中国雲南省のおもひで その21〜どうしてもジャムセッションがしたかった
こちらは2019年8月〜12月にかけて滞在していた中国雲南省でのおもひでを振り返る記事です。第1回はこちらからどうぞ。
いままでの記事はこちらのマガジンにまとめています。
そういうわけで続き。音楽の話。
2019年11月。雲南での暮らしにも慣れてきたわたしは、そろそろフルートが吹きたいなあ、ていうかジャムセッションがしたいなあ、という思いに満ち溢れておりました。
へっぽこフルート吹きことわたくしは、大学時代のジャズ研でジャムセッションというものを知ってからというもの、セッションへ行くのがとても好きなのです。たとえ知らん店のセッションでも、相手が初対面でも、笛一本持って行けば戦えるんだぜ(よい演奏ができるかどうかはともかく)。そういうとこが好き。
というわけなので、雲南でもジャムセッションができるお店を探すことにしました。
……しかし、探せど探せど、雲南省でジャムセッションを行なっているような店が見つけられません。中国語でジャズ(爵士乐)だの音楽バー(音乐酒吧)だのといったキーワードで検索をかけてもさっぱりだめ。
1903公园(昆明にあるバブリーな商店街的なやつ)とかに行けばイベントで楽器を演奏している人を見かけるので、演奏者がいないわけでもないようなのですが、どうやったらそういう人たちと接点を持てるのかさっぱりわからない。
また、大理古城にはミュージシャンがそこそこいるという噂を聞いていたのですが、ふらっと歩いてみた限りでは弾き語りフォーク系の人たちばっかりで、ちょっとジャムセッションやろうぜという雰囲気はなし。
雲南で親しくしてくださる日本人や日本語学習者にセッションしてそうな場所について尋ねても、あまり詳しい情報は得られず。
わたしはかなり困り果てておりました。どうやったら雲南の奏者コミュニティと繋がれるのか、どうやったらこの地でジャムセッションできるのか……。
散々苦戦したセッションバー探しですが、中国語で検索をかけるのをやめ、ダメ元で英語での検索に切り替えてみると、あっさりと見つかりました。
ふむ、「The Turtle Bar」というところなら、どうやらジャムセッションをやってるらしい。
さらに調べていくと、このバーでのイベントスケジュールが掲載されているページを見つけることができました。
ふむふむ、毎週火曜日にジャムセッションとオープンマイクをやっている、と。
しかしイベント開始時刻は夜の10時。わたしはチャイ語力がそんなに高くないので、中国で1人で行動するのが怖かったのですけれど……平日のこの遅い時間に、昼間普通に働いている夫を連れ回すのもちょっと難しい。
一応夫に、「どうしたもんかねえ」と相談してみたところ、「1人で行っといで」というお答えを頂きました。アッハイそうですよね、わかる。
斯くして、「ドッキドキ☆知らないバーに1人で突撃ツアー〜言葉は通じないよ〜」を開催することと相成ったのでした。
1人で凸るのは心細すぎるので、とりあえずわたしはTwitterに心の安寧を求めることにしました。当時なんとなく読み流してくれたヒョロワーさんたちありがとう。
逆向きのバスに乗っちゃったりしつつ、なんとかお店へ。
……思った以上に立派なバーでした。お客さんには中国人だけでなく、欧米系の方々や、シンガポールの方も多く、なんだかこの場だけで多国籍間の国際交流ができちゃいそうな雰囲気。ディープである。
身振り手振りでどうにかこうにか、ビールの注文に成功。めちゃめちゃ美味いんだこれがまた。
このビールは、「香格里拉啤酒」という雲南省のクラフトビール。雲南省にはチベット系の民族が多く暮らす秘境「香格里拉(シャングリラ)」がありまして、そこで作られているものなのだそうです。
こちらは香格里拉啤酒公式サイト。個人的には「Son Gha」てのがお気に入りです。
ビールをちびりちびりとやりながらしばらく待つと、ステージで演奏が始まりました。イケイケの欧米系の姉ちゃん(名探偵コナンに出てくるジョディ先生似)がパワフルに歌い始めてかっこいーい。
それから、いろんな人が入れ替わり立ち替わり演奏をし始めます。ジャンルはメタルやらロックやらブルースやら、さまざま。さーてわたしはどうやってこれに混じりゃあいいんだあ?????
よくわからないまま、酒ばかりが消費されていきます。
いくつかの演奏のあと、欧米系の男性たちがステージに上がりました。すると、なにやら聞き覚えのありすぎるイントロが始まります。
チキンだーーーーーーーーーーーッ!?!?!?!?!?!?!?
学生の頃に、ジャズ研で散々吹いた楽曲でございます。文化祭でも演奏したなあ、懐かしい。
いやここで凸らなかったらミュージシャンとしてだめだろ、という気がしました。知ってる曲はもう来ないかもしれんし。というわけで、酒の勢いに任せてフルートを引っ掴み、勝手にステージに上がって笛を吹き散らかしてみました。
驚かれはしたけど嫌がられはしなかった。むしろウェルカムな感じで迎えていただけました。よかったよかった。
さんざん笛を吹き散らかしたあと、わたし日本人やで日本から来たやでと自己紹介したところ、「これお前んとこの酒っしょ、あげるわ」みたいな感じで店員さんがグラキリをくれました。優しー!
その後は歌ものバンドに混ぜていただいたり、ラッパーの後ろで適当に吹かせてもらったり、いろいろ。もーね、こんなジャンルレスなセッションはじめてやりました。でもブルースのコード進行覚えてればなんとかなるシーンは多かった。ブルースは大事だ。
ひととおり吹き散らかし、セッションの時間が終わったあと、ジョディ先生似のボーカルの女性が声をかけてくれました。
「あなたの演奏よかったわ!ところでわたしたち明後日ライブなんだけど、出演してくれない?リハは明日なんだけど(要約)」
ファッ!?!?!!!????
まあでもね、こういう無茶振りにはね、乗っといたほうが楽しいんですよね。というわけで、セッション行ったら2日後にライブ出演することになりました。やったね!
さてライブはどうなったのやら。っていう話は次回にー。
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