【雑記】Brian Jonesの神秘
僕にとっては、キースよりも、ミックよりも、
Brian Jonesが輝いて見える。
ゴールド・トップのレスポールを、誰よりも紳士に扱う。
金髪にパープルのベロアジャケットなのに、派手な印象ではなくまとまったコーディネートで、英国紳士の佇まいを強く感じる。
とても、優雅だと思う。
Rockn' Roll Circusはお気に入りの映像作品で、大好きなEric ClaptonがDirty Macという企画バンドで参加していたり、The Whoが出演していたりとお気に入りポイントが多いのだけれど、何よりもBrian Jonesが出演している数少ない映像作品である点、リリースされたことに強く感謝したい。
Brian Jonesというギタリストを知ったのは、中学生の時に図書館で借りた「ハミングバードの頃」という山川健一さんが書かれた本に付属でついていたCDから。
Rolling Stonesの
という楽曲が収められていた。
この曲のスライドギターを、Brian JonesはナチュラルトップのGibson Hummingbirdでプレイしている、と本に書かれていた。
小学生のころから合唱団で教会音楽を歌っていた僕にとってのいい音楽の基準は、
「整った・ピッチのズレていない・きちんとした」音楽
だったのだが、それがこのスライドプレイを聴いたことにより、徐々に崩壊していく。
ピッチが合いきるかどうかギリギリのプレイ。ところどころ突っ込み気味に入るリズムアプローチ。
しかし、それに対し僕は、何とも言い難い心地よさを感じていた。
同時に、美しいアコースティックギターのプレイの基準は、僕にとってはこの曲のイントロにすり替わっていった。
ボトルネックがやや使用感のある弦に擦れて響く、キーンとした独特の残響音。
傾けすぎているのか、フレットの縁にボトルネックが当たるカチカチとした音。
中学二年生の当時はボトルネック奏法なんてものも知らなかったし、どうやって演奏しているのかもわからなかったが、その演奏の意図とは異なる環境音に、ブライアンという人の人物像への想像や妄想が尽きなかった。
本の記述で、Brianは27歳で亡くなったという情報を得た。
後に「悪魔のクラブ」と呼ばれる奇妙な偶然を知ることとなるが、中学生の僕にとって27歳という「若さ」の重みを知るには、まだ早かった。
同じ音楽を演奏するについても、キースやミックのスタンスとブライアンのそれは全く違って見えた。
ブライアンのパフォーマンスの裏に、強い悲しみとそれでもなお音楽に対して誠実であろうとする姿勢が見えるような気がするのは、私の考えすぎだろうか。
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