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ロングデイズ・ジャーニーこの世の涯てへ 深く美しい心の闇への旅

物語からの解放

久しぶりに物語から解放された映画を見た。
ゴダールやルイマルのヌーヴェルヴァーグに近い印象。
中国の新進気鋭の監督、ビー・ガンの長編第二作。

ルオ・ホンウ(ホアン・ジエ)は、父親の死をきっかけに12年ぶりに故郷の凱里に戻る


物語の起承転結を追おうとすると訳が分からなくなってしまう。時間からも空間からも解放された映画。映画ならではのマジックを体験するといってもいい。
だからストーリーについては触れない。

映画途中から3Dになるというのも前代未聞。どういう合図で3D眼鏡を掛けたらいいのかなと思っていたら、冒頭に主人公が眼鏡を掛けたら3D眼鏡をかけてください、とテロップが出る。おしゃれ過ぎるではないか!

2Dから3Dへ映画が転換する


美しい映像で過去の記憶をたどる前半の2Dの部分が1部、3Dになってからが2部というくらい映画がガラッと変わる。
後半の3D部分はワンカット(風)で描かれ心の闇深く主人公と旅をすることになる。ドルビーアトモスの立体音響とともに立体的に描かれる映像がより幻想的。


謎の女ワン・チーウェンをタン・ウェイが演じている


リフトに乗り、闇の奥底にある街に降りていくシーンはワクワクしてしまう。
夢か現実なのか考えることは意味がない。
ただ、目の前の映像を受け入れるのがいい。
郷愁誘う夜の街を彷徨う感覚が何と気持ちいいこと。
音の使い方も印象的。

音が印象的


水の滴り落ちる音、中島みゆきの「アザミ嬢のララバイ」、カラオケを歌う音、ゲーム機の音、ビリヤードの球をつく音、どの音も心地よく印象的。
最後、カメラが天地逆転するが、夢から現実に戻るという事なのか、より夢の奥底にはまり込むのか。
こうなれば、もう、身も心も委ねてどっぷりとはまり込んでいたくなる。

次世代を担う監督の登場に嬉しくなる。
2D版もあるが映画のコンセプトを体感するためにも3D版を見るべき!



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