起業したばかりの若手起業家に知っておいてほしい、日銭を稼ぐことの重要性
新たなウェブサービスを作って、ドカンと数百億を稼ぐ!
そんな意気込みで起業したものの、実際こなしているのは起業前の延長線上のことばかり。日銭を稼ぐのにあくせくしている。これでいいのだろうか…?
創業したばかりだと、このような不安があるかもしれません。
もしかしたら、今の生活はこんな様子ではないでしょうか。
え、ここまでではない?
すみません、これは我が社の20年前の様子でした。
↓↓こちらの写真は毎年5月24日の創業記念に役員が聖地(創業の場)巡礼している時の様子。20年経った今も大事にしている場所です
そんなことはさておき。
先日BrandingEngineerの河端社長が素晴らしいTweetをしていたのでそれに触発されて、今回は、今でこそ300億円企業となったクルーズのウラ話を交えつつ、"日銭を稼ぐことの重要性”について語ります。
■へこたれない強さの源泉
2001年、「これからはモバイルインターネットの時代が来る!」と市場の流れを感じ、クルーズの歴史は始まった。
いちばん最初にやったことはなにか?
ホームページ制作や携帯(ガラケー)のコンテンツ制作など、受託開発を引き受けることでした。
やりたいことはもちろんあった。
でも、人も物もお金も足りなかった。
それで、冒頭のような生活を送りながら、それしかできることがないからという理由で受託の仕事を山のようにこなし、キャッシュを回していたのです。
創業メンバーにエンジニアは1人しかいませんでしたが、他に雇うお金もないので、小渕社長自ら学びみんなで営業してみんなで開発して・・・。おかげで今も社長はエンジニアとスムーズに会話できます。
「これほんとに開発できんのか?」なんて内心では思いつつ「お任せください!」と請け負うことさえあったそうです。もちろん大苦戦。しかし、すべてなんとかしてきました。
「やれない」ではなく「どうしたらやれるか」をまず徹底的に考える癖はあの時以来クルーズに根付いているもの。
今も、特に社長や役員はちょっとやそっとの失敗にはへこたれません。
■チャンスはパチンコ屋が運んできた
さてさて、へこたれず、なんとか日銭を稼ぎながら1年が過ぎた頃。
この頃には、さまざまな知見や後々にもお世話になる方々との出会いが蓄積。チャンスを物にする準備が整っていました。
そこへ最初の大きなビジネスチャンスがやってきます。
某大手パチンコパチスロメーカーのモバイルコンテンツ受託開発事業を引き受けることになったのです。
おかげで、その後しばらくの資金の安定が確保され、新たなジャンルにチャレンジする足場が整いました。
IT業界に特化した人材ビジネス、モバイル公式コンテンツプロバイダー事業、検索エンジンにブログなど、新規事業を次々に開始。
10年後には、そのきっかけとなったパチンコパチスロメーカーとの仕事で知った版権ビジネスのノウハウを生かし、ソーシャルゲーム市場に見事に参入。頭角を現します。(下は2011年の記事)。ここでも設立当時愚直に受託ビジネスをやっていた甲斐が現れたのです。
■「いただきます」と言え!
時代はぐっと今に近づき、売上も100億200億規模に。
クルーズの役員はホテルで合宿(泊まりでひたすら会議)をすることもできるようになりました。社員も増え、できるところはどんどん仕組み化。知識集約型の仕事に集中できるようになったのです。
そんな頃のとある役員合宿。ランチタイムのこと。
2,000円のラーメンを目の前に、緊張から「いただきます」を言い忘れた役員が社長に激怒されました。その役員とは、僕です。怖かった…。
なぜ社長はそこまで猛烈に怒ったのか?
その時の社長の言葉に凝縮されています。
苦労した時代を知っているからこそ、お金のありがたみ、現場で働く大変さを身にしみてわかっている。だからこそのこの言葉でしょう。
■まとめと補足:安定して日銭を稼いだら仕組み化へ
ここまで、エピソード交じりに日銭を稼ぐことの重要性について語ってきました。補足しながら内容をまとめてみます。
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創業当初は、まずとにかく日銭を稼ぐこと。キャッシュが回らなくなったらビジネスは試合終了です。
安定して日銭を稼げるようになる過程で、クルーズは以下のようなことを獲得してきました。
日銭を稼ぐのは大事。だけれど、いつまでも自分で受託をこなすなら、就職するのとあまり変わらない。
ある程度安定して日銭を稼げるようになったら、以下の2点を抑えて、日銭を仕組みで稼げるようにすること。
これで、長いスパンで考え、手を打つ準備が整う。大きなチャンスが来たときに、待ってましたとばかりに捕まえに行くことができるようになります。
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■最後に
創業当初、やれることは全部やるくらいの気持ちでがむしゃらに、泥くさくやってきたことは今もクルーズを前へ進ませる力になっています。
だからといって、今の若い起業家の方々に「死ぬ気でやれ!」みたいな根性論を押し付ける気はありません。
昨今はさまざまなベンチャーキャピタル(クルーズも投資している)も登場し、資金を集めやすくなっています。
そういったものを上手く活用するのも、やれることをやるということの一つ。
うちの社長は、よく「バッターボックスに立ち続けろ」と言います。
バントでも、ファールでもいい。とにかく使えるものはすべて使って、キャッシュを回し、打席に立ち続けること。
そうすれば、いつかチャンスボールがやってくる。
経営は一発勝負ではありません。大事なのは継続。安定収入を仕組みで回し、いざという時、ここぞという勝機が来たら思いっきりホームランを狙いましょう!