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「ありがとう」に時間をかける

久しぶりに夜、お店が休みで時間があったので、彼と2人で「外食でもしようか」という話になった。

普段は夜にお店をやっていて、そんな時間がなかなかとれない私たちなので、せっかくだから、とわたしはずっと田端で気になっていたビストロに行きたいと申し出ようと、スマホで場所を確認しようとした。すると、

「あ、そういえば、この前うちの店に”〇〇(店の名前)で紹介してもらったので来ました”って人がいたんだ。お礼を言いに、今日はそこに行こう」

と言われた。

その〇〇というお店は、これまでに何度も行ったことがある、彼にとってもとてもなじみの深いお店だった。わたしも何回も連れて行ってもらったことがある。「せっかくの久しぶりの外食だから、いつもと違う場所に行きたかったな…」と少し残念に思うと同時に、「すごいなあ」と感心してしまった。

「次にそのお店に行ったときにお礼を言えばいいや」ではなく、「お礼を言うために、そのお店に行く」という行為をサラッとできてしまうことに、頭が下がる思いがしたのだ。

案の定、その店の女将さんは「そんなことを言うために、いいのに。わざわざありがとう」と、とってもうれしそうに、優しく微笑んでくれた。

思えばお店を始めた時、通り道でもないのに、真っ先に来てくれた前職の仲間たちがいた。

まったく別のイベントで数回顔を合わせただけの方が、「飲み会前に一杯だけ」と、一人でわざわざ来てくださったこともあった。

「独立のお祝いに」と、年末におしゃれな地ビールのセットを送ってくれた友人もいた。

手紙やメール(いまはLINEやMessengerかな)もそうだし、プレゼントもそう。誰かが主催でイベントを開いたら、お金を払って参加したり、誰かが店を開いたら、顔を出すこともそう。

「ありがとう」だけでなく、「がんばって」「応援しているよ」という、相手がいてこそ成り立つ気持ち。その気持ちを伝えることにはいろんな手法があるけれど、「相手が自分のために、貴重な時間を割いてくれた」ということがなによりの「ありがとう」なのだと、改めて思う。そこにはあまり、お金の多寡は関係ない。

そういう「ありがとう」を何気なくできる人になりたいし、できればそういう「ありがとう」の裏側にある”時間”をわかる人になりたい。

▼田端のBAR「タバタバー」をやってます。


ホステルやゲストハウスなどの「地域コミュニティ」を創っている方々に会いに行って、勉強させてもらい、タバタバーに持ち帰ります!