AIの進化がよくわかるイラスト
2年前、世の中の変化に疎い私のもとにも「画像生成AI」というものの存在が伝わってきた。
情景や人物の様子などを細かく指定すれば、こちらの望むイラストを仕上げてくれるという。
当時最も関心をもっていた「水戸天狗党」のイメージイラストをオーダーした。
天狗党といえば、雪の蝿帽子峠越えがもっとも有名なエピソードだと思う。
そのシーンを描いてくれるよう、AIに頼んでみた。
その結果がこちら。
おそらく、「天狗党」がなんなのか、全く伝わっていなかったのだろう。
わからないなら、せめて調べてくれたらいいのに。
AIなんだから、調べるのは得意でしょうが。
おかげで、天狗のお面をつけた人たちが、雪山で遊んでいるただの剽軽なイラストになってしまった。
悲壮感がまるでない。
真ん中に置かれた、謎の物体が何を表しているのかもさっぱりわからない。
何かの呪具だろうか。
右の人物が頭にのせている、鏡餅とミカンのようなものも意味不明だ。
登場人物三人が、みなそろいの赤いコスチュームで統一してているところが
「〇〇党」のイメージを表しているのだろう。
先ほど「天狗のお面をつけた人たち」と書いたが、よくよく見ると、顔の部分がどうなっているのかも、よくわからない。
お面……ではなさそうだ。
一番左の人は、スペインだったかの教会のフレスコ画を、ボランティアで修復した絵心のないおばあちゃんの作品のようにも見える。
とにかく、私の希望したものとは、かけ離れたものができたのであった。
2024年8月末。
「雪の蝿帽子峠をゆく天狗党のイラストを描いてください」と二年前と全く同じオーダーでAIに依頼してみた。
一作目がこちら。
めちゃくちゃ、それっぽい。
幕末の志士の感じが漂っている。
無精ひげが、いかにも浪人のそれだ。
にしても、この積雪のなか、あまりに軽装だと思ったので、せめて当時の防寒具をつけてやってはもらえないかと、AIに重ねてオーダーしたら、このような作品ができあがってきた。
菅笠と、足元の藁沓っぽいものが、雪山装備としてはそこそこ良い感じだ。
羽織も一枚増えているし、先ほどよりは寒くなさそうではある。
腰から下げた、替えのわらじっぽいものも、当時の旅の雰囲気を伝えている。
しかし、北陸の雪は湿っぽく、北海道のパウダースノーとはまるで違う。
この服装では、おそらく木綿に溶けた雪がしみこみ、全員凍死確定だろう。
できれば、蓑も着せてあげて欲しかった。
まだまだ足りないところはあるものの、二年前の作品からすると大幅な進歩である。
よい遊び道具ができたものだと思う。
ここから二年後が楽しみだ。