ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド タランティーノのハリウッド愛
この映画の背景には当時ハリウッドの新進女優であったシャロン・テートがヒッピー・カルト集団、マンソン・ファミリーに殺害された、シャロン・テート殺害事件がある。
私はその事実だけ知って、この映画を見たので、いつものタランティーノ映画を想像し、はらはらドキドキ。
ただ、今回の作品はいつものタランティーノのバイオレンス、グロは抑えている。その分、タランティーノファンには物足りなさを感じるかもしれない。
でも、哀愁漂う、ハリウッド愛にあふれるこの作品もいい!。
今までタランティーノは自分の大好きな映画のジャンルである、ギャング映画、チャンバラ、戦争映画、西部劇などをベースにタランティーノ流の解釈で作品を作ってきたが、今回はそれらを作る舞台裏を描くバックステージ物。しかも今回は事実も織り交ぜている。
自ら10作で監督引退をほのめかしている9作目なのでまとめに入ってきているのか・・
事実というのは当時ハリウッドを震撼させた女優シャロン・テート殺害事件とヒッピーを束ね、カルト集団化していたマンソン・ファミリーの存在。
主人公は落ち目の俳優リック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)とそのスタントマン、クリフ・ブース(ブラッド・ピット)。この2人はフィクション。
リックは映画監督であるロマン・ポランスキーとシャロン・テートの自宅の隣に住んでいる。(事実の隣にフィクションがある・・これはこの映画の構造としてはポイントかもしれない)
タランティーノは女優=映画を殺したカルト集団対フィクションの俳優=映画の闘いを描いたのかもしれない。
この構図を理解するには日本人にはなじみの無いこの事件とカルト集団について予習しておく事をお勧めする(ネットで調べてください)
そして実話部分であるシャロン・テートとマンソン・ファミリーはどうなるのか。
フィクションである落ち目の俳優リック・ダルトンとクリフ・ブースはどうなるのか。
タランティーノはこの映画の賛否を分ける一つの回答を用意している。