ストレスは「脳」へのダメージ
「うつ病は甘え」「心が弱い」なんていう人がいる。
実際に私の初めての後輩が、「適応障害」と診断されて退職してしまったときに、私の上司は言った。
「最近の子は心が弱い。注意しただけなのに、怒ったと捉えられてこちらも大変」
心、とは何だろう。
私は「心」なんて臓器を知らない。上司だってきっと、生物の時間に「心」なんて臓器は習わなかったはずだ。
そう、「心」とは「脳」だと私は思う。
上司が与えていたストレスは後輩の心を蝕んでいたのではなく、
脳を攻撃していたのだ。
毎日続く上司の攻撃によって、後輩の脳は参ってしまい、とうとう「適応障害」という病になった。
確かに「自分はそんなつもりで言ったのではなかった」「そんなに嫌だと思っていなかった」という気持ちも分かる。
脳へのダメージは見た目には分かりづらい。
ダメージを受けても包帯が巻かれるわけではないし、血が出ることもない。
だからこそ、気を付けるべきだと私は思う。
誰かの脚を蹴って骨を折っておいて「あなた脚が弱いわね」なんて言い訳は通用しないのに、
誰かの脳を攻撃して怪我をさせて「あなた心が弱いわね」が通用するのはおかしくないだろうか。
自分が強い言葉を使うとき、汚い言葉を使うとき、怖い態度で威圧しているとき、
相手の脳を過剰に攻撃していないだろうか。
人間なので、たまには自分にも余裕がなくなって、つい攻撃しまうこともあるかもしれない。
でも、そんなときはケアすればいい。
「さっきは強く言ってしまってごめん」「少しイラついていて、嫌な態度をとってしまった」
別に薬を塗って包帯を巻く必要はない。
こんな言葉をかけるだけで、救われる人がどれだけいるだろうと思う。
また自分が強いストレスを受けて参ってしまっているとき、
「自分はメンタルが弱いのか…」「自分は心が弱い人間なのか」と責めないで欲しい。
脳を攻撃されているのだから、誰でも体調が悪くなるに決まっている。
そんなときは冷静に、自分の脳を労わってあげることをおすすめしたい。
脳に栄養がいくようにたくさん食べて、
脳に刺激が伝わらないように静かな場所でそっと目を閉じて、
そして脳を休ませるためにしっかりと寝る。
これだけでいくぶんかすっきりするはずだ。
「心なんて臓器はない。心へのダメージとは、つまり脳へのダメージだ」
私はこの言葉を念頭に生きている。
だからこそ、ストレスを感じたら自分の体を労わるし、
「もすこさんて、うつ病とかならなさそう」と言われるのかもしれない。