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パターソン 毎日普通の朝が来る幸せ
1週間の出来事を淡々と描く
2016年公開。ジム・ジャームッシュ監督。
米ニュージャージー州パターソンに住むパターソン氏の何か起こりそうで、何も起こらない1週間を淡々と描く作品。
しかし、日常の中に不思議なエッセンスが散りばめられており、ある意味ドラマチックですらある。
個人的には村上春樹の小説を想起したが、現代アメリカ小説的といった方がいいかもしれない。
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パターソンは退役軍人でバスの運転手
パターソン(アダム・ドライバー)は退役軍人。(ベッドで眠るサイドボードに軍人の頃のポートレートがある。これは重要だと思うので見逃さないでほしい)
バスの運転手をしながら、趣味で詩を書いている。
妻はアーティスティックでモノトーンが好き。家の中を何でもモノトーンにリフォームしている。
パターソンは妻のローラ(ゴルシフテ・ファラハニ)と趣味も合わないが、そのことは本人には言わないでいる。たぶん犬も好きではない。しかし妻との平和な生活に満足しているようだ。
パターソン、妻、犬の3角関係もコミカルで面白い。犬は後半パターソンの根幹に関わる重要ないたずらをする。
思わせぶりなシーンの連続
ドラマチックに展開するのか、と一瞬思わせるシーンがバーで起こるのだが、ここでのパターソンは退役軍人らしさを発揮する。
このシーンもそうなのだが、バスを走らせている時のサスペンスタッチのBGMといい、妻が一人で車で出かけるシーン(この後事故を起こしたりするのがよくあるパターン)、やたらと出てくる双子など、この映画は思わせぶりなシーンの連続。
何かが起こりそうで起こらない緊張感が全体に流れているのだ。
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結局のところ、何も重大なことが起こらずに幸せな朝を迎える事。
その事が、戦争を経験したパターソンにとって最も重要な事なのである。
ジム・ジャームッシュ円熟の1本と言えるのではないか。