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四択問題

Twitterのタイムラインに、こんな四択が流れてきた。

何を選ぶかで、その人の考え方や、過去に何があったのかがわかりそうだ。
2000件を超える返信がついていたけれど、それを読んでしまうと、何らかの影響を受けそうで自分が揺らぐ。
その前に、自分だったらどれを選ぶかをじっくり考えてみようと思う。

事前に、考えるための前提条件をこう定義しておく。

① 選んでよいのは1錠のみとする。
② 選んだ薬の効力は、赤は残高が無くなるまで有効、それ以外は肉体が消滅するまで有効とする。
③ 選んだ薬以外のパラメーターは、ゼロではなく同世代の平均値が付与されるものとする。

四択から三択へ

(赤:預金残高が50億円になる / 青:亡くなった誰かを健康な状態で生き返らせる / 黄:心身の痛み、辛さを感じなくする / 黒:病気にかからない)

さて、私の場合、1錠しか選べないのであれば、黄色は真っ先に選択肢から外す。
なぜなら、「心身の痛み」という危険信号を感じなくすることで、限界を超えて肉体を酷使して、早死にしそうだからだ。
それに、「心の痛み」が消えると、他人への共感性も低くなりそうで、社会生活を営むのに不利益を被りそうな気がする。
人の世界で生きていくなら、辛くても痛みを感じる心を持っていた方がいいので、これを手放したくない。
よって、黄色はアウト。

私とは逆に、真っ先に黄色の錠剤を選ぶのはどんな人なのかも、ここで考えてみる。
おそらくだが、熟考できる余裕があれば、黄色の薬は最初に選択肢から外す。
それができないということは、考えるための精神力や体力の残量がない状態なのだろう。
そのパラメーターだけが、今、飛びぬけてマイナスになっている場合にのみ、後先考えずに、黄色の錠剤に飛びついてしまうのだ。
つまり、抱えきれないほどの苦しみや、悩み、悲しみ、恐怖で、おかしくなりそうな、または、おかしくなってしまった人が選ぶのが黄色なのだろう。

逆説的に、現在の私は、かなり精神的に安定した良い状態にある、ということがわかる。

三択から二択へ

(赤:預金残高が50億円になる / 青:亡くなった誰かを健康な状態で生き返らせる / 黒:病気にかからない)

次にこの三つから、ひとつを外そう。
欲しいものがあるならば「はいこれ」と選んでみせれば話が早いのだけれど、特にこれ、というものがないので、消去法ですすめる。

今の私なら、亡者を生き返らせる「青の薬」を外すだろうと思う。
早逝した友人は多いが、亡くなった複数の友達の中から、たった一人を選ぶことはできない。
また、亡くなった人の人生は、その人のものであって私のものではない。
他人の私が、運命にあらがって、生死をどうこうしてよいとは思えない。
どんなに生き返ってほしい人がいたとしても、歯を食いしばって青は捨てると思う。

という私の回答からわかるように、私は『自分よりも大切だ』と思うほどの人間を喪くした経験がない。
わが子は2人とも元気だ。
死にたくなるほどの喪失体験をしていない、という意味でも、幸せな人間なのだろう。

二択

(赤:預金残高が50億円になる / 黒:病気にかからない)

ラストは、お金と健康の二択である。
ここで間違えてはいけないのは、お金と「不老不死」の二択ではないということだ。
病気にならないとはいえ、老化で体のあちこちにガタは来るだろうし、老眼や五十肩や認知症を、病気とカウントしてもらえるかどうかも、微妙なところだろう。

となると「年齢なりの健康」と、「現金50億円」との比較になる。
だったら、間違いなく50億円もらえる「赤い薬」を選ぶだろう。

私は、そろそろ還暦を迎えようかという年齢だ。
健康は、身に染みてありがたいが、ここから先、仮に私が大病を患ったとしても、治療をしなければ、それはゆっくりと進行し、老衰へと導いてくれるものなのではないかと思う。
私の理想の死に方は、痛くない老衰死。
50億円あれば、これは、痛みを制御しながら、実現可能なのではないだろうか。
また、もし逆にものすごく痛い死に方が待っていたとしても、お金があれば、それを回避する道も用意されている。

それに、年齢なりの健康があれば、とりあえず死ぬまでやりたいことはできそうだ。
そのために「赤い薬」で資金をゲットしておけば、おそらく、全額使いきる前に死ぬことは可能だろう。

これらの結果から、現時点での暫定解として、私は、「赤い薬」を選択する。

定期的に見直してみると、その時の自分が見えてきそうで面白い。
とりあえず、10年後の選択がどう変わっているか、楽しみだ。

**連続投稿483日目**


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はんだあゆみ
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