に帰って来れれば日曜はゆっくり休むことができます。
経営合宿前の準備
どんな合宿にしたいか?イメージを湧かせておく
日程と場所だけ決めてあとは行ってから考えるでは、せっかくの合宿も普段と同じモードにちょっと解放感を感じるだけで、ダラダラ過ごしてしまうなんてことも。
そうならないためにも事前の準備が大事です。
当日どんな時間にしたいのか?どんなテーマを話したいのか?それらのテーマについて、各自イメージしてくるというのも大事です。
相互理解を深める事前ワークとして、各自自分の価値観やこれまでの人生ストーリーを棚卸ししてくる
会社だけでなく個人の理想の未来をイメージしてくる
経営合宿のテーマとなる戦略テーマについて、課題感と解決策の案を考えてくる など
できれば、合宿の直前の経営会議をプレ合宿と位置付け、どんな経営合宿にしたいか?を話しておくことで、当日の合宿に向かう意図をつくれるとより良いです。
用意する物:現地にあるか確認しておきましょう
経営テーマを扱うのによく使うもの
サインペンとポストイット(正方形・強粘着)の他、A4の白紙を持っておくと便利です。
名札はあえて「読んで欲しい名前」「最近好きなこと」などを書いて、
普段の関係性をちょっとずらすことを意図しますホワイトボード、プロジェクター、スクリーンは必要に応じて
スピーカーで好きな音楽を掛けるといいでしょう。spotifyおすすめ
ドリンク・おやつ
他、ゲーム、焚き火グッズ、チルタイム用のCBDやアロマオイル等、やボディケアグッズなど
より豊かな合宿体験になりそうなもの
合宿中の過ごし方:全ての時間をフル活用する
このパートでは、合宿中の経営テーマを話す場から、空き時間から夜の過ごし方までを紹介していきます。
どんな話し合いするかやファシリテーションのポイントなど本記事だけでは書き切れれませんので、そのうち第2弾を書いていけたらと思います。
1.経営テーマセッション
上述の通り、経営合宿では、お互いの相互理解や理想の未来とその実現に向けた戦略テーマの話がメインディッシュとなります。
PCを開いたりスマホを手にし、メッセンジャーやslackなどやり取りをしながらだと、せっかくの経営合宿も普段の仕事の臨場感を持ち込んでしまい、大事な話に集中できません。できれば合宿中はデジタルデトックスの意味も込めて、PCやスマホを手放す、少なくともセッションには見ないようにして、経営合宿の話に集中するのをマストにします。
また、アジェンダの進行において、これからの未来のために今何を話すのが大事か?というのは生き物のようなもので、瞬間瞬間で変わっていくもの。経営でも合宿でも、限られた時間の中で意思決定していくという所は一緒です。そのため、用意されたアジェンダ通りに進めることに拘らず、その時何に時間を使うか?を判断し、柔軟に変えていくのがポイントです。
イマイチだと思うのが、経営企画や人事の人が一生懸命アジェンダを詰め込んで、時間通りに淡々と司会進行してしまうケース。こんなこと起きていたりしませんでしょうか?
このようなことが起こらないためのポイントは、次のファシリテーターのパートで記述します。
事前のアジェンダにこだわり過ぎない
経営合宿で変化をつくりに行くのであれば、どんなワークや議論をするにしても、普段の会話よりも未来志向でかつ深くいくのが重要です。
その際にポイントとなるのは、どこまで自分と相手の「本音」にアクセスできるかです。
これもアジェンダでは色々なテーマを扱っていく流れがありながら、「普段思っていたけど伝えられた」など、誰かが思い切って自己開示することから、他のみんなもどんどん普段の鎧を脱ぎ捨ててオープンに話せるようになっていく。といったことが起きてきます。
普段が仕事だけのつながりであると、いきなり「自己開示タイム」といっても、最初は言いやすいことだけが出てくるかもしれませんが、合宿のどこかで自己開示の連鎖が起きれば大丈夫です。焚き火を囲んでる時なんか自然に起きやすいですね。
相互理解を深める:価値観・強みにまつわる人生ストーリーテリング、ストレングスファインダー等
理想の未来を描く:未来年表、未来ディベート、理想の未来の演劇ワーク等
僕がファシリテーションする際に大事にしているのが、テーマとアジェンダを最初用意はするものの、いざ経営合宿が始まったら、その瞬間何をするのが未来にとって最もインパクトが大きいか?という感覚で、次に何をやるか?を決めています。
やったことのあるワークもあれば、その場新しく生まれることも多くあります。
その1つとして、「解散の儀式」というものがあります。
これは、合宿中は普段よりも共に過ごす時間が長いため、仲良くなることが多いのですが、ずっと一緒にいると、その心地よさがコンフォートゾーンとなって現状維持になりやすいのです。そこで、経営チームが未来に向けて進化するために、現状の関係性にあるチームを一旦解散するというワークというかプレイです。
夜に焚き火を囲みながらやるのが理想で、「これまでの経営チームは一旦解散!」といって、それぞれ夜の闇に消え、1人の時間を過ごして、それぞれ戻ってきたくなったタイミングで戻ります。そして集まった時には、未来に向けて再集結してのキックオフという想定で話します。
これは場の雰囲気づくりを大事にトライしてみてください。
2.テーマに合わせた体験プログラム
せっかく場所を変えるなら、その場所ならではの自然やアトラクションも入れるのもいいです。
それもただ遊びを入れるよりも、経営合宿のテーマに合わせた体験を入れたい所です。
実際にやってきたことの一例を挙げると、
起業家達との沖縄合宿で、森の奥深くにある滝までトレッキングし、滝壺に飛び込むことで、チャレンジへの恐れを超える
山梨の山頂近くのロッジから、夜に山頂まで暗闇を歩き、たどり着いた山頂で満点の星を眺めながらビジョンをイメージする
真冬の早朝に海に入ることで心身を引き締める
など、エクストリームな体験もありますが、安全第一でやりましょう。
3.合宿ならではの「間」の時間を豊かに使う
経営合宿においては、普段のミーティング続きと違って、セッションの休憩や食事やお風呂やその合間など、「間」となる時間がたくさんあるのがならではです。
この「間」となる時間をどう使うのか?が実はとっても大事です。この間の時間に、普段の仕事をしてしまったり、オンラインミーティングを入れてしまうのはもったいないです。
なぜなら、セッションで話したテーマは、普段考えていない話していないことほど、そのセッション後に消化したり、新たなひらめきに繋がったりする時間となるからです。
ですので、この「間」の時間を有効活用するためには、セッション後に五感を解放して豊かな自然を味わう散歩や瞑想など、ボーッとする時間をつくるのがおすすめです。
どうしても普段の仕事をする必要がある場合は、この30分で緊急度が高い仕事は片付けてしまおうと、時間を決めておくといいです。30分で何とかすると期日効果が発動されて、生産性も上がると思います。
4.合宿の夜の演出:いつもの飲み会の延長にならないために
合宿の夜も油断せずにハックします。
合宿ならではで楽しみでもある、美味しいものを食べて、温泉入って、お酒も入って、いい気分になり、みんなで未来をエモく語り合うはいいのですが、酔いが深くなってくると、普段の飲み会のようなモードになってしまうのも要注意。せっかく日中のセッションで未来に臨場感が行ったのに、普段の人間関係なんかが出て、戻ってしまうことも多々あり、油断できません。
また夜遅くまで飲み過ぎて、翌朝ゾンビのようになってしまうのも避けたいですね。
こんな時は、焚き火を囲むのはオススメ。焚き火の前だとなんか素の自分がでて、沈黙もいい時間になるんですよね。「実はこんなことをやりたい!」と1人の自己開示が場を大きく動かすこともしょっちゅうあります。 そして焚き火を囲んだお酒は悪酔いしないという、まだ実体験ベースでの焚き火マジックもあります。
さらに、みんなの好きな音楽をかけるのもさらにおすすめです。音楽と記憶も結びつきやすいので、合宿後にあの音楽を聞くと、合宿で未来を語った臨場感が蘇ります。
合宿人では合宿人Nightパックとして、DJを呼んでみんなでビジョンやパーパスをイメージしながら、盛り上がったり、ゆったりくつろいだりする演出も始めています。
ファシリテーターの役割
経営合宿ではファシリテーターの役割がとってもとっても重要です。
ファシリテーターは単なる中立的な司会進行役ではなく、この経営合宿という場と参加する人たちから、何を創り出すか?を担う役割と考えています。
経営合宿の質は、参加者のコミットはもちろん、それらを十分に引き出して創り上げるファシリテータの関わり方にかかっています。
上記のように、ファシリテーターを任せた経営企画や人事の人が、経営陣に物申しにくい関係にあると、大事だけどちょっと話しにくいことに踏み込んでいくのは難しいですし、 声の大きな経営トップがファシリテーターをやると、トップに忖度をした意見や当たり障りのない話に終始してしまうことも多々あります。
ファシリテーターは参加者との信頼関係があり、かつ経営陣がお互いのことをぶっちゃけどう思っているか?など、話しにくいけど大事な話にも踏み込め、必要に応じて議論の中身にも入ってリードする。
ファシリテーションのポイントについては、たくさんあって書ききれないので、別途改めて書いていこうと思いますが、ひとつだけ挙げるとすれば、「予定調和を崩し、カオスを起こして、場から何かを共創する」ことだと思っています。
つつがなくアジェンダ通り進行すればいいわけじゃないんです。
このようなことができる人が望ましいですが、社内で担える人がいないのであれば、プロのファシリテーターに依頼するのも手です。
また、ファシリテーターだけでなく、メンターとなる先輩経営者やテーマに合わせた専門家などをメンターとして呼び、必要な知見を借りるのもありです。世にあふれる必要なリソースは何でも使いましょう。
帰ってからが大切!合宿で話した続きをどう扱うか?
1回の合宿で、経営陣の熱量は大きく上がったものの、月曜から日常に戻った途端、徐々に熱は冷め、いつのまにか元の状態に戻ってしまうことも油断すると起こります。せっかく経営合宿で話したテーマが話しっぱなしでお蔵入りしてしまっては意味がありませんね。 また、理想の未来のイメージや戦略テーマの全てが十分に話され、結論が出るなんてことはありません。そのため、合宿で話した続きをどう扱っていくか?を決めることが大事です。
以下のようにテーマの内容と検討状況に合わせて、続きをどうするかを決めておきましょう。
経営陣で担当を決めて進めるテーマ→担当を割り振って進め、次の経営会議で共有
結論が出ず継続的に話すテーマ→経営会議など次回話す場を決める
中長期的に話し続けるテーマ:ビジョン・パーパスなど→次の何ヶ月後かの経営合宿へ
経営合宿の熱量を全社に伝播する
経営合宿をやって、経営陣に火がついて加速していくと、合宿に参加していないメンバーとの温度差や視座の違いが目立っていくことも多いです。
従業員エンゲージメントが低い組織では、「現場は忙しいのに、経営陣はよく集まっているけど、一体何をやっているんだろう?」という邪推から不満へとつながることもよくみられます。
合宿後の全社ミーティングや各チームのミーティングで合宿での検討結果をオープンにシェアしていくのも大事です。
また、よきタイミングでメンバー全員での全社合宿を行うことで、経営合宿で着いた火を一気に全社へ広げるのもオススメです。
「経営合宿に行こう!」と言い出すのもリーダーシップ
社長が経営合宿をやりたいと思っても、他の経営陣が行きたくない雰囲気があると、中々言い出せなかったり、一度でも反対されると2度と言い出せなかったりすることも多くあります。
そう、合宿に行こうと提案するのも、いつもと違うことして変わろうと周りを巻き込むリーダーシップなのです。
ある意味、合宿に行くなんて話にも出ていなかった経営チームが、経営合宿に行くという状況になる時点で、大きな変化は始まっていると言えます。
経営陣が普段はオンラインばかりで集まりもしていなかった場合、最初からいきなり泊まりで合宿に行こうと提案しなくても、まずは普段話せていない大事なことを、いつもと場を変えて話そう。まずはこれから始めるだけでも大きな進歩です。
合宿はみんなで創るアート体験である
いきなり何言い出すの?と思われるかもしれませんが、これまで多くの合宿を繰り返す中で確信していることがあります。ここまで経営合宿は行く場所とテーマとアジェンダなど、どうやってやっていくかのポイントを紹介してきました。もちろん、目的やテーマに対するアウトプットは大事なのですが、合宿の本質は、 「合宿という最高の体験をみんなで一緒に創る」ということそのものこそに価値があるのではないか?ということです。
そしてその体験は一期一会のものであり、 「合宿はみんなで創るアート体験である」
と思っています。
これから会社として経営陣としてチャレンジをしていく時、苦しい時にも、あの経営合宿の最高の体験を思い出すと踏ん張れる、仲間を信頼できる。あの経営合宿でしっかりと描いた未来が心身に強く刻み込まれているから上を向いて進める。
このように、合宿には、数字的な成果や効率性を超えた、魔力のようなものがあると確信しており、これを読んでいただいているみなさんもぜひ、最高の合宿を追求し、ビジネスや人生をより豊かなものへとしていただけたら幸いです。
最後にいきなり何言い出すの?と思われるかもしれませんが、これまで多くの合宿を繰り返す中で確信していることがあります。
日々の意思決定と同じく、経営合宿の費用対効果は?と聞かれることが多く、もちろんそれも大事だと思います。ですがそれ以上に、合宿という時空間の中で、「この瞬間何をしたいか?」を最大に解放する意思決定の連続の中で、時には大自然で心身を解放し、時には鎧を脱いでの自己開示、時にはアツくぶつかり、それらを乗り越えて、自分たちの実現したい未来を創る。 それら最高の合宿体験を一緒に創ることそのものが経営合宿の最大の価値だと思っています。
まとめ
長々と書きましたが、経営合宿の効果は何か?を一言でいうと、
個人は元気になり、チームは仲良くなる
これに尽きると言えると思います。
※ただ仲良くなるだけでなく、未来に向けて必要なことは遠慮なくぶつかり合える同志の関係です。
最高の経営合宿をすれば、元気になって仲良くなるので、大抵の問題は解決する、というより、問題と思っていたことが問題では無かったと気づき、
それでも残ったモノが未来に向けたイシューであると思います。
最後になりますが、僕は全てのチームは合宿に行った方がいいと本気で思い、「合宿人」という旗を立てました。特に経営チームにおいては、組織のビジョン実現に向かう運命共同体として、合宿に行っていない経営チームは今すぐにでも企画していただきたいくらいに思っております。
合宿のことなら何でも聞いてください!
「合宿へ行こう!」といっても、今まで行っていなかったり、一度却下されたことがあったりすると、どうしていいか分からないこともあると思います。
合宿人では、これまで10年以上の経営合宿や全社合宿の経験と、合宿好きな合宿人仲間達のナレッジが集まっており、合宿の場所から、アジェンダ、ファシリテーションのポイントまで、 無料相談を受けておりますので、お気軽にご相談いただけたらと思います。
お問い合わせは合宿人公式LINEもしくは合宿人ホームページからどうぞ。(ページ下部にお問い合わせフォームがあります)
また、経営合宿に限らず、合宿の事例ストーリーやナレッジを、こちらの合宿人noteで発信しているので、ぜひご覧いただけたらと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
こちらを読んだみなさんが、最高の経営合宿を体験することへお役に立てたらうれしいです!
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