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数日で作るスニーカーの教室、始めます
2月より「数日で作るスニーカーの教室」を実施します。
約12時間かけて完成する、自作レザースニーカーの教室。
ご自身が履きたいレザーの組み合わせで、世界で一つのスニーカーを作るお手伝いができればと思っています。
価格やご予約の方法は以下よりご確認ください。
以下、本コースを実施するきっかけとなったストーリーをご紹介します。
お時間ございましたら、ご一読ください。
1. 刺し子したスニーカーを作る教室?
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「サシコギャルズって知ってます?」と、じっくりコースで靴作りをするI氏が僕に聞いた。
「知らない、なんなんそれ。」とぼく。
なんでもI氏曰く、どこかの県のおばさまたちが集まって、靴などに刺し子をして販売をしているらしく、彼も靴に刺し子をしてみたくなったのだそう。で、どんな靴に刺し子がしてみたいのかと聞いてみると、どうも BUILD の n5. sneakers(以下 n5. ) だという。
さてどうしたものかとぼくは考えた。
そして同時に、とうとう来たかとも思った。
実をいうと少し前から n5. を「数日で作れるコース」のラインナップに入れようかどうか迷っていたのだった。このことに関して、随分悩みながら結論が出ず、いまだにラインナップに入れられていないのは、難易度の問題があったからで、n5. の型紙はあるし、作ろうと思えば作れるのだけれど、縫製やソールの作業がいささか難しく、経験の浅い生徒たちが完成に至るまでに、どれほどの時間がかかるのかが、想像できずにいたからだった。
それからぼくは、暫くその場で考えた。
心の声を溢さないように、そろりと両手を携えた。
そして、えいやと声に出した。
「挑戦してみよか。」
この言葉の真意はきっとこうだ。
教室に10年ほど通っているI氏のことだから、少々時間をかけてでもうまくやり切るだろうと思ったし、I氏のレベルでどれほどの時間がかかるかを、僕はみてみたくなった。そして何より、挑戦したい気持ちにワクワクしているI氏の思いに応えたかった。
底冷えのする古い工房の冬。
ストーブにかけられた薬罐から沸き立つ湯気は、冷たい空気を揺らしていた。
2.イタリアンレザーでスニーカーを作る教室?
![](https://assets.st-note.com/img/1738471786-gR1elfHtaYDQO63TBxFzJXAq.jpg?width=1200)
ときを同じくして「数日コース」を受講しに来た女性がひとり。20代のその女性(以下K氏)は革の工房で働いたことがあり、自身でもオリジナルのバッグを製作しているらしかった。当日はイタリアンレザーを持参していて、K氏は自作のバッグとお揃いの革でシューズを作るのが目標だと語った。
その自作の小ぶりなショルダーバッグは、素材感を活かしたデザインで、技術的にも申し分ないものだったし、慎ましくも個性的なその佇まいに、存在の意味を感じずにはいられなかった。
ぼくは持ち込まれたイタリアンレザーと、K氏が作ったバッグを見て、「数日コース」で作れるそれぞれのシューズを足元に想像してみた。それらはどれも、それなりにフィットするものだったが、何かが少し違うような気がした。例えばそれは、長い休みあけに座る職場の椅子のような、ほんの少しちぐはぐな感覚があった。
そのようなことから、ぼくは徐ろに例のアレ( n5. )をとり、「ちょっとイレギュラーになるけれど、これを作ってみてはどうか」と提案することになり、K氏はそれを選んでくれた。
持ち込んだ革と n5. との相性も良さそうだった。それに技術的にも、ある程度経験値のあるK氏なら、限られた時間で作れると想像したし、実際しっかり12時間で完成まで漕ぎ着けることができたのだから、流石だ。クオリティーも最初の1足とは思えない出来で、教えているこちらの方が嬉しくなってしまった(やりましたね!)。
3.数日で作るスニーカーの教室、始めます。
![](https://assets.st-note.com/img/1738471984-wI26QgTBSE7fYGV9vteRaxdF.jpg?width=1200)
ときにその場の思いつきで、コトは思いもよらない場所へ舵を切ることがある。そのとき心は、何が起こるとも知れぬ不安を抱えつつ、同じくらいの高揚感を持ってそれを迎え入れる。2025年1月、立て続けに起こった二つの出来事は、工房に新しい風を吹き込むこととなった。
そう。
数日で作るスニーカーの教室、始めます。
n5. を作るのは、同コースの他のシューズを作るよりかは、難易度が少々高いのだけれど、それでも先の二人を指導しながら、なんとなく、どの工程においてどれだけ手を添えられれば、クオリティーを担保できるのかがわかってきたし、時間配分に関しても、12時間程度で完成まで漕ぎ着けれそうな算段がついてきた。
もちろん(これは、どのシューズを作る時にも言えることなのだけれど)、全ての工程が完璧に進んでいくわけもなく、イレギュラーな出来事は多々出てくるわけで、それはそれで、お互いに頭を使いながらポジティブにクリアしていければいいなと思っている。
少し歪んだミシン・ステッチが所々にあったり。
吊り込んだときのシワが残っていたり。
それはそれで、何年か経ったときに、作った時を思い出し、愛おしくなったり。もしかしてそれこそが、大切な証になっていたりすると、とても嬉しい。
「自信ないけど作りたいな。」と、そんな方も遠慮なく、是非ご参加ください。ちゃんと履ける靴を提供できるよう、ぼくも精一杯手を添えますので(笑)。
“靴を作ったことのある私” は、 “靴をつくりたい私” より、きっときらきらしているはずです。
「創る と 作る」を楽しみましょう。
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