ドイツ漫遊記23~メルセデス・ベンツ博物館で気が狂う~
いざ、メルセデス・ベンツ博物館へ
私の知り合いでベンツ乗りがいるのだが、やたらと彼は「ベンツはEクラスが最強」と言ってきて、ベンツの良さを私に語ってくるのである。
あんまりにも語ってくるものだから、「じゃあ本場の博物館に行ったことがあるのか」と尋ねると、「無い」というので、これは勝てると思い「じゃあ、僕はベンツ博物館に行くから、君よりベンツが好きだ」と謎のマウントを取って、メルセデス・ベンツ館に向かった。
しかしながら、私はベンツが好きというわけではない。昔から「車なんて乗れれば良いっしょ」と思っている人間である。車にはデザイン性は求めておらず、必要十分な機能性を有していれば十分だと考えている。
そんな人間であるにも関わらず、なぜか大型バイクの免許を取得している。特に乗る予定があるわけでもないのに、暇だから取得してしまった。いつかトライアンフかインディアンに乗りたいとは思っている。
さて、それくらい乗り物に関しては興味関心が薄いから、メルセデス・ベンツ博物館に対しても、大きな期待を抱いていなかった。
ひっくり返される価値観
ストームトルーパーの顔みたいな建物がメルセデス・ベンツ博物館である。エンブレムのような三角形の建物ではなく残念だったが、これで8階建てという大きさである。全てのフロアを丸々メルセデス・ベンツの歴史に費やしているのだから、お金持ちの資金力のすさまじさに驚く。しかも入場料で14€支払わなければいけないのだから、いい商売であると言えるだろう。
建物内に入ると、無料の音声ガイド(日本語も可能)を貰い、近未来的なエレベーターに乗って八階へ。
ここからのメルセデス・ベンツの歴史については、実際に目で確かめてほしいと思うのだが、人々の移動手段が馬や自転車であった時代から、ベンツやダイムラーが四苦八苦しながら車を生み出し、第二次世界大戦など凄まじい環境下であっても負けずにビジネスを続けてきたことに感動した。
展示された品々の数々と、壁に切り取られたその時代の大きな事件。過去から現代、そして未来へと受け継がれていくメルセデス・ベンツの歴史を目と耳で実際に体感した。
今や歴史についてならばChatGPTでも答えてくれるだろう。それでも、単なる知識と経験によって身に付いた知識とでは、私は異なるように思うのである。実際にメルセデス・ベンツが生み出してきた車たち、そのデザイン性や高級感、迫力には凄まじいものがあった。
動く芸術と言っても過言ではない。こんな美しい車に乗って移動できたら、さぞカッコイイだろうなと思わせる美しさがそこにはあった。
現に公人たちも買い求めるような高級感、威厳、そこには単なる車という枠組みをはみ出した、純然たる品位の結晶としての車が存在していたのである。
「こんな車に乗ってみたい」
そう思わせる力が、そこにはあったのだ。
車の外観もさることながら、内装も実に美しいのである。「乗れればなんでもいい」と思っていた私の価値観をガラリと変える革新的なデザインによって生み出された車の数々。私はまだメルセデス・ベンツを所有したことはないが、一度は乗ってみたいと思わせられた。
喉から手が出るほど欲しいというわけではないが、叶うなら一度でいいから乗ってみたい。そんな美しい車が展示されているのである。
意外と香水も良い
メルセデス・ベンツの展示を見終えて、お土産ショップに行くとメルセデス・ベンツが作った香水が展示されていた。「どうせ車の会社だろ」と侮って香水を試してみると、想像していたよりも良い香りで「うわ、これ欲しいな」と思わされた。日本に帰ったら早速アマゾンで注文したいと思っている。
シュトゥットガルト新宮殿へ
早朝のメルセデス・ベンツ博物館鑑賞で、すっかり気持ちは富裕層。バスに乗って優雅に「我が家でも見に行くか」というような気分で、シュトゥットガルト新宮殿へ向かった。
あいにくの曇りであったが、どこかで見たような景色だなと思いながら宮殿周りを鑑賞した。
ぼんやりと街を歩きながら、近くのショッピングセンターでサラダとピザを買ってランチを食べた。子供連れが多く、土曜日ということもあって非常に賑わっていた。
十分に宮殿周りを見たので、一度ホテルに戻ってゆったりとし、夜はジャズクラブでBRTHRというバンドの演奏を見ることにした。
BIX Jazz Clubへ
ちょっとわかりづらい場所にあるジャズクラブだった。少しだけ治安が悪く、ボブ・マーリーの劣化版みたいな人がロックされた車の扉を開けようとして、警告音が鳴ったことに驚き「ちぇー」みたいな顔してこちらを見たので、こちらも「あらまぁ」みたいな表情で返した。
BIXジャズクラブは、広めのジャズクラブでテーブル席は満員。立見席もライブが始まるころにはいっぱいになった。私はRadlerという甘いビールを飲みながら、BRTHRのライブ演奏を楽しんだ。
タイトなリズムと、柔らかいボーカルの声。細マッチョな感じのバンドサウンドが心地良かった。ジャズクラブで聴くには十分で、休日にリラックスしながら聴くのに適している音楽だと思った。聞き心地が良く、恐らくはリーダーであろうどぶろっくの江口さんのようなボーカルが、頻繁にチューニングしながら演奏をしていた。観客は年配のドイツ人客が多いのか英語の歌詞はあまり理解していない様子だった。それでも、心地よいリズムとメロディに拍手があがった。
あっという間に一時間が過ぎ、ジャズクラブを後にしてホテルへと帰った。
今までは一週間ごとに移動をしていたが、シュトゥットガルトは五日間の滞在であるため、行きたい場所をバチっと決めて楽しんでいる。天気もどうやらそれほど良くないため、博物館や城巡りが中心になりそうだ。
シュトゥットガルトの都会感を楽しみながら、まったりと過ごしている。
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