杉津・続報(2)海の中も見てきました
今日も杉津に行ってきた。
前回と違うのは、8号線の復旧作業が終わり、交通規制が解かれ、車があふれていたことだ。
対向車線にも多くの車が流れており、海沿いのこの道が幹線道路であることを実感する。
わずか5日で、土砂崩れで寸断されていた道路を復旧させてしまう、日本の土木建設業の底力を見せてもらった気がした。
20220年8月10日に見たもの
比較のために、前回の写真と似たようなショットを並べながら報告していこう。
遠目にも重機が2台、作業しているのがわかる。
「かずや」のおじさんの小屋の前を流れていた泥の川が、埋め戻されて消えている。
砂の色が違うのは、海から掘ってきた砂だからだろうか。
横から見るとこう。川はすっかりなくなり、小屋の前の断崖も消えて、安心して歩けるようになっている。
なぜこんなに早く復旧が進んだのか?
土石流によって運ばれ河口をふさいでいた大岩や生木は、重機によって片づけられ、海までの水路ができている。
6日に杉津を見に行った時、私はこう書いた。
実際、敦賀の市会議員さんの見解も同様で、どうしても緊急度の高いところから復旧が始まるので、杉津に予算がつくのは、あとになるだろうとのことだった。
では、なぜこんなに早く、重機が来てくれたのだろう?
これは、「災害の応急対策」と言われる、「災害対策基本法」に基づく措置らしい。
どういうことか。
今回、大毛谷川(おもけだにかわ)では土石流が発生したにもかかわらず、杉津の人的被害はなかった。家も流されていないし、誰もケガもしていない。不幸中の幸いである。
けれど、この「河口をふさぐ石」をそのままにしておいた場合、さらに雨が降ったり台風が来たりしたとき、杉津集落の安全が守られるとは言い難い。
そこで、河川の氾濫防止、集落への浸水阻止のため、応急対策として重機が岩や生木を撤去しに来てくれたのである。
ただ、この応急対策は、本当に「応急措置」なので、ここまでしかできないらしい。
海に沈んだ大量の土砂をかき出して、砂浜を元に戻すところまでは、守備範囲外なのだそうだ。
だから、この先は手出しできない。
予算がついていないから。
しかし、パワーショベルを操作しているお兄さんたちは、「かずや」のおじさんの、今にも倒れそうな小屋を見てしまったのに、見ないふりはできなかった。
本来、そこまでやらなくてもいいのに、「かずや」のおじさんの小屋の前までは、きっちり砂を盛って危なくないようにしてくれたのだ。
だから、小屋の前が歩けるようになっていたのか。
うーん、お兄さんたち、なんていい人たちなんだ!!
海の中はどうなっていたか?
せっかく来たのだから、海にも当然入る。
おじさんは
「こんな海に入るのか、モノ好きだなあ」
と言っていたけれど、ちがう。調査なのだ、調査。
本当に魚も、ウミウシも、サザエもみんないなくなってしまったのか、ちゃんと確かめないと。
すっかり遠浅になってしまった浜から、ゆっくりと海に入ってみた。
予想通り、大量の土砂が流入し、海藻は砂を被って泥色になっている。視界も1m先が見えないほど悪い。
けれど、魚はいないわけではない、というか、むしろ、濁りがあるので、大きな魚たちが安心して沖から寄ってきている気がする。
素早すぎて写真が撮れなかったが、尺超えのクロダイが、物陰から出てきて私にぶつかりそうになったりした。
山からは、大量の土砂と一緒に有機物も流れ込んでいるのだろう。プランクトンたちは今頃、「大漁だ」と大喜びしているのではないだろうか。
海藻に積もった土を払っていると、緑の陰に何か生き物がいる。
こんな視界の悪い海の中でも、ちゃんとアメフラシたちは生きていた。
嵐の中を、大変だったねえ、よく頑張ったね、と抱きしめたくなる。
(潰れます、やってはダメ)
そして、こんな海なのに、私とは初顔合わせの新顔ウミウシにも出会えてしまった。
ヒカリウミウシ。動画からの切り抜きなので、画質が荒くて申し訳ない。
でも、1㎝にも満たないこの子が、なんだか希望を持ってきてくれたような気がする。
生き物がいなくなったなんて、そんなことはない。
復旧に何年もかかるなんて、そんなことはない。
きっと、大丈夫、きっとうまくいく。
これからのこと
まずは、これをどうするか、だと思う。
山から転がり落ちてきたこの大岩たちは、ダンプで撤去するのかと思っていたら、そうではないらしい。
この先、予算が付いたら、大毛谷川の河川改修工事が始まるのだが、その護岸用に使えそうな岩をここから選別して使うと聞いた。
だから、しばらくは、この殺風景な状態が続くのだろう。
「かずや」のおじさんは、思ったより早く釣りボートのレンタルを再開できそうだと言っていたけれど、肝心のボートは、半分が使い物にならないらしい。
いよいよとなったら、「杉津の貸しボート屋『かずや』さんを救え」というクラウドファンディングだろうか。
近々、嶺南ケーブルネットワークの取材が杉津に入ることになった。
区長さんが、私の知らないことも、教えてくれると思うので、杉津に関心を寄せてくださる方は、そちらをぜひご覧いただけると嬉しい。
放映日がわかったら、また、こちらでお知らせするつもりだ。
**連続投稿192日目**
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