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【今冬創刊】VTuberを続ぐ、民俗学で継ぐ。バーチャル文化普及史『Hukyu』 序文公開!【書店員VTuber諸星めぐる】
日々広がり続ける「ヴァーチャル」の世界を中心に様々な世界で活動する人がいます。VTuberもまた、その大きな文化の中のひとつ。
そんな変化し続けるVTuber文化を、民俗学の視点でとらえたそれぞれの答えと可能性を収集・分析した『雑誌Hukyu』は今冬創刊予定です。
自身もまたVTuberである編集長、諸星めぐるによる『雑誌Hukyu』の序文を全文公開します。
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はじめに
21世紀以降、私たちを取り巻く文化は想像以上に急激に変化し続けている。
かの民俗学の父・柳田國男が闊歩した平地の都会や農村は、鉄の車が様々な燃料を元に動き回り、道行く人々は異世界につながる四角い窓を持ち歩いている。そしてかつての農耕文化の営みが都市民俗に変わっていったように、インターネット上でも様々な民俗がリアルタイムに生まれ、増殖し、呼吸している。
民俗学とは、伝統的民俗文化の回帰という、過去とのノスタルジックな伝言ゲームを知り極める学問の眼差しである。しかし、それだけが目的ではないと私は考えている。語り継ぐことの先には、現代の日本人のごくあたり前な日常生活や考え方が存在するのである。
VTuber文化とは、日々広がり続ける「ヴァーチャル」の世界を中心に様々な世界で活動する人を中心として、近年では地上波放送にも出演するVTuberの方が登場するようになった、比較的新しい文化である。
本誌『Hukyu』は、今を生きる私たちの社会生活や未来に対し、学術的な成果物や結論よりも、継続して今後も様々な学術の視点と文化の学際的な普及史を取り上げていきたいため、ありのままを多角的に識る民俗学(及び考現学)の視点で一つの楔を用意する雑誌としての位置づけを目指している。
編集にあたっては、民俗学に興味のある方やVTuberに関心のある方に相互的な知識と関心を持っていただくことを目指し、可能な限り平易に記述することに努めている。
また全体の構成は、まず、1章ではヴァーチャル文化の民俗学のあり方を民俗学教授・Youtuber・VTuberの視点で深めた。2章では、ヴァーチャルな世界でのフィールドワークとして、【当事者】のとらえた「民俗的事実」に目を向けている。続く3章からは、そしてより多角的に【運営】【ファン】【切り抜き師】【ママ絵師】【研究者】【批評家】などのVTuberに対する相互的な作用を鑑みた民俗学の視点を取り入れ、それぞれの人のとらえたVTuberに対する表面的部分から、ありのままのひとつの今の捉え方を知り、いつかの誰かの役に立つ見方を「みつける」一つの手立てを用意した。
より深く知りたい場合は、巻末の「VTuber俗信用語集」を利用していただきたい。
この雑誌には、取材させていただいた方々はもちろん、これまでのVTuber文化にかかわってきたファンの皆様、編集に携わっていただいたすべての方々がいてこそ形を成しえたものである。ここに感謝の意を表したい。
また、本誌はありのままの今を「つなぎ」留め置くが、その後の変化や今ある他の見方を否定することはしない。掲載されるすべての人々の視点は導き出された「答え」であり、それぞれの「可能性」でもある。
ありのままのひとつの今の捉え方を知り、いつかの誰かの役に立つ見方を「みつける」一つの手立てとしてこの雑誌が、手に取った読者のヴァーチャル民俗文化を探訪する良き相棒となり、残っていけば幸いである。
2024年12月 GAMABOOKS書店員VTuber 諸星めぐる
(諸星めぐる『Hukyu』序文 了)
※現時点での内容になります。刊行時に内容を変更する可能性もあります。
諸星めぐる
SNS上に実際に存在し、新刊・古書を取り扱うGAMABOOKSの書店員VTuber文化。
好きなものは民俗学・考現学・落語など。
普段の配信では身近な「あたりまえ」を紐解く民俗学の解説配信を中心にYoutubeを中心に活動中。
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