紫金山・アトラス彗星を、スマホアプリとスマホスタンドで撮影してきた
2024年10月16日、紫金山・アトラス彗星(以下、アトラス彗星と呼ぶ)を近所の釣り公園に撮影しに行った。
釣り公園は、TOKIOが人気番組「鉄腕DASH」で開拓中のDASH島のほぼ真東に位置している。
うまく行けば、DASH島と彗星が一枚の写真におさめられるかと思ったが、夕方の西の空は雲多め。
期待せずに出掛けてみた。
彗星が地球に再接近してから、すでに3日目。
光害もなく空気の澄んだ山の上でなら、肉眼でも見えるのだろうが、ここは海辺で夜霧も出る。
釣り公園は夜間はライトが付いているので、ますます見えにくいこと必定だ。
おまけに撮影機材はこれだけ。
ハード面は、竹槍でB29に向かう戦時中の市民の如き貧弱さだ。
しかし、私にはソフト面に強い味方がいる。
それは、彗星の位置を教えてくれるアプリ「Comet Book」と、長時間露光を可能にするアプリ「かんたん長時間露光カメラ」だ。
この2つで、撮ったアトラス彗星の写真がこちら。
ちゃんとDASH島も写っている。
しかし、写真にはこれほどはっきり写っているのに、肉眼では彗星を捉えることは、最後までできなかった。
以下は、スマホとスマホスタンドしか持たずに、肉眼で見えない彗星を、どのように見つけて撮影したか、という私の記録である。
手軽にやってみたい人には役に立つかもしれないが、本気でチャレンジしたい方は、いいカメラとレンズと三脚を購入した方が良いだろう。
①彗星情報を入手
「Comet Book」を起動すると、初期画面で自分が見たい彗星の軌道データをダウンロードするようになっている。
アトラス彗星のデータを入手済みならば、「彗星選択」ボタンを押して目的の彗星を選べば良い。(今ダウンロードすると、自動的にアトラス彗星のデータが入ってくるような気がする、おそらく、たぶん)
アトラス彗星は2つあるので、紫金山(ツーチンシャン)がついている方を選ぶ。
画面の右下にある、三つのボタンは、上から「ヘルプ」「時間切り替え」「デバイス追従切り替え」となる。(デバイス追従モードとは、スマホを動かすと、それに合わせてアプリ画面の星空が移動するモードのこと。彗星がいない時でも、普通に「あの星はなんだろう?」と思った時に探すのに便利)
時計のマークをタップして、緑に切り替わると狙った彗星の現在の出現位置がわかる。
再度タップして白に切り替わると、日時を指定して彗星の出現位置を求めることができる。
(画面下の「Time」「Date」スライダーを動かして日時を指定する)
②日没前に出現位置を把握し、スマホスタンドの向きを合わせて立てる
日没から1時間もあれば、おそらく暗くなっているだろうとあたりをつけ、18時40分の出現位置を求めた。
方位260.05°は、iPhoneに付属のコンパスアプリで計測、高度は今回は「金星のちょっと上」と目星をつけた。
金星がいてくれて助かった。
③日没後、「かんたん長時間露光」アプリを設定する
・フォーカスは金星に合わせて、マニュアルでセット。
・事前に試して、ISO400、シャッタースピード6〜8秒くらいでそこそこ綺麗な星空が撮れたので、最初はその設定でセット。
④彗星が見えるのを待つ
日没後もしばらく明るいし、雲が残っていたので、肉眼では何も見えない。
ひたすら、暗くなるのを待ち「Comet Book」を「現在時刻」の「デバイス追従モード」に切り替えて、今どの辺にいるのかをチェック。
⑤ミスの修正
暗くなって雲も消えたので、狙った場所の写真をバシバシ撮る。
しかし、致命的ミスがひとつ。
アトラス彗星は、出現位置が低い。
そのため場所を考えないと、転落防止柵に公園のライトが反射し、長時間露光した時に思い切り写り込んでくる。
仕方ないので柵の外側のわずかなスペースにスマホスタンドを立てて、柵が映らないようにした。
(海にスマホを落とさなくてよかった)
⑥たくさん撮る
あまり期待せずに、金星を撮影しながらアトラス彗星を待つ。
広角で撮った一枚。
手前のグネグネした光は釣りの仕掛けだ。
この時、初めて彗星らしきものが写っていることに気づいた。(わかるかな?)
そこで方角を微調整し、露光時間を変えて再トライすると、今度ははっきり写った。
あとは、ひたすら試行錯誤。
ベストがわからないので、いろいろ試す。
一応、彗星の尻尾まで撮れたのは、これくらい。
iPhone11で、肉眼では見えない彗星を撮影できたので大満足だ。
まだチャンスはあると思うので、試してみたい方はぜひ!