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「少女マクベス」を読んで

「少女マクベス」(降田 天)を読んだ。面白かった。演劇を専門に学ぶ学校を舞台とした少女たちの物語で、ミステリーなのだが単に犯人捜しが繰り広げられるのではなく、犯人捜しを縦糸にして若い彼女たちの物語が綴られていく。

実は、マクベスだのシェークスピアだの演劇についてはあまり興味がないので期待しないで読み始めたのだが、すぐ引き込まれた。マクベスや演劇について知ってる方がより深く楽しめるのだろうが、知らなくても何の問題もない。かえって、主題になっているマクベスを読んでみたくなった。

時々あるように、この本も本文に入る前に主な登場人物の一覧が載っている。たいがいこの一覧が載っている時は、登場人物が多く誰が誰だか分からなくなってちょくちょく見直すことになるのだが、この本の場合は不要だった。それだけきちんと人が書き分けられているということだと思う。

読み進めて行くにつれ、特に後半は、あの時はこういうことだったのかと前に戻って見直すということが増えていった。構成の練られた面白いミステリーの場合は良くある。そして読み終えてから、もう一度最初から読みたいと思った。そんな本には、滅多に出会わない。

彼女たちが舞台上でやり合う様子が目に浮かぶ。叫ぶ声が聞こえてくる。これは、是非映画化してほしい。映像で見てみたい。

降田天(ふるた てん)の作品は今回初めて読んだが、他の作品も読みたくなった。

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