私が探究学習に関わりたい理由
今日、総合的な探究の時間の学習指導要領をABD(アクティブブックダイアローグ)という手法を使って読んでみる会をしました。
そこで、私がなんで探究学習にわくわくするのかが言語化できたので、忘れないうちに書き残しておこうと思います。
フィンランドで貰った忘れられない言葉
小学生の頃からずっと教員に憧れて、大学で中高の英語の免許を取るために、教職課程を履修していました。大学2年の時に、1年間フィンランドに留学して、教育学部に所属して現地の教育のことを学ぶ中で、フィンランドの小学校の先生に言われて今でもずっと刺さっている言葉があります。
教員の仕事は、子どもたちの好奇心の芽を摘まないことだよ。
「教える」というよりは、「引き出す」という関わり方を大切にしているフィンランドの先生方を見て、すごく衝撃を受けました。
『先生って、教える人だけじゃないんだ…。』
『教えることで、摘んでしまっているものがあるのかなあ…。』
そんなことを考える中で、ずっと先生になりたいって思って進路選択をしてきたけど、そもそも自分は、どんな先生になりたいんだろう?ということを、初めて考えるようになりました。
帰国してから多様な教育現場を見たり聞いたりする中で、それぞれの現場において、先生にあたる大人の関わり方がさまざまであることに気がつきました。
ティーチャーのように、教える関わり方。
ファシリテーターのように、導くような関わり方。
コーチのように、引き出すような関わり方。
いろいろ学ぶうちに、ジェネレーターという言葉に出会いました。
なりたい教師像
「ジェネレーター」(generator)という新しい教師像について。ジェネレーターとしての教師は、知識を教えたりスキルを身につける機会をつくったりする「ティーチャー」や「インストラクター」ではなく、また、話し合いの流れを促す「ファシリテーター」でもない、創造的な役割を担います。ジェネレーターとしての教師は、生徒・学生たちとともに創造的活動に取り組むひとりのメンバーとなり、一緒に「つくる」ことに参加します。その「つくる」活動のなかで、そのときどきで必要なことを教え、自らも「つくる」ために手を動かし、その実践を見て生徒・学生も学んでいく、そのような存在です。
これからの学びと教育:クリエイティブ・ラーニングをめぐる対話 〜 ジェネレーターとパターン・ランゲージの可能性 https://peatix.com/event/568966
『私が目指したい教師像って、こんな関わりができるひとかもしれない…!』
そんなふうに思いながら、教育実習に行きました。
「うまくいった授業」は誰のため?
ジェネレーターみたいに、生徒と一緒に学び続けられるような教員になりたい。そう意気込みながら教育実習に行ったはずなのに、教壇に立った途端、自分の思い通りに生徒を動かそうとしている自分になってしまっていることに気が付きました。
『この授業はうまくいった!』と自分が勝手に思った授業を振り返ってみると、指導案通りに進められたものとか、時間通りに終わったものとか、そういうものばかりで。『それって本当に生徒にとっていい授業だったんだろうか…』と、わからなくなってしまいました。
ジェネレーターみたいになりたい自分と、
先生として振る舞うことで、無意識に生徒を管理しようとしてしまう自分。
そのギャップが苦しくて…。
立場を変えてみる
そんなふうに教育実習を経験して、進路に悩んでいるタイミングで、高校魅力化コーディネーターという職に出会いました。
自治体によってその仕事内容は様々だけど、地域と学校をつなげるという役割から、探究学習に関わる場合が多く、そこでのコーディネーターの生徒への関わり方が、フィンランドの先生の関わり方にすごく重なって見えたんです。
『立場を変えてみたら、私が目指したい関わり方で生徒と関われるのかもしれない。』
そう思って、今、島根県益田市にて、教育魅力化コーディネーターとして働いています。
探究学習という切り口から
「総合的な探究の時間」の学習指導要領の中に、教員の関わり方について述べられている章があります。
生徒がもつ本来の力を引き出し,それを支え,伸ばすように指導していくことが大切であり,そうした肯定的な生徒観に立つことが欠かせない。
しかし,生徒の主体性 を重視するということは,教師が生徒の学習に対して積極的に関わらないということを意 味するものではない。 例えば,生徒の主体性が発揮されている場面では,生徒が自ら変容していく姿を見守ることが大切である。また,生徒の取組が停滞したり迷ったりしている場面では,適切な指導が必要である。そのようにして,生徒のもつ潜在的な力が発揮されるような学習指導を行うことが大切である。
(p117, 高等学校学習指導要領 平成30年告示解説 総合的な探究の時間編)
これってまさに、私が目指したい関わり方なんじゃないかと思っていて。
そこが近くて共感できるからこそ、探究学習を切り口に生徒と関わることにわくわくするのかもしれません。
探究学習にどうしてわくわくするのかを、やっと言語化できて、自分の中ですごく腑に落ちて、めっちゃ嬉しい〜!