動けば終わる

明後日から、娘とその赤ちゃんの世話に向かう。
めっきり体力に自信がなくなったので、なにより邪魔にならないことだけを、きっちり心がけようと思う。

さて、出立前にやっておかねば、と思っていたことがいくつかあった。
向こうでは、娘夫婦の住まいに泊まらず、ウィークリーマンションにひと月滞在することが決まっている。
となると、自炊用の食器や調理器具がいる。
大したことをするつもりはないが、お茶くらい飲むだろうし。
これから冬が来るので、防寒グッズも必要だ。
慣れた枕でないと眠れないので、枕も送る必要がある。
寝具一式は用意してあると書いてあったが、毛布がその中に含まれているのかどうかもわからない。

そう考えると、荷物が大量になってしまい、まずそれを詰めるための大きな段ボール箱をもらってこなくてはならない。
常用している薬もまとめてもらっておく必要があるし、歯医者の検診もそろそろ行かねばタイムリミットだ。
旅程を自分用にまとめて印刷しておかないと、途中で何度もスマホを開いていたら、たぶん電池も通信容量もオーバーしてしまう。

「えーと、旅行のしおりを作って、ダンボールもらって、荷造りして、歯医者と病院行って、あ、その前に毛布と枕カバー洗って、枕干して……」

普段は1日ひとつしか用事がない暮らしをしているので、膨大な雑用の量を考えただけで嫌になって、ずっと先延ばしにしてしまっていた。
けれども、3日前から気持ちはとても焦っていた。
なのに、頭の中がオーバーフローして、どこから手をつけたらいいのかわからなくなって、しすがにパニクっていたのである。

本日、いよいよお尻に火がついて、朝から手当たり次第に動き出したら、なんのことはない1日で全部終わるような程度のことであった。

考えているだけじゃ、わからない。
やってみないとわからない。
目と指しか動かさない仕事をしていると、日常の作業量がうまく見積もれなくて、

「1.2.3たくさん!」

となってしまい、その「たくさん」を投げ出したくなる。
けれど、実際には、「たくさん」ではないことを怖がっていただけだった。

ビジネス書を読むと「不安要素を考えてる暇があれば、とにかくやってみろ」と書いてある。
それは全くその通りで、ビジネスとは手数がものをいう世界なんだろうと思う。
しかし、それはビジネスに限定した話ではなかった。
日常でも「考えずに動くこと」は、とても大事なことだったのだ。

ほら、今だって、病院の待ち時間に一本書けたし。
考え込んでいたって、物事は動かない。
よおーくわかった。
まず、動け。

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はんだあゆみ
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