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魅惑の小笠原(もしかすると 続く)

ひょんなことから、小笠原海運が主催する「小笠原プチ移住ツアー」を知った。
小笠原の父島でほぼ1か月自由に暮らして、本当にプチ移住のような生活ができる、往復日程以外すべてフリープランという夢のようなツアーだ。
なぜこのような、魅惑的なツアーが開催されるのかというと、それは小笠原の交通事情による。

小笠原諸島には、どの島にも空港がないため、東京の竹島桟橋からフェリーで行くのだが、このフェリーが週に1便しか出ていない。
しかも島までは片道24時間かかるため、往路1泊+復路1泊+小笠原4泊を覚悟しておかなくてはならない。
つまり、最低一週間の旅程を確保できないと、小笠原には行けないのである。

普段ですらそのような状態なのに、5月は唯一の交通手段であるフェリーが定期点検でドッグに入るため、4週間のあいだ本土と小笠原をつなぐ便がなくなる。
そこで、小笠原海運が考えたのが、この4週間なにがあっても島から帰れない「プチ移住ツアー」というわけだ。

何があっても帰れないと書いたが、さすがに生命の危機に瀕した場合には対応してもらえると思うし、大切な人に何かあった場合も、おそらく帰ることはできるのではないかと思う。
ただし、死に目に会えるかどうかは保証できない。
何しろ連絡をもらっても、到着まで最短で24時間はかかるのだから。
(まあ、死に目に会えたからと言って結局死んでしまうのは一緒だから、気にしても仕方ないと私は思うのだが、気にする人は参加しないほうがいいだろう)

これを見つけた瞬間、なんと素敵なツアーだろうか、と反射的に空きがあるかと問い合わせていた。
すると、5月は小笠原観光のオフシーズンらしく、フェリーは余裕で空いているらしい。
(冬から4月まではホエールウォッチングが観光の目玉。夏はマリンスポーツで人が来る。そのはざまは、クジラもいないし、梅雨の走りでもあり、訪れる人が少なくなるらしい)

では、泊まるところはまだ空いているのかというと、定期運航船が来ないこの時期、島のすべての旅館やホテルが一斉に休業するので、ツアーの申し込みがあった場合にのみ、小笠原海運から宿泊を頼み込んでお願いするのだそうだ。
だから、問い合わせた時点ではまだ「泊まるところが確保できるかどうかはわからない状態」ということであった。

しかも、一点注意事項がある。
島に行くフェリーが1か月欠航するということは、その間、島には本土から物資が届かないということだ。
スーパーの棚もガラガラになるとも聞く。
この時期宿が休業するのは、食料が手に入らないからだ。
どうしても必要なものがあれば、持参してほしいという。

むむむ。
これはちょっと辛い。
4週間、何をどれほど持っていけばいいのか、予想がつかない。
しかし、行きたい。
でも、今年は4月に沖縄にも行くわけで、出費が痛い。

悩みに悩んで、まだ保留状態にしている。
申し込みの締め切りは4月24日なので、余裕があるとはいえ、そろそろ腹を決めねばならない。

今、仕事の合間に、小笠原の本を探して読んでいるのだが、この島の成り立ちはとても面白い。
小笠原は絶海の孤島なので、沖縄のように大陸や東南アジアと古くから交流があって独自の文化が発展してきた、ということがない。
そもそも島の歴史がスタートしているのが、ペリー来航あたりからなのだ。
たかだが150年ちょっと前。

しかも、島には日本に帰化した、西洋にルーツを持つ方々がお住まいで、彼らはなんと元・漂着民らしい。
漂着した当時の身分(船長と、平の船員みたいなこと)が残っていて、やたらと交流しないらしい。
さきほどから「らしい」を多用しているのは、今はどうだかわからないからだ。
私が読んでいるのは、初版が昭和44年という、めちゃくちゃ古い本だ。
まさか、その当時の身分差別が今も残っているとは考えにくいのだが、何しろここは東洋のガラパゴス、貴重な生態系が手つかずで残る世界自然遺産の島なのだ。
何が残っていても不思議ではないのかもしれない。

とりあえず、今回は、小笠原の位置だけ示して終わる。

小笠原諸島の父島は、東京の南 約 981km、北緯 27 度 05 分

気象庁

沖縄本島は、およそ北緯26度、東経127度に位置する、

気象庁

赤丸が小笠原、青丸が沖縄本島、ピンクの線は東京から小笠原までの距離を表し、黄色の線は小笠原から、サイパン・グアムまでの距離を表す。
なお、太平洋戦争の大激戦地・硫黄島は小笠原の南南西280キロあたりに存在している。

こうしてみると、米軍は着実に北上して、日本本土の焦土作戦を実行していたのだな、と思う。

**連続投稿789日目**

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はんだあゆみ
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