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レズパコ

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【あらすじ】 女子校で繰り広げられる悪ふざけ、友人同士で腰を振り笑い合うレズパコ。そんな行為に情熱を燃やす一人の少女がいた。笑いあり!(下ネタが苦手でなければ)エロあり!(少年誌…
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2024年6月の記事一覧

私だ【レズパコ#07】

 昨日はお腹が痛くて学校を休んだ。今朝にはスッキリしていたが、なんとなく億劫で家を出るのが遅れた。のんには足をグルグルにして走るラインスタンプを送っておいた。  のんとの待ち合わせのために、私は毎朝一つ遠い駅から通学している。家を出て、学校とは逆方向の海側に自転車を走らせて、正しく一日を始めるためにのんのケツを叩く。その分のロスタイムがあるので、ちょっとくらいの遅れなら最寄りの駅から乗れば始業に間に合うのだ。朝起きれなくてギリギリなときはたまにそうしている。  金曜日とは

ボンレスハム太郎【レズパコ#06】

 四限目に体育がある水曜日がいちばんアガる。授業から昼休みまでシームレスに体育館を独占して遊び倒せるからだ。  しかし今日の私は絶不調だった。三日前から続く便秘で視界が霞んでいる。今朝もトイレで頑張ったが、なんの成果も得られなかった。菓子パンをレタスサンドイッチに切り替え、フルグラを牛乳ひたひたで食べまくっても、私の腸は教科書に押しつぶされたバッグの底のイヤホンコードのように固く複雑に絡まっている。創作ダンスで体を動かしまくっても、冷や汗ばかり吹き出してくる。  昼休みに

ガラスの浮き球【レズパコ#05】

 週末はたいてい海岸沿いの道の駅のカフェでのんと過ごす。海に面したガラス張りのカウンター席で、眺めているだけで涼しくなるライムソーダのグラスを二つ並べ、自由帳にペンを走らせながらとくと語らう。 「あら、宿題?」 「あっ、はい、お母様」  背後から覗き込む声に、私はとっさにノートを隠して振り返った。ベージュのチノパンに白いポロシャツ、デニムのエプロンをすらっと着こなすのんのママが、娘とそっくりな垂れ目を細める。 「ううん、ネタ作り」  のんが横から口を挟む。余計なこと

レズパコ禁止【レズパコ#04】

 スドウとアリダの喧嘩を仲裁してほしいとタカナシに頼まれた。同じクラスでそこそこ仲も良く、ビッグバンアタックの講習会にも参加してくれた彼女らではあるが、どうして私にそんなことをお願いするのか首を傾げてしまう。とはいえ頼られると断れない性分だ。私は腕まくりをして頷いた。  聞いてみると、スドウとアリダはべつに取っ組み合いのキャットファイトを繰り広げているわけでもなく、ただひたすら険悪になっているらしい。ますます私の領分ではない。どんな問題も力づくで解決できるならそれが一番なの

ビッグバンアタック【レズパコ#03】

 いきなり背後から襲いかかって腰を振り、相手を棒読みで喘がせる、その一連の流れはビッグバンアタックと名付けられた。翌日には数人が活動に参加し、翌々日には組合が結成された。動画は瞬く間にバズり、瞬く間にBANされた。  私はりちゃこを机に組み伏せ、実践指導を行なった。撮影班が四方に待機し、のんが後方腕組みで見守っている。 「重要なのはファーストタッチです」  適宜指導を交えつつ、デモンストレーションを進めてゆく。 「いきなり尻を鷲掴みにするのもありですが、この場合は拘束

パコパコプリン【レズパコ#02】

 トイレに行って教室に戻ると、のんが私の机に肘をついて尻をこちらに向けていた。わざわざ歓迎のポーズを取って待ち構えてくれていたわけではない。隣の席のりちゃこと三人で話していた体勢のまま変わっていないだけだ。ちゃんと手ぇ洗ってきたの? と毎回聞かれる、私の尿切れの良さの賜物とも言える。  もちろん手は洗ってきた。だけどハンカチなんて持ってないから、両手がまだ濡れている。スカートで軽く拭ったものの、私は衛生観念が高いので完全に拭き切ることはしなかった。幽霊のように両手をぷらぷら

ヒップモーニング【レズパコ#01】

 挨拶をするときは尻を叩かなければならない。おはよーだけで済ますのは倫理にもとる。相手が生理だろうが痔だろうが関係ない。むしろ弱っているときこそ思いっきりひっぱたいてやるべきだ。噂によると男子校の挨拶はカンチョーらしいから、女子のか弱い平手で叩くだけなのは恩情である。  なにもうちのクラスに限った話ではないし、ましてや私が個人的に推奨している運動でもない。学校全体がそういう文化なのだ。なんでも室町時代から続いている由緒正しき伝統らしい。連綿と紡がれる歴史に敬意を表し、私は今