2日目。祖師廟口沙茶牛肉大王で昼飲み。(20回目の台湾旅2024/09)
行天宮北投分宮を出た後は、ホテルまで戻ってチェックアウトして、荷物を台北駅に預けてから西門あたりを散策。
友人が香港映画のDVDを探したいというので、すごく久しぶりに五大唱片などのCD/DVDショップを巡りました。
もはやサブスク全盛とあって、台北駅前も西門エリアもずいぶんお店が減りました。
そのなかで生き残ったショップの売れ筋商品はやはり台湾でもK-POP。グッズ付きのものも多いし、アートワークも凝っていたりして、引き続き現物の人気がありますよね。
一生懸命お店を回っていたので写真をすっかり撮り忘れてしまったのですが、よかったのが西門紅樓を取り囲む商店の中にある「澤龍唱片」。
小さな個人商店といった趣のCD/DVDショップで、映画DVD/ブルーレイの品揃えが渋い。
2021年に東京の国立映画アーカイブで観て面白かった「台湾語映画」の特集上映で公開されていた作品を、店先の廉価版の棚で見つけて眺めていたら、見るからにめちゃ映画に詳しそうな店長さんにこっちの方がいいよ、と店内の棚を案内され、最近TFAI(国家電影及視聴文化中心)で修復されソフト化されたバージョンの物を勧めていただき、未見だったものをいくつか購入しました。
「台湾語映画」とは戦後、国民党政府の軍事独裁体制下で北京語ベースの台湾華語を国語として話すよう強制される中、本来台湾に住んでいた漢民族の言語である、閩南語ベースの台湾語で1960年代ころに撮られた映画のことで、出稼ぎで工場勤めをしている若い工員たちが週末に観るような、いわゆるプログラム・ピクチャーとして人気を博していた作品群です。
メロドラマやサスペンスなど勢いのある娯楽作が多く、近年再評価されています。
そうこうしている間に、お昼の時間。午後は遅れてやってくるもうひとりの友人を桃園空港まで迎えに行かなくはならないため、西門からいそいそと歩いて台北の下町、艋舺(バンカ Báng-kah)地区の心臓部へ。
やってきたのは「祖師廟口沙茶牛肉大王(zǔ shī miào kǒu shā chá niú ròu dà wáng)」。
「祖師廟口」という名の通り、「艋舺清水巖」という、台北でもかなり古い歴史を持つ廟に併設された牛肉料理のお店で、なおかつ昼飲みのできるスポットなのです。
看板に1953年に開店とあるので、もう70年以上の老舗。
バラックのような造りの店構えにちょっとビビりますが、お店の方はとても気さくで「こっちエアコン効いているから」と涼しい席に案内してもらいました。
メニューは台湾国産黄牛を使用した牛の色んな部位の炒め物、スープ、そして麺とご飯。
あまり時間がなかったこともあって、今回は控えめに炒牛肉(chǎo niú ròu)と、炒麺(chǎo miàn)、そして友人が食べてみたい!ということで炒牛脳(chǎo niú nǎo)にチャレンジ。
酒もビール、米酒、高粱酒、紹興酒から日本酒、はてはマッカランまでなんでも揃っているのですが、へべれけでお迎えに行くわけにも行かず、ぐっと我慢して台湾ビールだけにしました。
料理は炒め物が100元、炒麺が80元。
盛りは少なめですが、この値段で国産の黄牛をいただけるのでまあよいのではないでしょうか。
炒牛肉は沙茶醬が主張しすぎず、素材の牛肉の美味しさがよくわかるシンプルな味付け。
ビールに合わないわけがない。
炒麺はいわゆる焼きそばで、台湾あるあるのふにゃふにゃ麺ですが、これも旨し。
唯一、炒牛脳はもともと脳が淡白なこともあり、トマトと卵炒め+何か、という感じでよく分からず。
本当はもうちょっとあれこれ頼んで食べ比べてみたかったし、ビール以外の酒にも挑戦してみたかったのですが、次回のお楽しみにしました。
13時開店で19時には閉まってしまう、ちょっと変わった業態の店ですが、歴史と文化を味わう場所としておすすめです。